２４．

いま私は、戸黒さんがこれらの資料を託した意図を考えています。

彼は、資料を私の手にゆだねるにあたり、多くは語りませんでした。しかし、明確な意図があるという確信は、資料を整理していく過程でより強いものとなっています。

これらの資料の中には、ある特徴的な要素が執拗なまでに繰り返し現れます。

「あめつちの詞」「ムカデ」そして「謎の祭り」―――これら三つの要素は、一見すると無関係に思えます。

だが、資料を精査するほどに、これらが計画的に収集されたものであることは明らかでした。


明治から昭和にかけての新聞記事、地域の古文書、民俗学者による調査記録、地元有識者の手記など、形式も時代も異なる資料の中で、これらの要素は一貫性を持って記録されています。
つまり、この資料群は、埋蔵金に関連したものとして、戸黒さんとその友人の加藤さんそれぞれが、自分なりの明確な意図を持って集められたものに違いないと思います。

彼らは、これらの資料を収集する過程で、何かを見出しつつあるようでしたが、その意図する具体的な内容は、まだ私には掴めていません。


これら三つの要素の相関関係が示すこととは何なのでしょうか。

戸黒さんはこれらの編纂を通じて、何を見つけ出そうとしているのでしょうか。