えー、本件に関する続報をお伝えさせていただきます。

　警察内部で監視カメラ映像の確認を行ったところ、事件前後でカメラに多くの猫が映っていることが報告されました。これ自体はですね、該当公園が地域猫活動の拠点として、猫用トイレの設置、餌付け活動を行っており、常日頃から多くの猫が確認されているということで、あまり不自然なことではありません。

　ただ、今回遺棄された遺体の猫がですね、いずれも事件当日にカメラに映っているということでした。つまり、犯人は外部で猫を殺害し、公園内に持ち込んで死体を吊るしていったということではなく、公園内で捕獲した猫を殺害し、木に吊るしていったと考えられます。

　また、殺害された猫はいずれも去勢済みの猫、つまり地域猫として登録済みの猫であることが判明しています。発見時から耳に切れ込みは確認されていましたが、これは近隣の獣医や保護団体に確認が取れたことで確定した内容になります。

　これに併せて、聞き込みの方針も多少変化されています。えー、事件当日に公園の付近で不審な人物がいなかったかということに追加してですね、現在は地域猫運動に大きく反対している人物がいなかったか、という点について調査を行っております。こちらの内容は聞き込みを開始してまだ日も浅いので大きな成果を得られていませんが、今回の犯人の動機につながるのではないかということで現在重要視して調査を行っております。

　……ええ、はい、そうですね。もし野良猫、地域に猫がいること自体を問題にしていたのであれば、無差別に猫を狙うのが普通ですね。それに対して、今回は地域猫に限って狙われているという状況になります。このことから、主に以下の2点が分かったと言えます。

　1点目、犯人は地域猫運動に対して十分な知識を持っているということ。地域猫は去勢のしるしを示す耳への切れ込みが入れられており、その耳の形状からさくら猫なんて言ったりしますが、そういった事実をですね、十分に理解して地域猫とその他の野良猫の区別をつけられる人物が犯行を行ったということですね。

　2点目、先ほども指摘がありましたが、今回の事件は地域猫に限って狙われています。このことからですね、猫が増えた問題に対して、というよりは、地域猫運動そのものに対しての敵意を抱いている人物の犯行であることが想像されます。

　上記2点を踏まえまして、先ほどの聞き取り調査にも力を入れていきます。特にですね、地域猫運動に詳しい人物ではないかという疑いから、内部犯……ではないですが、愛護団体や環境活動にまつわる人物、環境関連事業の職員など、普段から地域猫に対してかかわりを持つ人物に焦点を当てて調査を行っていく予定です。