病院から帰った信也と真司は、それぞれが自宅で真理からの「頼みごと」のことを考えていた。
信也は、「もうちょっと練習とかしてから聞かせたほうがいいかな…?」などと考え、真司は、「制服は結構目立つからなぁ…病院で着替えるべきだろうか…?」と、二人共それぞれ真理の喜ぶ姿を思い浮かべながら色々と考えていた。
そしてその夜は二人共なんだかいつもより胸が暖かく感じながら、眠りについていた。
まさかその暖かく感じていたものが次の日の朝、氷のように冷えきるとは思いもしなかった。
その胸が冷えきり頭の中が真っ白になるような出来事が、病院からの朝早くからの連絡だった。
起床するにはちょっと早い時間で、まだ寝ていた信也の携帯が枕元でけたたましく鳴った。
目覚ましのアラームとは違う携帯の着信音に、信也はびっくりした感じで目を覚ました。
「…はぃ…もしもし…おはようございます…仮屋崎です…」
少し寝ぼけまなこのような様子で、信也は電話にでた。
「あっ!よかった…旦那さんが電話、でられました…あっ、申し訳ありません…おはようございます、朝早くから失礼します…奥さんが入院している病院の看護師の坂本といいます…」
「あっ…はぃ…お世話になってます…えと…どうされたんですか?…」
「はい…今朝、朝早く奥様の真理さんが、急変しまして…今、先生達が懸命に処置を行っているところです…」
「えっ?!…どうゆうことですか?…」
「とりあえず、直ぐにでも病院のほうへ…その時に、詳しいお話は…よろしくお願いします…」
「わかりました…直ぐに準備して向かいます…」
「では、お待ちしてます…それでは、失礼します…」
病院からの電話が切れると、信也は携帯を握りしめたまま頭が真っ白になり、そのまま呆然とベッドの上に座っていた。
だが、直ぐに思い直すように顔を引き締めると、「よしっ!」と自分で自分に喝を入れるように頬をパンッ!と叩いて気持ちを奮い立たせた。
「あっ…そうだ…真理の両親と母さんにも、連絡しなきゃ…」
そう独り言を言いながら、真司と輝美の携帯へ連絡を入れ、真理の急変のことを知らせた。
案の定、真理の両親も輝美も大騒ぎだった。
信也同様、直ぐに病院へ向かうと言われた。
携帯で話をしながら洗面台へ行き準備をし、着替えをするとバタバタと10分ほどで家を出発し病院へ向かった。
病院へ到着するとちょうど同じくらいのタイミングで、真理の両親も到着していた。
三人は駐車場で顔を合わすも朝の挨拶さえもそこそこに、足早で病院内へ入った。
エレベーターに乗り込むと、真理の病室がある階までお互いに無言だった。
目的の階へ到着しドアが開くやいなや、我先よと信也と真司はエレベーターを下りた。
真理の処置のため、看護師達が病棟内の廊下をあっち行きこっち行きと、忙しく動き回っていた。
その中の一人が信也達に気づき、近寄ってきた。
「真理さんのご家族の方ですよね?おはようございます…お電話を差しあげた、看護師の坂本といいます…」
「あっ…おはようございます…連絡、有難うございます…夫の信也とこちら真理の両親です…」
「旦那様と真理さんのご両親ですね…どうぞ、こちらに…先ほど、先生による処置のほうが終わったようなので…」
看護師に案内された部屋で待っていると、いつもの担当の医師が現れた。
「お待たせしました…どうも、お久しぶりです…朝早くから急な連絡で、びっくりされたでしょ…」
「あっ、先生…お久しぶりです…あの、それでまーちゃんは…妻は…」
「旦那さん、落ち着いて…とりあえずお座りください…」
動揺を隠しきれず今にも医師へ掴みかかりそうな勢いで聞いてくる信也に、医師はとりあえず座るよう促した。
「信也くん、とりあえず座りましょう…」
医師にも言われ、信也の様子を見ていた三人の中で一番落ち着いている弥生が、声をかけ椅子へと誘導し座らせ自分も座った。
「それでは…仮屋崎真理さんの、今回のことについてお話を………」
静かに話を始めた医師によると、今朝5時の看護師による巡回時、真理の様子が急変しているのを発見…
直ぐに医師へ連絡がいき、処置が行われたと…
一時期は血圧も低下し100を切り、呼吸も浅くなっていたという…
そこまで話をすると、医師は一度呼吸を整えるように大きく息を吐いた。
そして改めて三人の顔を見渡し、慰めるような口調で優しく言った。
「確かに正直、危ない状態でしたけど…懸命な処置でなんとか持ち直しまして、今はとりあえず落ち着いています…」
その言葉にだいぶホッとしたのか、信也を始め真司と弥生も静かに安堵の涙を流した。
だがその安堵の涙が、医師の言葉によって直ぐにまた悲しみの涙に変わることとなった。
「あの…確かに今は持ち直して、落ち着いていますが…正直、もしまた同じようなことがあれば、流石にその時は覚悟されたほうがよろしいかと…」
それまで優しい表情で話をしていた医師だったが、渋い顔をし少し声のトーンも低く沈んだ。
「えっ?…それは…どういう…ことでしょうか…」
医師からの耳を疑うような言葉に、信也は言葉を詰まらせるように聞いた。
「申し上げたとおりです…今回は運よく持ち直しましたが…次、同じようなことがおこった時は…」
そう言いながら医師は静かに目を閉じ、少しうつ向き黙ってしまった。
「ぅそ…だろ…」
「ぅそ…でしょ…」
もう言葉も発せないような弱々しい声で、真司と弥生は息を吐くように呟いた。
「とにかく…今日は真理さんの、側にいてあげてください…」
そう言うと医師は静かに椅子から立ち上がり、軽く会釈をすると部屋を退室していった。
それと入れ替わるように看護師が現れ、真理の所へ案内された。
するとそこには酸素マスクをはめ、心電図計測器に繋がれ、ベッドにぐったりと横たわり眠っている真理の姿があった。
そしてそんな真理の手を握りしめながら、輝美が声もなく泣き崩れていた。
「母さん…来てたんだね…」
静かに泣き崩れる輝美に、信也はそっと近づき優しく声をかけた。
その声を聞くと輝美は我に返ったように振り返り、三人の姿を確認した。
「あら…ごめんなさい…ついさっき来たんだけど…三人とも、先生とお話をされてるみたいだったから…私は先にこちらの方へ、案内してもらったの…」
涙でぐじゅぐじゅになった顔にハンカチを当てながら、輝美は涙声で言った。
「輝美さん…うちの真理のために、ほんとに…有難うございます…」
つられたように弥生も涙を流しながら、輝美へ近づき頭を下げた。
それに続き、真司もその後ろで頭を下げた。
「やめてよ…私にとっても、真理ちゃんは大切な娘よ…」
「そうね…ありがとう…」
二人の母親は、「気持ちは同じ」ということを改めてお互いに確信しあったように、手を取りそして抱き合った。
その後は輝美を加え、信也と真司、弥生の四人で、薬で眠ったまま目を覚さない真理へ交互に声をかけ、話しかけながらずっと側で過ごした。
母親達は左右片方ずつ真理の手をとり、手をさすりながら話しかけていた。
四人共お互いに時間が経つのも忘れ、看護師に声をかけられるまではお昼が等に過ぎていることさえにも全く気づかなかった。
「処置の時に使用された薬品の副作用で、もしかしたらとうぶんは目を覚されないかもしれません…」
声をかけてきた看護師に言われ、四人は顔を見合わせ少し考えるような沈黙があったが、直ぐに真司が口を開いた。
「そうですか…では、とりあえず私達夫婦は今日のところは、いったん帰ります…な?弥生…」
「そうね…ほんとは真理が起きるまで、ずっと側にいたいけど…私達がいたからって真理が起きるわけでもないですもんね…」
真司と弥生の決断を聞くと、頷きながら輝美も同意した。
「確かに…そうね…信也、あなたはどうする?」
輝美に問われ信也も頷きながら答えた。
「俺も、いったん帰るよ…今日は仕事も急に休んじゃったし、一度お店に顔だして…」
「そっ…じゃ、私も一緒に行くわ…」
そう言いながら輝美は信也の背中に優しくポン、ポン…と手を添えた。
「忘れてるかもだけど、一応私が美容室「きらり」の経営者ですからね?…たまには私もお店に顔だしてスタッフ達をねぎらってあげないとね…」
なんだかちょっとだけいたずらっ子のような無邪気な表情で、輝美は笑顔で軽くウインクして信也の顔をじっ…と見つめた。
涙で瞳は潤み沈んだ暗い表情の信也を見かね、輝美なりの我が息子への励ましならぬエールだった。
そのエールに気づいた信也は、ハッ…と思い出したようにキリっと表情を整えると大きく深呼吸を一度し、「だね…」とひと言言い、真司と弥生のほうを向いた。
「では、今日はとりあえず一度引き上げるということで…まーちゃんが目を覚ましたら、連絡頂けるように病院のほうにはお願いしときますんで…」
「そうだな…それが一番いいだろうな…」
「そうね…それが一番かもね…」
信也の言葉に真司と弥生は頷きながら言った。
そして四人は、目を覚さない真理の手や頬に触れながら、名残り惜しそうに別れの挨拶をすると、静かに病室を出た。
真司と弥生をエレベーター前まで見送ると、信也と輝美はナースステーションへ行き、今日はとりあえず引き上げるということ、真理が目を覚ましたら連絡がほしいということを、看護師へ伝えお願いした。
話を承った(うけたまわった)看護師はしっかりとメモを取り、近くで聞いていた看護師も笑顔で頷いた。
「よろしくお願いします…」
看護師達の行動と反応を見て、信也と輝美は顔を見合わせホッとしたような表情をすると、深々と頭を下げた。
信也は、「もうちょっと練習とかしてから聞かせたほうがいいかな…?」などと考え、真司は、「制服は結構目立つからなぁ…病院で着替えるべきだろうか…?」と、二人共それぞれ真理の喜ぶ姿を思い浮かべながら色々と考えていた。
そしてその夜は二人共なんだかいつもより胸が暖かく感じながら、眠りについていた。
まさかその暖かく感じていたものが次の日の朝、氷のように冷えきるとは思いもしなかった。
その胸が冷えきり頭の中が真っ白になるような出来事が、病院からの朝早くからの連絡だった。
起床するにはちょっと早い時間で、まだ寝ていた信也の携帯が枕元でけたたましく鳴った。
目覚ましのアラームとは違う携帯の着信音に、信也はびっくりした感じで目を覚ました。
「…はぃ…もしもし…おはようございます…仮屋崎です…」
少し寝ぼけまなこのような様子で、信也は電話にでた。
「あっ!よかった…旦那さんが電話、でられました…あっ、申し訳ありません…おはようございます、朝早くから失礼します…奥さんが入院している病院の看護師の坂本といいます…」
「あっ…はぃ…お世話になってます…えと…どうされたんですか?…」
「はい…今朝、朝早く奥様の真理さんが、急変しまして…今、先生達が懸命に処置を行っているところです…」
「えっ?!…どうゆうことですか?…」
「とりあえず、直ぐにでも病院のほうへ…その時に、詳しいお話は…よろしくお願いします…」
「わかりました…直ぐに準備して向かいます…」
「では、お待ちしてます…それでは、失礼します…」
病院からの電話が切れると、信也は携帯を握りしめたまま頭が真っ白になり、そのまま呆然とベッドの上に座っていた。
だが、直ぐに思い直すように顔を引き締めると、「よしっ!」と自分で自分に喝を入れるように頬をパンッ!と叩いて気持ちを奮い立たせた。
「あっ…そうだ…真理の両親と母さんにも、連絡しなきゃ…」
そう独り言を言いながら、真司と輝美の携帯へ連絡を入れ、真理の急変のことを知らせた。
案の定、真理の両親も輝美も大騒ぎだった。
信也同様、直ぐに病院へ向かうと言われた。
携帯で話をしながら洗面台へ行き準備をし、着替えをするとバタバタと10分ほどで家を出発し病院へ向かった。
病院へ到着するとちょうど同じくらいのタイミングで、真理の両親も到着していた。
三人は駐車場で顔を合わすも朝の挨拶さえもそこそこに、足早で病院内へ入った。
エレベーターに乗り込むと、真理の病室がある階までお互いに無言だった。
目的の階へ到着しドアが開くやいなや、我先よと信也と真司はエレベーターを下りた。
真理の処置のため、看護師達が病棟内の廊下をあっち行きこっち行きと、忙しく動き回っていた。
その中の一人が信也達に気づき、近寄ってきた。
「真理さんのご家族の方ですよね?おはようございます…お電話を差しあげた、看護師の坂本といいます…」
「あっ…おはようございます…連絡、有難うございます…夫の信也とこちら真理の両親です…」
「旦那様と真理さんのご両親ですね…どうぞ、こちらに…先ほど、先生による処置のほうが終わったようなので…」
看護師に案内された部屋で待っていると、いつもの担当の医師が現れた。
「お待たせしました…どうも、お久しぶりです…朝早くから急な連絡で、びっくりされたでしょ…」
「あっ、先生…お久しぶりです…あの、それでまーちゃんは…妻は…」
「旦那さん、落ち着いて…とりあえずお座りください…」
動揺を隠しきれず今にも医師へ掴みかかりそうな勢いで聞いてくる信也に、医師はとりあえず座るよう促した。
「信也くん、とりあえず座りましょう…」
医師にも言われ、信也の様子を見ていた三人の中で一番落ち着いている弥生が、声をかけ椅子へと誘導し座らせ自分も座った。
「それでは…仮屋崎真理さんの、今回のことについてお話を………」
静かに話を始めた医師によると、今朝5時の看護師による巡回時、真理の様子が急変しているのを発見…
直ぐに医師へ連絡がいき、処置が行われたと…
一時期は血圧も低下し100を切り、呼吸も浅くなっていたという…
そこまで話をすると、医師は一度呼吸を整えるように大きく息を吐いた。
そして改めて三人の顔を見渡し、慰めるような口調で優しく言った。
「確かに正直、危ない状態でしたけど…懸命な処置でなんとか持ち直しまして、今はとりあえず落ち着いています…」
その言葉にだいぶホッとしたのか、信也を始め真司と弥生も静かに安堵の涙を流した。
だがその安堵の涙が、医師の言葉によって直ぐにまた悲しみの涙に変わることとなった。
「あの…確かに今は持ち直して、落ち着いていますが…正直、もしまた同じようなことがあれば、流石にその時は覚悟されたほうがよろしいかと…」
それまで優しい表情で話をしていた医師だったが、渋い顔をし少し声のトーンも低く沈んだ。
「えっ?…それは…どういう…ことでしょうか…」
医師からの耳を疑うような言葉に、信也は言葉を詰まらせるように聞いた。
「申し上げたとおりです…今回は運よく持ち直しましたが…次、同じようなことがおこった時は…」
そう言いながら医師は静かに目を閉じ、少しうつ向き黙ってしまった。
「ぅそ…だろ…」
「ぅそ…でしょ…」
もう言葉も発せないような弱々しい声で、真司と弥生は息を吐くように呟いた。
「とにかく…今日は真理さんの、側にいてあげてください…」
そう言うと医師は静かに椅子から立ち上がり、軽く会釈をすると部屋を退室していった。
それと入れ替わるように看護師が現れ、真理の所へ案内された。
するとそこには酸素マスクをはめ、心電図計測器に繋がれ、ベッドにぐったりと横たわり眠っている真理の姿があった。
そしてそんな真理の手を握りしめながら、輝美が声もなく泣き崩れていた。
「母さん…来てたんだね…」
静かに泣き崩れる輝美に、信也はそっと近づき優しく声をかけた。
その声を聞くと輝美は我に返ったように振り返り、三人の姿を確認した。
「あら…ごめんなさい…ついさっき来たんだけど…三人とも、先生とお話をされてるみたいだったから…私は先にこちらの方へ、案内してもらったの…」
涙でぐじゅぐじゅになった顔にハンカチを当てながら、輝美は涙声で言った。
「輝美さん…うちの真理のために、ほんとに…有難うございます…」
つられたように弥生も涙を流しながら、輝美へ近づき頭を下げた。
それに続き、真司もその後ろで頭を下げた。
「やめてよ…私にとっても、真理ちゃんは大切な娘よ…」
「そうね…ありがとう…」
二人の母親は、「気持ちは同じ」ということを改めてお互いに確信しあったように、手を取りそして抱き合った。
その後は輝美を加え、信也と真司、弥生の四人で、薬で眠ったまま目を覚さない真理へ交互に声をかけ、話しかけながらずっと側で過ごした。
母親達は左右片方ずつ真理の手をとり、手をさすりながら話しかけていた。
四人共お互いに時間が経つのも忘れ、看護師に声をかけられるまではお昼が等に過ぎていることさえにも全く気づかなかった。
「処置の時に使用された薬品の副作用で、もしかしたらとうぶんは目を覚されないかもしれません…」
声をかけてきた看護師に言われ、四人は顔を見合わせ少し考えるような沈黙があったが、直ぐに真司が口を開いた。
「そうですか…では、とりあえず私達夫婦は今日のところは、いったん帰ります…な?弥生…」
「そうね…ほんとは真理が起きるまで、ずっと側にいたいけど…私達がいたからって真理が起きるわけでもないですもんね…」
真司と弥生の決断を聞くと、頷きながら輝美も同意した。
「確かに…そうね…信也、あなたはどうする?」
輝美に問われ信也も頷きながら答えた。
「俺も、いったん帰るよ…今日は仕事も急に休んじゃったし、一度お店に顔だして…」
「そっ…じゃ、私も一緒に行くわ…」
そう言いながら輝美は信也の背中に優しくポン、ポン…と手を添えた。
「忘れてるかもだけど、一応私が美容室「きらり」の経営者ですからね?…たまには私もお店に顔だしてスタッフ達をねぎらってあげないとね…」
なんだかちょっとだけいたずらっ子のような無邪気な表情で、輝美は笑顔で軽くウインクして信也の顔をじっ…と見つめた。
涙で瞳は潤み沈んだ暗い表情の信也を見かね、輝美なりの我が息子への励ましならぬエールだった。
そのエールに気づいた信也は、ハッ…と思い出したようにキリっと表情を整えると大きく深呼吸を一度し、「だね…」とひと言言い、真司と弥生のほうを向いた。
「では、今日はとりあえず一度引き上げるということで…まーちゃんが目を覚ましたら、連絡頂けるように病院のほうにはお願いしときますんで…」
「そうだな…それが一番いいだろうな…」
「そうね…それが一番かもね…」
信也の言葉に真司と弥生は頷きながら言った。
そして四人は、目を覚さない真理の手や頬に触れながら、名残り惜しそうに別れの挨拶をすると、静かに病室を出た。
真司と弥生をエレベーター前まで見送ると、信也と輝美はナースステーションへ行き、今日はとりあえず引き上げるということ、真理が目を覚ましたら連絡がほしいということを、看護師へ伝えお願いした。
話を承った(うけたまわった)看護師はしっかりとメモを取り、近くで聞いていた看護師も笑顔で頷いた。
「よろしくお願いします…」
看護師達の行動と反応を見て、信也と輝美は顔を見合わせホッとしたような表情をすると、深々と頭を下げた。
