親愛なるオリヴィアへ
わたしは無事よ。ええ無事よ。
いきなりこんなこと書かれても何の話かわからないわよね?
でも書きたいの! 無事なのよ!
キギータウンがなくなっちゃったの!
聖書に出てくるソドムとゴモラってきっとこんな感じだったんだわ!
蛾の怪物が出てきて消えて、サン・ジェルマンおじいちゃまの頭蓋骨が蛾の怪物の生首と入れ替わって、ルイーザを追いかけて屋上に行ったら流行遅れの服を着た紳士が空から降ってきて、それがなんとサン・ジェルマンおじいちゃまだったの!
それでどうしてなのかわからないけど壁とか柱とかが壊れ始めて、ルイーザがおじいちゃまに背を向けて走り出して。
ああ、ルイーザがおじいちゃまに「キャロラインをお願い」って言ったのよ。
わたしは瓦礫の下敷きになりかけて、気がついたらおじいちゃまに手を引かれて走ってた。
逃げ切るまでいろいろあったはずなんだけど、いろいろすぎて書き切れないし思い出せない。
とにかく最後に目の前が全部、砂煙で覆われて、砂煙が晴れたらわたしたち荒野の真ん中に立っていたの。
キギータウンは跡形もなくなっていた。
建物どころか瓦礫一つなく。
最初からすべて幻だったみたいに。
わたし、もとの世界に戻ってきたの。
きっと本当にあの町は時空の狭間にあったのよ。
ルイーザやアデリン叔母さまと、はぐれてしまって、おじいちゃまが言うにはわたしは二人に置いてけぼりを食らったらしいの。
叔母さまはルイーザに連れて行かれてしまったんですって。
少し歩いたら近くに線路があって、線路の上に立って汽車が通りかかるのを待って止めて乗せてもらって。
事情なんてちゃんと話しても信じてもらえるわけがないから、車掌さんには車で旅をしていて事故に遭ったってウソを吐いたわ。
神さま、汚れゆくわたしをお許しください。
それでその汽車の中でこの手紙を書いているの。
サン・ジェルマンおじいちゃまはいろいろと話してくれたわ。
何もかもと言うには何もかもが多すぎて、一度にはとても話し切れないみたいだけれど。
おじいちゃまがフライングで生まれた人類なこと。
パトリシアおばあちゃまとの馴れ初め。
インスマウスで斬首(おー怖っ!)されてから、ずっと故郷の夢を見てたこと。
首なし騎士の状態でわたしたちを助けたのは覚えてなくて、夢の中ではアトランティスの要人の警護をしてたこと。
オリヴィアに伝えてもいいって、ちゃんとおじいちゃまに許可をもらったわ。
おじいちゃまってば最初は「こんな話を友達にしたらバカにされたり嫌われたりするんじゃないか」って心配してたけど、オリヴィアがどんな子か教えたら「いい友達だな」ですって!
そうそう、わたしが旅立つときにオリヴィアにもらったお守り。
あれを真似してハーブティーの出し殻でポプリを作ってみたんだけどね、おじいちゃまが言うにはわたし、これがあったから大いなる種族に体を乗っ取られずに済んだんですって!
これもオリヴィアのおかげね!
それでね、これからなんだけど。
どうやらルイーザとアデリン叔母さまはカリフォルニアへ向かったらしいの。
そこでも何かがあるみたい。
おじいちゃまはわたしを連れていくのを渋ってたけど、アデリン叔母さまを見つけるまでは一緒に行動するって約束したわ。
そのあとは……
ルイーザとは関わらないほうがいいって言われたわ。
キャロラインより
わたしは無事よ。ええ無事よ。
いきなりこんなこと書かれても何の話かわからないわよね?
でも書きたいの! 無事なのよ!
キギータウンがなくなっちゃったの!
聖書に出てくるソドムとゴモラってきっとこんな感じだったんだわ!
蛾の怪物が出てきて消えて、サン・ジェルマンおじいちゃまの頭蓋骨が蛾の怪物の生首と入れ替わって、ルイーザを追いかけて屋上に行ったら流行遅れの服を着た紳士が空から降ってきて、それがなんとサン・ジェルマンおじいちゃまだったの!
それでどうしてなのかわからないけど壁とか柱とかが壊れ始めて、ルイーザがおじいちゃまに背を向けて走り出して。
ああ、ルイーザがおじいちゃまに「キャロラインをお願い」って言ったのよ。
わたしは瓦礫の下敷きになりかけて、気がついたらおじいちゃまに手を引かれて走ってた。
逃げ切るまでいろいろあったはずなんだけど、いろいろすぎて書き切れないし思い出せない。
とにかく最後に目の前が全部、砂煙で覆われて、砂煙が晴れたらわたしたち荒野の真ん中に立っていたの。
キギータウンは跡形もなくなっていた。
建物どころか瓦礫一つなく。
最初からすべて幻だったみたいに。
わたし、もとの世界に戻ってきたの。
きっと本当にあの町は時空の狭間にあったのよ。
ルイーザやアデリン叔母さまと、はぐれてしまって、おじいちゃまが言うにはわたしは二人に置いてけぼりを食らったらしいの。
叔母さまはルイーザに連れて行かれてしまったんですって。
少し歩いたら近くに線路があって、線路の上に立って汽車が通りかかるのを待って止めて乗せてもらって。
事情なんてちゃんと話しても信じてもらえるわけがないから、車掌さんには車で旅をしていて事故に遭ったってウソを吐いたわ。
神さま、汚れゆくわたしをお許しください。
それでその汽車の中でこの手紙を書いているの。
サン・ジェルマンおじいちゃまはいろいろと話してくれたわ。
何もかもと言うには何もかもが多すぎて、一度にはとても話し切れないみたいだけれど。
おじいちゃまがフライングで生まれた人類なこと。
パトリシアおばあちゃまとの馴れ初め。
インスマウスで斬首(おー怖っ!)されてから、ずっと故郷の夢を見てたこと。
首なし騎士の状態でわたしたちを助けたのは覚えてなくて、夢の中ではアトランティスの要人の警護をしてたこと。
オリヴィアに伝えてもいいって、ちゃんとおじいちゃまに許可をもらったわ。
おじいちゃまってば最初は「こんな話を友達にしたらバカにされたり嫌われたりするんじゃないか」って心配してたけど、オリヴィアがどんな子か教えたら「いい友達だな」ですって!
そうそう、わたしが旅立つときにオリヴィアにもらったお守り。
あれを真似してハーブティーの出し殻でポプリを作ってみたんだけどね、おじいちゃまが言うにはわたし、これがあったから大いなる種族に体を乗っ取られずに済んだんですって!
これもオリヴィアのおかげね!
それでね、これからなんだけど。
どうやらルイーザとアデリン叔母さまはカリフォルニアへ向かったらしいの。
そこでも何かがあるみたい。
おじいちゃまはわたしを連れていくのを渋ってたけど、アデリン叔母さまを見つけるまでは一緒に行動するって約束したわ。
そのあとは……
ルイーザとは関わらないほうがいいって言われたわ。
キャロラインより