まさか、お父様の口から「断っていい」と出るとは思ってなかった。

いや、口にしてなくても断るつもりだった。

これも、今までと同じ。

だけど、今回はいつも通りにならない。

「はい。断らしていただきます」

「そうか・・・」

「いいの?相手は、陰滅部隊(いんめつぶたい)の隊長の方よ?」

「はい」

そう。

この国では、『陰』という人間のことを操れる化け物がいる。

その陰を祓れるのが、陰滅部隊だ。

そして、陰滅部隊の方々には異能力がある。

異能力には、二パターンがある。

生まれたときからのパターンと後から覚醒するパターン。

私はそのどっちでもない人。

異能力を持つ人間は、稀にしかいない。

しかも、その中のトップである春山(はるやま)隊長は、特別人気だった。