とある水曜日のジャーナル　～佐久間～

　どうやら問題無かったみたいだ。
　ちょっとばかりごたごたするかもしれないと思ってたけど、心配なかったようで一安心。
　朝一で声を掛けた北御門は思いの他スッキリした顔をしていた。
　その顔を見てたら、別に特にフォローする事もないな、と思った。
　俺と城咲は全く何の関係もない、なんて。
　多分――というか、かなり絶対と言っていい程かもしれないけど、北御門は城咲の事が好きだ。
　自分でも気づいてないのが面白いんだけど。
　でもよくあんな面倒な奴を好きになったな、と思う。
　確かに城咲は頭は良いし（特に数字にはめっぽう強い）、顔も可愛いしスタイルも良いけど、俺は絶対にパスする。
　性格についていけないから。
　まあ、蓼食う虫も何とかと言うし、そこが良いってやつもいるんだろうけど。
　そう感じてしまったのがよりによって可愛い後輩だったのは、先輩として多少複雑な心境ではある。
　でも決して城咲の事を嫌いな訳じゃないし、だからどうせなら可愛い後輩の恋路を生暖かい目で見守ってやりたいと思っている――それだけだ。
　とりあえずいつ北御門が城崎への想いを自覚するのか。
　その日が待ち遠しい、と俺は今、思っている。
　でも、あいつは頭は良いけど自分の気持ちには鈍くて、周りの事を気にかけている様で気にかけられていない所もある――要するにアンバランスでギャップのある人間だから、その日まではまだ少し時間がかかるかもしれない。
　それを言うなら城咲も表向きに反して色んな事考えてる奴でギャップあるけど。
　――余りにもその日が来ない様だったら、俺が少しだけ手助けしてみるのもアリなのか？
　多分、北御門には余計なお世話だって言われるだろうけど。