鹿屋より帰宅しその後も『真理のやりたいこと』を少しずつ実行しながら、日々は過ぎていった。
そして気がつくと、抗がん剤治療の開始の日が近づいていた。
退院する前日に医師より病理検査の結果から化学療法が必要となったことで、「抗がん剤治療」を行うということが告げられたのだ。
抗がん剤治療…真理に行われる治療は、TC療法という。
治療に用いられる抗がん剤は、「カルボプラチン」と「パクリタキセル」
カルボプラチン…癌細胞のDNAに作用して複製を妨げ、自滅を誘導する。
パクリタキセル…癌細胞の分裂時に作用し、増殖を抑える。
この二つを点滴にて投与していく。
サイクル数は6回…
三週間ほどを1回とし、その各サイクルの一日目に点滴が行われる。
サイクルの間は3〜4日の入退院が繰り返されることになる。
その治療は真理にとっても信也にとっても、また両親にとってもそれぞれが酷な思いをする期間であろう。
体力はもちろん、色々と衰えるものもでてくる…
個人差はあるが、体重も減少しそして髪の毛も抜けてくる…
食事の量も好みも変わってくるであろう。
これまでは出来ていたことや大丈夫だったことなど、普通にあたりまえだったことが無理になったりもするであろう。
気力的にも精神的にも落ち込んだりすることも増えてくるであろう。
それを二人でどうやって乗り越えていくのか…
真理と信也は、二人で色々と話し合った。
もちろん、前向きな話だ。
そして二人で約束した。
絶対に諦めない、笑顔を忘れない…と。
…そして、真理の抗がん剤治療の日々が始まった。
始めのうちはまだまだ表沙汰にも衰えていく様子も見られず、真理もまだ笑顔に余裕があった。
しかし、2サイクル目が終わり、3サイクルが終わる頃には体重も10キロ近く減り、抗がん剤の副作用で髪の毛も少しずつ抜け始めた。
それでも真理は絶対に弱音を吐かず、笑顔も忘れなかった。
そんな前向きに頑張る妻の姿を、信也は必死で支えそして励まし続けた。
入院の日には必ず信也が送っていき、退院の日には迎えに行った。
面会も可能な時間内で出来るだけ会いに行った。
会いに行った時は必ず真理の手を握って話をした。
病院から帰っても夕飯後、寝る前…と、毎日のように必ず真理にLINEを送った。
そのお陰もあるのか、真理の笑顔はずっと保たれていた。
正直、体力も落ちてきて見た目もだいぶ痩せて、健康そうな体には見えない。
腕の筋肉も落ち細くなってきた。
薄っすらとだが、目の下に隈もではじめた。
だが、そんなこと真理達には関係なかった。
いや、だからこそ真理は、信也は笑うのだ。
しかし、4サイクル、5サイクル…
ここまでくると、やはり誰が見ても副作用の影響が大きく見られはじめた。
元々、色白であった真理だったが、頬の薄っすらとしたピンク色の血色は無くなり、青白く弱々しくなっていた。
指も細々くなり握力もだいぶ落ちてきた。
そんな中、信也からプレゼントされたハンドクリームを毎日のように手に塗りながら、なんだかお守りのようで心が安らいだ。
だけど…ほんとは言いたい…
「つらい…」
「キツい…」
「もぅ…イヤだ…」
泣いて、弱音吐いて、信也にしがみつきながら大泣きしたい。
でも、信也と約束したから…
諦めない、て…
笑顔で頑張る、て…
抗がん剤治療のための入院と退院の繰り返し…
次のサイクルまでの自宅での生活は、真理にとっては複雑な気持ちの時間でもあった。
もちろん、愛する夫との安らぎと安静の時間でもあり、幸せを感じる時間でもあったが、それと同時に最近少しずつ湧いてきた不安や虚しさ、そして治療への辛さへの弱音の気持ちとの戦いであった。
信也には絶対言えない。
いや…言っちゃいけない。
こんなに自分を支えようと頑張ってくれているのに、言えるわけがない…
そんなモヤモヤとした感情を必死で隠しながら、真理は日々を送っていた。
そして最後の6サイクル目…
どれくらいの月日が過ぎていたのだろうか…?
最後のサイクルが終了し、退院して自宅へ帰ってきたのだが、さすがに前のような生活をするにはやはり無理があった。
体力消耗が早いため、長時間の労働はもちろんだが、長時間立っていることもままならない。
家事や料理などは信也と母親達が協力してくれるので困ることはないのだが、座ったり横になったりと体を休めることが多くなった。
抗がん剤治療後は、5年の経過観察をひと区切りとされているため、1〜3年目は1ヶ月に1回、その後は5〜6ヶ月に1回の経過検診、観察のため通院が必要とされている。
前のような生活ではないが信也が仕事の時以外は、二人はいつも一緒だった。
通院日は必ず信也が付き添い、そして帰りには食事と買い物デートをして帰宅した。
その際、二人はいつも仲良く手を繋いでいた。
前に比べるとお世辞にもスタイルのいい綺麗な奥さん、とは言えない見た目になってしまったが、そんなこと信也には関係のないことだった。
愛する奥さん、真理と一緒にいられることが、一緒に笑顔で生活できることが、信也にとっての幸せなのだから…
もちろん、真理にとってもそれは同じであった。
優しい愛する夫がいつも隣にいる…
一緒に笑顔で頑張ってくれる夫がいる…
今の二人にとって一日一日が、そしてその日の一分一秒が大切な時間であり、幸せを感じる時間であった。
そして気がつくと、抗がん剤治療の開始の日が近づいていた。
退院する前日に医師より病理検査の結果から化学療法が必要となったことで、「抗がん剤治療」を行うということが告げられたのだ。
抗がん剤治療…真理に行われる治療は、TC療法という。
治療に用いられる抗がん剤は、「カルボプラチン」と「パクリタキセル」
カルボプラチン…癌細胞のDNAに作用して複製を妨げ、自滅を誘導する。
パクリタキセル…癌細胞の分裂時に作用し、増殖を抑える。
この二つを点滴にて投与していく。
サイクル数は6回…
三週間ほどを1回とし、その各サイクルの一日目に点滴が行われる。
サイクルの間は3〜4日の入退院が繰り返されることになる。
その治療は真理にとっても信也にとっても、また両親にとってもそれぞれが酷な思いをする期間であろう。
体力はもちろん、色々と衰えるものもでてくる…
個人差はあるが、体重も減少しそして髪の毛も抜けてくる…
食事の量も好みも変わってくるであろう。
これまでは出来ていたことや大丈夫だったことなど、普通にあたりまえだったことが無理になったりもするであろう。
気力的にも精神的にも落ち込んだりすることも増えてくるであろう。
それを二人でどうやって乗り越えていくのか…
真理と信也は、二人で色々と話し合った。
もちろん、前向きな話だ。
そして二人で約束した。
絶対に諦めない、笑顔を忘れない…と。
…そして、真理の抗がん剤治療の日々が始まった。
始めのうちはまだまだ表沙汰にも衰えていく様子も見られず、真理もまだ笑顔に余裕があった。
しかし、2サイクル目が終わり、3サイクルが終わる頃には体重も10キロ近く減り、抗がん剤の副作用で髪の毛も少しずつ抜け始めた。
それでも真理は絶対に弱音を吐かず、笑顔も忘れなかった。
そんな前向きに頑張る妻の姿を、信也は必死で支えそして励まし続けた。
入院の日には必ず信也が送っていき、退院の日には迎えに行った。
面会も可能な時間内で出来るだけ会いに行った。
会いに行った時は必ず真理の手を握って話をした。
病院から帰っても夕飯後、寝る前…と、毎日のように必ず真理にLINEを送った。
そのお陰もあるのか、真理の笑顔はずっと保たれていた。
正直、体力も落ちてきて見た目もだいぶ痩せて、健康そうな体には見えない。
腕の筋肉も落ち細くなってきた。
薄っすらとだが、目の下に隈もではじめた。
だが、そんなこと真理達には関係なかった。
いや、だからこそ真理は、信也は笑うのだ。
しかし、4サイクル、5サイクル…
ここまでくると、やはり誰が見ても副作用の影響が大きく見られはじめた。
元々、色白であった真理だったが、頬の薄っすらとしたピンク色の血色は無くなり、青白く弱々しくなっていた。
指も細々くなり握力もだいぶ落ちてきた。
そんな中、信也からプレゼントされたハンドクリームを毎日のように手に塗りながら、なんだかお守りのようで心が安らいだ。
だけど…ほんとは言いたい…
「つらい…」
「キツい…」
「もぅ…イヤだ…」
泣いて、弱音吐いて、信也にしがみつきながら大泣きしたい。
でも、信也と約束したから…
諦めない、て…
笑顔で頑張る、て…
抗がん剤治療のための入院と退院の繰り返し…
次のサイクルまでの自宅での生活は、真理にとっては複雑な気持ちの時間でもあった。
もちろん、愛する夫との安らぎと安静の時間でもあり、幸せを感じる時間でもあったが、それと同時に最近少しずつ湧いてきた不安や虚しさ、そして治療への辛さへの弱音の気持ちとの戦いであった。
信也には絶対言えない。
いや…言っちゃいけない。
こんなに自分を支えようと頑張ってくれているのに、言えるわけがない…
そんなモヤモヤとした感情を必死で隠しながら、真理は日々を送っていた。
そして最後の6サイクル目…
どれくらいの月日が過ぎていたのだろうか…?
最後のサイクルが終了し、退院して自宅へ帰ってきたのだが、さすがに前のような生活をするにはやはり無理があった。
体力消耗が早いため、長時間の労働はもちろんだが、長時間立っていることもままならない。
家事や料理などは信也と母親達が協力してくれるので困ることはないのだが、座ったり横になったりと体を休めることが多くなった。
抗がん剤治療後は、5年の経過観察をひと区切りとされているため、1〜3年目は1ヶ月に1回、その後は5〜6ヶ月に1回の経過検診、観察のため通院が必要とされている。
前のような生活ではないが信也が仕事の時以外は、二人はいつも一緒だった。
通院日は必ず信也が付き添い、そして帰りには食事と買い物デートをして帰宅した。
その際、二人はいつも仲良く手を繋いでいた。
前に比べるとお世辞にもスタイルのいい綺麗な奥さん、とは言えない見た目になってしまったが、そんなこと信也には関係のないことだった。
愛する奥さん、真理と一緒にいられることが、一緒に笑顔で生活できることが、信也にとっての幸せなのだから…
もちろん、真理にとってもそれは同じであった。
優しい愛する夫がいつも隣にいる…
一緒に笑顔で頑張ってくれる夫がいる…
今の二人にとって一日一日が、そしてその日の一分一秒が大切な時間であり、幸せを感じる時間であった。
