法礼寺住職 久本 善治　訪問職員 幸田 日美子

「ああどうも、職員さん、毎度有難うございます」
「いえいえ、こちらこそ。いつもご協力いただいてありがとうございます。トイレ設置も定期的な給餌も中々大変なことですから。それで、こちら今月分の資材になります」
「どうもどうも……」
「どうかしました？」
「いやね、ちょっと最近猫の集まりが悪くてね。トイレも餌もちょっと余ってまして」
「ああ……」
「アレですかね、ニュースにもなってましたが、猫も怯えてるんですかね」
「恐らくそうでしょうね。猫は警戒心が強い動物ですし」
「それでね、猫も以前の3分の1ぐらいしか集まらなくなってしまって……」
「なるほど……」
「ああもちろん、ご協力をやめたいってわけではありませんよ。地域への貢献も寺の役割ですから。ただね、ちょっと資材が余ってるものですからどうしようかと」
「うーん……とりあえず、後2ヶ月ほどは以前と同じ餌やトイレの運用を続けていただけますか？もう少しすれば猫も戻ってくるかもしれませんので」
「うんうん……それはね」
「もちろん、ご報告いただければ資材の量は都度調節してお渡ししますので。今回のところはどうでしょうか？」
「そうだね……とりあえず今までの半分で足りてるかな」
「ではこちらは回収していきますね」
「悪いね。猫ちゃん、戻ってくるといいけどねぇ」