約束なんてしない。
 
 僕はよく気が変わるからだ。
 極端なときは、昨日まで好きでたまらなかった女も朝起きたら隣にいるのを見たらどうでもよくなっていたりする。
 それでは申し訳ないから、僕は、ずっと愛しているということは口にしないことにしている。

 嘘がないだけましだと思うのだが、結局できもしない約束でひっついては別れる‘‘つがい’’の二人をたくさん見てきた。
 いったい何をやっているのかと僕は力が抜けてしまうのだが、所詮約束なんて破るためにあると思えばいいのかもしれない。
 全然僕なんかよりハードボイルドだ。
 とりあえず笑うしかない。
 
 多分約束の概念が違っているのだろう。
 僕はやると決めたことは成功か失敗かケリがつくまで誠意をもってやり通す。
 それが僕のいう約束だ。
 世間は、それとはまた別物らしい。
 ぎりぎり意味は分かるが、理解は示したくない。