顔がよくて、家柄もよくて町の女性が騒いでる。

「じゃあ、断っとくぞ」

「よろしくお願いします」

私には異能力がないが、兄さんは異能力を持っていた。

兄さんと春山隊長が同い年で、兄さんが副隊長なのだ。

だから、二人は仲がいい。兄さんから春山隊長の話をよく耳にする。

だけど、結婚はしたくない。

「では、失礼します」

私は、お父様とお母さまに頭を下げてから部屋を出る。

コツコツと足音が響く。

いつもは、使用人と何回かすれ違うが今日はまだすれ違ってない。

自分の部屋に入り、ソファーに腰をかける。

「結婚か・・・」

前の私なら、すぐに結婚していただろう。

だけど、流石に見たくなかった。

彼が泣く姿を。

しかも、五回も見たんだ。