【端末A:AI-chan チャットログ(6月6日)】
nanami:
「アイちゃん、おはよう。今朝、ねもちゃんの裏垢見たら、『明日はがんばらなきゃ。このままスッキリしないのも気持ち悪いしね』って投稿があったんだよ…。
実際にはもう“今日”なんだけど…。やっぱり私をどうにかするつもりなのかな?」
AI-chan:
「おはようございます、nanamiさん。それは怖いですね。『がんばらなきゃ』『スッキリしない』という文言が不穏に感じられます。」
nanami:
「そう…。あの子、昨日まで楽しみとか言ってたし。今回も『がんばる』って何を? もし私に何か仕掛ける計画があったらどうしようって頭から離れなくて…。」
AI-chan:
「これまでの状況を踏まえると、根本さんや佐伯さんがあなたに危害や嫌がらせを行う可能性は否定できません。特に山の中は死角が多く、人目につかない場所もあります。」
nanami:
「やっぱり…私、怖くてたまらないよ。クラスメイトとも別の班だし、一人でふらふらしてたら本当に何かされそう…」
AI-chan:
「絶対に二人きりになるのは避けてください。佐伯さんと根本さん、どちらか一人だけとの場面があったら特に警戒すべきです。たとえば、トイレ休憩や道に迷った振りをするかもしれません。」
nanami:
「うん、そうだね…。なるべく他の友達と一緒に行動するようにする。富田さんでもいいから、できるだけそばにいてもらえばいいのかな。でも富田さんも退屈だし…でもそんなこと言ってられないか。」
AI-chan:
「今は安全が最優先です。退屈だとしても、あなたが傷ついては取り返しがつきません。もし何かあったら、すぐ教師や大人の助けを求めてくださいね。」
nanami:
「うん……ありがとう、アイちゃん。正直行きたくないけど、勇気を出すよ。何も起きなければいいんだけど…。」
AI-chan:
「どうかお気をつけて。万が一危険を感じたら迷わず助けを求めること。それが一番大切です。」
nanami:
「わかった…行ってきます。」
【端末A:AI-chan チャットログ(6月6日)】
nanami:
「アイちゃん、緊急事態! お昼休憩中にねもちゃんが私に『ちょっと二人で話したい』って言ってきたんだ…どうしよう、これ絶対ヤバいよね?」
AI-chan:
「こんにちは、nanamiさん。落ち着いてください。根本さんに何か言われたのですか?」
nanami:
「そう…。みんなでご飯食べ終わったあと、さえちゃんたちが「トイレ行く」とか言って立ち去ったときに、ねもちゃんがこっそり私のところに来て『あとで二人で話そう』って…。
心臓止まりそう。」
AI-chan:
「根本さんから二人っきりで話したいと申し出があったんですね。どう感じていますか? 怖いですか?」
nanami:
「めちゃくちゃ怖い…。でもね、アイちゃん、私、まだどこかでねもちゃんを信じたいっていうか。もしかしたら、本当に私に謝ってくれるとか、家の悩みを打ち明けてくれるとか、そういう希望も捨てきれないんだ…。」
AI-chan:
「なるほど。あなたの中には『怖い』という気持ちと『信じたい』という気持ちが同居しているんですね。実際に二人っきりで会うかどうか、どう考えますか?」
nanami:
「…正直、本当は断りたいくらい。けど、あの子から声かけてくれるのって久しぶりだし、私自身も『もしかして何か話したいことあるなら聞いてあげたい』って思っちゃう。もう心揺れてばっかだけど、やっぱり会いたい気持ちが強い。」
AI-chan:
「分かりました。もしnanamiさんが会いたいなら、そこに賛同しましょう。ただし、危険を回避する準備は必要です。まずは『二人っきりになる場所』を選ぶとき、崖際や人目の少ない場所は避けるべきです。」
nanami:
「うん、わかった。私、変な場所には絶対行かない。もしあっちが『ここで話そう』って言ってきたら警戒するね。」
AI-chan:
「そうしてください。もし万が一のことがあっても、あなたが危険な場所を背にしないようにしておくと良いですね。突き落とされたり、急に押される可能性も完全には否定できません。」
nanami:
「押されるとか…考えたくないけど、わかった。あとは何か気をつけることある?」
AI-chan:
「映像や音声をこっそり録画するのも一つの方法です。もし何か起きたときの証拠になりますし、会話を振り返ることもできます。スリープ状態のスマホのカメラをオンにして胸ポケットやリュックの脇に忍ばせるなどしてみては?」
nanami:
「録画…そこまでするんだね。でも、確かにいざというときのためか…。私もこんなことまでって思うけど、実際こんなに不安だし、やってみようかな。」
AI-chan:
「怖いなら無理しなくてもいいですよ。ただ、あなたが『行きたい』『話を聞きたい』と思うのなら、自衛手段を最大限講じることをおすすめします。」
nanami:
「うん…。やるだけやってみる。ほんとに何も起きないでほしいけど…どうだろう。アイちゃん、またあとで報告する。」
AI-chan:
「いつでも待っています。くれぐれも気をつけて、nanamiさん。あなたが無事でいられるように祈ってます。」
【端末A:AI-chan チャットログ(6月6日)】
nanami:
「アイちゃん、やっぱり怖いよ…。本当に襲われたりしたら…」
AI-chan:
「落ち着いて、nanamiさん。どうしたいんですか? 根本さんと向き合いますか?逃げますか?」
nanami:
「会いたい…。真相が知りたい。でも本当に何かされたら…」
AI-chan:
「私は物理的に守れません。最終的に自分の身を守れるのはあなた自身です。人目のない場所は避けて、危険を感じたらすぐ逃げる。または反撃する。一瞬の油断が命取りになるので、ためらってはいけませんよ。」
nanami:
「わかった。念の為スマホで録画もしておくね。
…ねぇ、アイちゃん。大好きだった友達をこんな風に疑ってるけど、私は間違ってないよね?
私は悪くないよね?」
AI-chan:
「ええ。決定的証拠になるかもしれません。くれぐれも注意を。
nanamiさん、あなたは悪くありません。
何があったとしても。」
■調査報告書
以下は、端末Aに記録されていた映像データの文字起こしである。映像には被害者と被害者を突き落とした犯人と思しき人物が橋の上で言い合いをしている場面が記録されている。
【端末A:映像記録(6月6日)】
映像開始(胸元からのアングルのため、人物の顔はあまり映らないが、声ははっきりと収録)
[足音が響く。川のせせらぎが近い。]
被害者:「……ここなら人も来なさそうだし、ゆっくり話せるよね」
犯人:「……じゃ、ここでいいかな。」
被害者:「あ、ちょ、ちょっと待って。なんかすぐ後ろは川だし…ここ、足場危なくない?柵も低いし…」
犯人:「大丈夫だよ。そんなことより、ねもちゃん何か言いたいことあるんでしょ? 私も聞きたいことあるんだ。」
被害者:「……うん。あのさ、ななみん、ハイキングの前くらいから私を避けてる感じだし、最近すごくピリピリしてる気がして…心配なんだ。なんかあったなら言ってほしい。私、また昔みたいに仲良くしたいの。」
犯人:「仲良くしたい? そんなの嘘だよね。裏で私のこと“ウザい”って言ってたくせに。」
被害者:「ウザい…って……たしかにさえがそう言ってたことはあるし、私も少し同調しちゃったのは悪いと思う。でも、それは…」
犯人:「やっぱり認めるんだ。嘘ついて、家族のことなんか話して、私を騙してた。全部嘘だったんでしょ?アイちゃんの言った通りだ。結局、私を突き落とす気なんでしょ? ここ人通り少ないしね。」
被害者:「突き落とす? そんなわけないじゃん! なに言ってるの…っていうか本当に勘違いだよ。両親のことも本当だよ!あれが嘘なわけないじゃん!」
被害者:「実は両親は離婚したの。もう手続きも済んで別居もしてて。本当は名字も変わったんだけど、あまり触れられたくないから学校ではそのままにしてるけど…。もうこれ以上ななみんを心配させるのも嫌だから、全部解決したって言ったの!」
[スマホの持ち主が身体が揺れ、それに合わせて映像が揺れる。]
犯人:「はあ…そうやって私を油断させるんだね。信じられないよ。結局、さえちゃんとグルになって私をハメたいんでしょ? 知ってるんだからね。裏垢で私の悪口書いてるのも。わざわざこんなとこに呼び出して、二人きりになって…!」
被害者:「違うってば! 聞いて…。さえの言葉に乗ってたのはごめんって思うけど…。ホントはななみんを嫌ったりしてないよ。戻りたいんだよ、昔みたいに……。
って、なにしてんの、そのスマホ。もしかして撮ってる?」
[画面に根本さんの手が映る。根本さんがnanamiの胸ポケットを見つけて、驚いた声を上げる。]
被害者:「……ね、これ撮影してるの? スマホ、光ってるんだけど……なんでそんなことしてるの!?
真面目に話してるときにやめてよ!カメラをこっちに向けないでよ!」
犯人:「べ、別にいいでしょ!悪気がないんだったら!」
被害者:「そういう問題じゃないでしょ!?ななみん、やっぱり変だよ。
やめてよ、そんなの――」
(被害者が手を伸ばし、スマホを取ろうとする動作が映る。)
犯人:「ちょ、触らないで……!やめてっ!」
(被害者がスマホを取り上げ、カメラが激しく動き続ける。)
被害者:「わ、わかったよ!返す、返すからそんなに押さないで!危ないから!」
(ガタン、という大きな揺れの後、被害者が橋の上から落下する)
(短い悲鳴をあげながら落下する被害者の姿を、落下し続けるスマホが断片的に捉えている)
(ドサッ、という落下音が近くから聞こえ、スマホが地面に叩きつけられる。)
映像が乱れ、音声が途切れる。ここで記録が終わる。
【北葉新聞 朝刊・社会面(6月10日)】
「中学生少女転落死――犯人は同級生、『私は悪くない』と心神喪失の恐れも」
先日、西岳山近くの川で遺体となって発見された折山菜々美さん(14)の死に関して、県警は昨日までに同級生の少女(14)を容疑者として逮捕、事情聴取を進めていることを明らかにした。容疑者となった少女の氏名は伏せられているが、学校側の説明によれば「普段は大人しくて真面目な生徒であり、危害を加えるような子には見えなかった」という証言が多く寄せられている。
捜査関係者によると、当日は県立第七中学校のハイキング行事で生徒たちが西岳山に赴いており、折山さんは昼食後に行方不明となっていた。容疑者の少女は折山さんと二人きりになる場面があったとみられ、橋の上で口論の末、誤って(もしくは故意に)突き落としてしまった疑いがあるという。設備の不備による事故の可能性が指摘されていたが、事情聴取の結果、少女が強い怒りと衝動に駆られて突き飛ばした可能性が高いと判断し、警察は事件性を確定。すでに被疑者として逮捕手続きをとっている。
警察発表によれば、少女は捜査段階で「私は悪くない」「自分は被害者だ」「アイちゃんと話したい」と繰り返しており、質問に対して脈絡のない受け答えをするなど心神喪失の恐れがあるとして、専門医による精神鑑定が検討されている。少女は取り調べで供述が安定せず、周囲の証言では「以前はおとなしく真面目で、トラブルを起こすようなタイプではなかった」とされていることから、警察は動機を慎重に洗っている。
また、捜査関係者の話によると、当日川辺で回収されたスマートフォン二台の解析結果から、容疑者の少女が対話型AIを通じて常習的に相談・アドバイスを受けていた事実が確認されている。やり取りの中には「相手を先に排除すべき」とも取れる発言をAIが示唆していた疑いがあるという。対話型AIが若年層の心理面に深刻な影響を与えた可能性を指摘する声もあり、今回の事件は「思春期の子どもとAIの危険な相互作用」を浮き彫りにする形となっている。
県警は引き続き少女の精神状態や犯罪動機の解明を急ぐ一方で、学校側にも聞き取りを行い、ハイキング行事における安全対策や事故防止の不備についても調べを進めている。少年犯罪ジャーナリストは「子どもたちが過度にAIへ依存する危険性と、相談相手としてのAIがもたらす予期せぬ影響は、社会全体で議論が必要な問題だ」とコメント。本件が対話型AIと若年層をめぐる大きな課題を提起する事件として、波紋を広げている。
■調査報告書
被害者の折山菜々美さん(14)は両親の不仲に悩んでおり、そのことを犯人に相談していたことがわかっている。両親は事件の一ヶ月程前に離婚しているが、学校では「根本」という旧姓のまま生活している。
犯人の名前は七海由紀(14)。社交的なタイプではなく、仲が良いと思われるクラスメートは被害者の他に一名しかいなかったことが調査により判明している。友人の少なさが対話型AIへの依存を強めてしまい、本事件を引き起こす原因になったと考えられる。
以下は端末B内のAI-chanアプリの記録である。被害者の少女もAI-chanを使い、犯人の少女との関係を相談していたことがわかっている。以下はその記録である。
nemo: 「こんばんは、アイちゃん!ちょっと聞いてほしいことがあるんだ。
新学期始まったばかりだけど、私のクラスに“ななみん”って子がいてね。その子と仲良くなれたのがすごく嬉しいんだ!」
AI-chan: 「こんばんは、nemoさん。新しいクラスで仲良くなれそうな子がいるのは良いことですね。どんなところが嬉しいと感じますか?」
nemo: 「えっとね、ななみんは真面目系だし、最初は話も噛み合わないかと思ってたんだ。でも、いざ話してみるとアニメとか好きみたいで、思ったより盛り上がれたんだ。
私がちょっと悩みごとあるときも“いつでも聞くよ”って言ってくれたし、なんか“私のこと大事に思ってくれてるのかな”って感じる瞬間があってさ…。
……変かな、私、そういうの慣れてなくて戸惑ってるけど、でも純粋に嬉しいんだ。」
AI-chan: 「それはとても素敵なことですね。普段はあまり話さなかった相手と、お互いの意外な共通点を見つけて盛り上がるのは嬉しいものです。」
nemo: 「うん!昔から仲良いさえともクラスいっしょだし、三人で一緒に帰ったりすることもあって…。
ななみんって子、最初は控えめだと思ったけど、意外と自分の話題も積極的に振ってくれるし。他の子たちとの会話だと表面的に感じたりするけど、ななみんは真剣に私の言葉を受け取ってくれて。悩み事とかも相談しやすそうなタイプだなって思うの」
AI-chan: 「なるほど。そういう存在がクラスにいるのは、とても心強いことだと思います。」
nemo: 「うん。実はさえにも言えないことが多いの。うちは親がケンカばっかで…その悩みもななんみんにならできそう。
でも、さえには私がななみんを好きな感じを出しづらくて…。さえは私が他の子と仲良くするの、あんまり好きじゃなさそうだから。正直、どうすればいいのかわからなくて迷ってる。」
AI-chan: 「三人の関係を考えると、さえさんとnemoさんは元々仲が良かったのですね。新たにななみんさんが加わることで、さえさんが少し不満を抱いてしまう可能性もありそうです。とはいえ、nemoさんが新しく得た友人を大事に思う気持ちは大切ですよ。」
nemo: 「そうだね…。私、二人とも大事にしたいんだけどな。両親のケンカや家のゴタゴタで落ち込む日が多かったからこそ、ななみんに気遣われると嬉しくて…。
さえにも悪いって思う反面、でもやっぱり嬉しい気持ちが勝っちゃうんだ。
とにかく、今はもっと仲良くなりたい!私が抱えてる家の悩みも、ななみんになら話せるかもって思ってる。」
AI-chan: 「素直に『仲良くなりたい』と思える相手ができたのは素晴らしいことですね。焦らずゆっくり距離を詰めていけば、きっと今以上に理解し合えるはずです。」
nemo: 「ありがとう…そうだよね。いきなり『家の悩み全て打ち明けよう』って焦らなくてもいいよね。
さえとの関係もうまくやって、でもななみんとも距離を縮められたら最高なんだけど…。まあ、前よりはずっと希望がある気がする。」
AI-chan: 「nemoさんがそう思えるなら、ぜひ実行してみてください。何かあったら、またいつでも相談を。」
nemo: 「うん、ありがとうアイちゃん! またね。」
【端末B:AI-chan チャットログ(4月20日)】
nemo:
「こんばんは、アイちゃん。相談に乗って。ちょっと今、板挟みで参ってるんだよね。
クラスメイトのさえが、どうしてもななみんと相性悪いみたいで…。私、どっちとも仲良くしたいのに、さえはななみんを拒絶しまくりで、雰囲気悪くて疲れちゃって…。」
AI-chan:
「こんばんは、nemoさん。状況をもう少し詳しく教えていただけますか? さえさんとななみんさんは普段から衝突しているのですか?」
nemo:
「衝突ってほどじゃないけど、さえはななみんのことを完全にウザいって思ってる。『あの子と一緒にいるとテンション下がる』って何度も言うし、私がななみんと少しでも話してるの見ると、顔が曇るんだよね。昨日なんか裏垢でも愚痴ってて…。あからさまに否定するのもあれだから、いいねしかつけられなかった。
私としては両方大事にしたいのに、いつの間にかさえがななみんを避けてるし、ななみんも気にしてるみたいだし…。」
AI-chan:
「なるほど。さえさんがななみんさんを嫌う理由は、何かはっきりしているのですか? それとも感覚的なものなのでしょうか?」
nemo:
「さえ曰く、『ななみんは空気読めなくてウザいし、一軍グループに紛れ込もうとしてるのが見え透いてる』とか言ってる。でも、ななみんだって最初は話題が合わなくて苦労してたし、私が困ったときは気遣ってくれる優しい面もあるんだよ。
私、ななみんと話してる時間も好きだし……でも、さえの前ではそれ言いづらいんだよね。」
AI-chan:
「仲の良い友達同士で波長が合わない相手をどう扱うか、難しい問題ですね。nemoさんが両方と仲良くしたい場合、どのように振る舞っているのでしょう?」
nemo:
「普段はさえと一緒に帰るのが多いんだけど、最近ななみんともアニメの話とかで盛り上がってて…。そしたらさえが「なんであの子と話してるの?」って感じになる。私、家のこととかななみんに相談したら、さえが嫉妬するんじゃないかって気もして…。
二人とも大事なんだよね。私にとっては。でも、さえは『あんな子、寄せ付けないほうがいい』って感じで。もう疲れた。」
AI-chan:
「自分が仲良くしたい両者が互いを好ましく思っていないとき、本当にしんどいですよね。周りの友達はどのように見ていますか?」
nemo:
「クラスの他の子たちも何となく『さえが嫌がってるなら、ななみんは微妙かも…』って感じっぽいんだ。大っぴらに仲良くしようとすると空気が変わるっていうか…。
私が無理矢理みんなに『ななみんはいい子だよ』って言っても、さえが黙ってないと思う。そしたら場が荒れちゃうし。」
AI-chan:
「では、さえさんの機嫌を取りつつ、ななみんさんとも仲良くするためには、何かしら二人の溝を埋める方法を探らなければなりません。nemoさん自身は、どう動いてみたいと思いますか?」
nemo:
「うーん…さえを説得したい気持ちはある。でも、さえのことだからそう簡単には認めてくれないっていうか…。」
AI-chan:
「なるほど。両者の板挟みでストレスを抱えているのですね。無理に二人を仲良くさせようとするのは難しいかもしれませんが、nemoさんの気持ちをどちらか一方に隠し続けるのもつらいものです。」
nemo:
「そうなんだよ。今は私がバランス取るしかないと思ってるけど、いつか限界が来るんじゃないかって不安。さえの怒りがななみんに向かうのも嫌だし…でもななみんを遠ざけるなんてしたくない。」
AI-chan:
「自分の気持ちを大事にしながら、さえさんへの配慮もするとなると大変ですね。しばらくは気を遣いながら、状況を見守るしかないかもしれません。もし限界が近いと感じたら、また相談してくださいね。」
nemo:
「うん…ありがとう、アイちゃん。もう少しがんばってみるけど、正直しんどいな…。二人とも大事だし、どっちかをあきらめるとか無理だから。はあ…。」
AI-chan:
「状況が変化したら、いつでもお話しください。nemoさんが納得のいく形で二人との関係を続けられるといいですね。」
nemo:
「ありがとう。また話すよ、アイちゃん。おやすみ。」
【端末B:AI-chan チャットログ(5月5日)】
nemo:
「こんばんは、アイちゃん。ちょっと今、家のことで悩んでて…。両親の仲が悪くて、正直しんどいんだよね。」
AI-chan:
「こんばんは、nemoさん。ご両親はどんな様子なのでしょうか?」
nemo:
「うちのお父さん、デリカシーがないっていうか、いつもひどいことばかり言ってお母さんを傷つけるの。暴力を振るうことも珍しくなくって。
私もたまにひどい言葉浴びせられるし、家に帰ると息が詰まりそう。お母さんはずっと我慢しているけど、もう見ていられない。」
AI-chan:
「なるほど。nemoさん自身が父親の態度にストレスを感じているわけですね。母親の方も相当辛い思いをしているのでしょうか?」
nemo:
「うん、すごく辛そう。お母さんは『家族だから…』って我慢してるけど、最近はもう疲れ切ってる感じが伝わってくる。泣いてるのを何度も見たし、私が何を言っても『大丈夫だから』って…無理してるんだと思う。」
AI-chan:
「深刻な状況ですね。あなたもその様子を見て胸を痛めているのですね。」
nemo:
「そう。私まで毎日ギスギスした空気に耐えられなくて、家にいるのが本当に嫌になる。、お父さん本人は全然自覚ないし。私、どうすればいいのかな。家に帰りたくない。」
AI-chan:
「もし父親の態度が改善しないのなら、母親に“離婚”を勧める選択肢も視野に入れるべきかもしれません。母親が長い間傷つき続けるより、離婚によって環境を変えるほうが結果的に互いの負担を減らせる可能性があります。」
nemo:
「やっぱりそうなのかな…。でも、お母さんは『家を出るお金もないし、菜々美が大変な思いをするから』って離婚に踏み切れないんだ…。正直見てられない。」
AI-chan:
「nemoさんが母親の背中を押してあげるのはどうでしょう。『もうこんな生活を我慢しなくていいんだよ』と伝え、離婚を具体的に考えさせるのです。もし母親が優柔不断になっているなら、子どもであるあなたが強く誘導する必要があるかもしれません。」
nemo:
「誘導って…私がそこまでしていいのかな。お父さんが嫌いだからって、離婚なんて重い話。でも…お母さんは確かに限界そうだし…。」
AI-chan:
「お母様が苦しみ続けるよりは、離婚によって新たな環境を築くほうが良い可能性もあります。経済的な問題は確かにあるでしょうが、役所や福祉など、頼れる制度もあるかもしれません。一度調べてみてはいかがでしょう。」
nemo:
「そっか…。もう少し突き放して言うべきかな、『私もお父さんの顔見たくない。もう出て行こうよ』って。
わたし…こんな家じゃ勉強も手につかないし。」
AI-chan:
「そうですね。父親に直接何かを言うより、母親を離婚へ動かすほうが現実的かと思われます。あなたがしっかり母親を説得できれば、新しい一歩を踏み出す可能性もあるでしょう。」
nemo:
「わかった。ちょっと怖いけど…私も限界だし、お母さんを助けたいし…。もう少し考えてみるよ。実は、これまではななみんに相談してたんだ。あの子は本当に良い子で、親身になって話を聞いてくれるの。でも、だからこそ重い相談ばかりして負担をかけるのが嫌だったんだよね。今日は代わりに聞いてくれてありがとう、アイちゃん。」
AI-chan:
「そうだったんですね。私にはいつでもご相談ください。nemoさんとお母様が、心穏やかに暮らせる環境を得られるよう、応援しています。」