「またか・・・」

ベットの上で目が覚めて、ため息が出る。

「これで、六回目か」

今日は私の誕生日だ。普通は喜ぶのだろうか。

だけど、私はこれが六回目(・・・)なのだ。

「お嬢様、奥様と旦那様がお呼びです」

ドアをノックして入ってきた使用人の柚(ゆず)が言う。

「今、行く」

私の両親は、優しい方だと思う。

好きなこともさせてくれるし、愛してくれた。

だけど、今回だけは迷惑をかけてしまう。

身支度を整えて、両親がいる部屋に向かう。

ああ、また来てしまった。

ドアをノックすると、入れと低い声が聞こえる。

ドアを開けて、部屋に踏み込むと難しい顔をしたお父様がいた。

「なんですか?」

「結婚相手が決まった。だけど、断りたかったら断っていい」