エアメモ…正式名は、エアーメモリアルという。
毎年4月下旬の土、日で海上自衛隊が開催する催しである。
海上自衛隊の鹿屋航空基地を開放し、航空ショーや地上展示など様々なことが行われる。
毎年ある催しなのだが、信也と結婚した年に両親も一緒に行ったのが最後だった。
何故か久々に行ってみたくなった…
信也から真理の両親へ話をしてくれたようだが、正直始めは真理がエアメモを見に行くことを、あまり賛成できない様子だった。
特に父親の真司は、眉間にしわを寄せ顔をしかめ、あからさまに機嫌の悪い表情をしていたらしい。
だが、信也の必死な説得と真理の気持ちを考慮し、渋々ながらも首を縦にふったそうだ。
もちろん、両親も同行が条件だ。
「絶対に、無理させないでくれよ、信也君…とにかく、真理の体調を優先に…頼むぞ…」
渋々ながらも承知したとはいえ、真司は何度も念を押すように信也へ呪文のように言った。
「もちろんです…わかってます…」
真司の言葉に、信也も自分に言い聞かせるように答えた。
……そして、それから約二週間ほど経った、当日…4月の最後の日曜日。
それまでの真理の生活は、体調を気にしながら無理しないような生活を送っていた。
術後の症状もほとんど落ち着き、私生活もほぼ前と変わらないほどには戻っていた。
だが…それでも、やはり真理の体調を過剰に気にする過保護な父親と夫。
逆に母親の弥生と姑の輝美…この二人は真理を気遣いながらも、本人の意見と気持ちを優先で前向きであった。
男衆の言い分では、「体力も完全なわけではないし、ずっと歩きっぱなしは良くない」と、車椅子のレンタルを考案した。
しかし女衆はそれを否定した。
「本人のやりたい事はやらせてあげよう…車椅子なんかに乗ってたら尚更、体力が落ちる…疲れたらどこかで座るなりして休めばいい」
それぞれの言い分にお互い一理あるということで、どちらとも引くに引かない…
と、思っていたが結局、女衆の言い分で決着がついた。
真理の一言で、それまでのぐだぐだが風に飛ばされるかのようにどこかへいき、コロリと意見を変え女衆の言い分に賛成したのだ。
やはり父親というものは、娘に弱いものなのだろうか?
現在中の長崎県の佐世保からエアメモの開催場所『海上自衛隊 鹿屋航空基地』のある鹿児島県の鹿屋まで、休憩など含んで約5時間〜6時間ほど…
まだ暗い早朝4時前には出発し、現地へ向かった。
高速道路を使い、途中で軽い朝食やトイレ休憩を入れて、9時過ぎには鹿屋入りした。
さすが、海上自衛隊が催すそれなりに有名な催し物なだけあり、基地に近づくにつれ人だかりで賑わっていた。
自衛隊が用意した駐車場に車を止め、そこから少々歩き、今日だけ一般人も自由に出入りできるよう開放された基地の門を通過した。
ちょうど航空イベントの一つ、『SH-60K』(哨戒ヘリコプター)の訓練展示中であった。
観覧者達は皆、歓声を上げながら空を見上げていた。
それが終了すると続いて、『TH-135』(ヘリコプター練習機)、『P-1』(固定翼哨戒機)の訓練展示が行われた。
ほとんどの観覧者達が、普段は見ることのできない海上自衛隊の航空機の機動飛行に見入っていた。
真理達も空を見上げ、歓声と拍手で感動を表しながら観覧していた。
基地内に入るまで真理の心配ばかりしていた真司も、P-1の機動飛行に自分も機上していた頃を思い出していたのか、懐かしそうに眺めていた。
しかし残念ながら今回は『ブルーインパルス』の航空ショーはなかった。
毎年、特に盛り上がる人気のショーなのだが、今回は予定されなかったようだ。
午前中での航空イベントの公開が終わると、真理達は地上の展示物を観て回ることにした。
海上自衛隊のヘリコプターはもちろんのこと、陸上自衛隊や海上保安庁のヘリコプターなどの展示もあった。
途中、休憩所のようなテントもあり、そこで水分補給をしながら休憩もした。
「私、この歳でこのイベントに来たの初めてなんだけど…すんごいわねぇ〜…特にあんな身近で飛んでるとこ見ちゃって、なおさら感動しちゃったわぁ…」
今回のエアメモへの同行で人生初の体験をした輝美は、今だに興奮が収まらないというような様子で目をキラキラさせながら訴えた。
「あっ!…そういえば、真理ちゃんのお父さんも以前は乗ってらっしゃったのよね?」
思い出した!…と、いうような表情で輝美は真司のほうを見た。
「えぇまぁ…P-1のほうに…」
輝美からの急な問いに、びっくりしたような表情をしながら少々照れ臭そうに真司は答えた。
「フフッ…そういえば、私…パパの制服姿、カッコよくて大好きだったなぁ…普段はあまり制服着ることなくて、たまに着てるの見られたときはほんとに嬉しかったの覚えてるわぁ…」
照れ臭そうにしている真司をチラッと見ながら、真理は思い出を懐かしむように語った。
「へぇ~…お義父さんの制服姿、俺見たことないけど…そっかぁ…やっぱカッコいいんだぁ…」
「そうよぉ…制服姿もカッコよかったけど、機上の時の操縦着姿もカッコよかったわよぉ…そういえば、ママだって若い時パパのその姿に惚れたんだって、言ってなかったっけ?」
「えぇっ!?私?!えぇ~…そうねぇ…そんなこともあったかしらねぇ…」
「あらぁ~…弥生さん、恥ずかしがらなくてもいいじゃない…若い頃の一目惚れなんて、素敵じゃないの…」
急な娘からのフリと内容に、驚いて飲んでいたお茶を吹き出しそうになりながら答える弥生に、輝美はちょっとだけからかい心を忍ばせ、助け舟をだした。
そんな会話にお茶を飲みながら、真司は恥ずかしそうに苦笑いしながら聞いていた。
「なぁ、真理…パパ、そんなにカッコよかったか?」
何を思ったのか、急に真理へ確認するように真司が聞いてきた。
「うぅん…めっちゃカッコよかった…大好きだった…」
「いゃ…一応、まだ今もたまに制服着ることあるんだけどな…」
「あっ!そっか…パパ、再雇用でまだ現役だったね…あぁ~、そっかぁ…久しぶりにパパの制服姿、見たいなぁ…」
二人の親子ラブラブ会話を、残りの三人はニヤニヤしながら見守っていた。
その後、昼食をとるために一度基地内から出た。
そして食事を済ませ、改めて午後からの航空イベントを観覧するために基地内へ帰ってきた。
時刻は13時を少し過ぎる頃…
13時10分からの『T-4』(練習機)の訓練展示が始まるところだった。
それが終わるとその後には、陸上自衛隊の『AH-64D』(戦闘ヘリコプター)の訓練展示が行われた。
どちらも約10分ほどの展示時間であった。
続いて『US-2』(救難機)、最後に午前中にもあった『P-1』の訓練展示がもう一度行われた。
午前中に一度観覧したとはいえ、やはり胸の高鳴りと感動で興奮状態は隠せなかった。
そんな中、特に真理と真司は午前中に会話した内容のせいか、二人で肩を並べ訓練展示中の『P-1』を見上げながら、懐かしそうにそして嬉しそうに話をしていた。
「私ね、ほんとは…パパ、転勤ばっかで引っ越し多かったでしょ?だから…自衛隊って、好きじゃなかったの…でもね、パパの制服姿は大好きだったから、ちょっと複雑だったんだよねぇ…」
「そっかぁ…確かに真理には転校ばっかりで、寂しい思いさせてたもんなぁ…そういえば、仲良くなった子と離れたくないって言って、大泣きしたこともあったか…」
「フフッw…そぅねぇ…確か家が近所で、登下校もいつも一緒だった…」
「出発の日は見送りに来てくれてたっけな…二人して泣きじゃくるもんだから…あの時はパパ達大変だったもんなぁ…」
「もうっ…やだぁ~…そんなことまで思い出さないでよぉ~…」
www…
親子で思い出話に花を咲かせていると、気がつけば『P-1』の訓練展示も終わりをむかえていた。
午後の部最終の航空イベントも終わると、ちらほらと基地内から出ていく人達が見られた。
その流れにのり、真理達も基地を後にし駐車場へ向かい車に乗り込んだ。
帰りの車内では真理も疲れたのか、ぐっすりと眠りについていた。
そしてその寝顔は、幸せいっぱいな素敵な寝顔であった。
毎年4月下旬の土、日で海上自衛隊が開催する催しである。
海上自衛隊の鹿屋航空基地を開放し、航空ショーや地上展示など様々なことが行われる。
毎年ある催しなのだが、信也と結婚した年に両親も一緒に行ったのが最後だった。
何故か久々に行ってみたくなった…
信也から真理の両親へ話をしてくれたようだが、正直始めは真理がエアメモを見に行くことを、あまり賛成できない様子だった。
特に父親の真司は、眉間にしわを寄せ顔をしかめ、あからさまに機嫌の悪い表情をしていたらしい。
だが、信也の必死な説得と真理の気持ちを考慮し、渋々ながらも首を縦にふったそうだ。
もちろん、両親も同行が条件だ。
「絶対に、無理させないでくれよ、信也君…とにかく、真理の体調を優先に…頼むぞ…」
渋々ながらも承知したとはいえ、真司は何度も念を押すように信也へ呪文のように言った。
「もちろんです…わかってます…」
真司の言葉に、信也も自分に言い聞かせるように答えた。
……そして、それから約二週間ほど経った、当日…4月の最後の日曜日。
それまでの真理の生活は、体調を気にしながら無理しないような生活を送っていた。
術後の症状もほとんど落ち着き、私生活もほぼ前と変わらないほどには戻っていた。
だが…それでも、やはり真理の体調を過剰に気にする過保護な父親と夫。
逆に母親の弥生と姑の輝美…この二人は真理を気遣いながらも、本人の意見と気持ちを優先で前向きであった。
男衆の言い分では、「体力も完全なわけではないし、ずっと歩きっぱなしは良くない」と、車椅子のレンタルを考案した。
しかし女衆はそれを否定した。
「本人のやりたい事はやらせてあげよう…車椅子なんかに乗ってたら尚更、体力が落ちる…疲れたらどこかで座るなりして休めばいい」
それぞれの言い分にお互い一理あるということで、どちらとも引くに引かない…
と、思っていたが結局、女衆の言い分で決着がついた。
真理の一言で、それまでのぐだぐだが風に飛ばされるかのようにどこかへいき、コロリと意見を変え女衆の言い分に賛成したのだ。
やはり父親というものは、娘に弱いものなのだろうか?
現在中の長崎県の佐世保からエアメモの開催場所『海上自衛隊 鹿屋航空基地』のある鹿児島県の鹿屋まで、休憩など含んで約5時間〜6時間ほど…
まだ暗い早朝4時前には出発し、現地へ向かった。
高速道路を使い、途中で軽い朝食やトイレ休憩を入れて、9時過ぎには鹿屋入りした。
さすが、海上自衛隊が催すそれなりに有名な催し物なだけあり、基地に近づくにつれ人だかりで賑わっていた。
自衛隊が用意した駐車場に車を止め、そこから少々歩き、今日だけ一般人も自由に出入りできるよう開放された基地の門を通過した。
ちょうど航空イベントの一つ、『SH-60K』(哨戒ヘリコプター)の訓練展示中であった。
観覧者達は皆、歓声を上げながら空を見上げていた。
それが終了すると続いて、『TH-135』(ヘリコプター練習機)、『P-1』(固定翼哨戒機)の訓練展示が行われた。
ほとんどの観覧者達が、普段は見ることのできない海上自衛隊の航空機の機動飛行に見入っていた。
真理達も空を見上げ、歓声と拍手で感動を表しながら観覧していた。
基地内に入るまで真理の心配ばかりしていた真司も、P-1の機動飛行に自分も機上していた頃を思い出していたのか、懐かしそうに眺めていた。
しかし残念ながら今回は『ブルーインパルス』の航空ショーはなかった。
毎年、特に盛り上がる人気のショーなのだが、今回は予定されなかったようだ。
午前中での航空イベントの公開が終わると、真理達は地上の展示物を観て回ることにした。
海上自衛隊のヘリコプターはもちろんのこと、陸上自衛隊や海上保安庁のヘリコプターなどの展示もあった。
途中、休憩所のようなテントもあり、そこで水分補給をしながら休憩もした。
「私、この歳でこのイベントに来たの初めてなんだけど…すんごいわねぇ〜…特にあんな身近で飛んでるとこ見ちゃって、なおさら感動しちゃったわぁ…」
今回のエアメモへの同行で人生初の体験をした輝美は、今だに興奮が収まらないというような様子で目をキラキラさせながら訴えた。
「あっ!…そういえば、真理ちゃんのお父さんも以前は乗ってらっしゃったのよね?」
思い出した!…と、いうような表情で輝美は真司のほうを見た。
「えぇまぁ…P-1のほうに…」
輝美からの急な問いに、びっくりしたような表情をしながら少々照れ臭そうに真司は答えた。
「フフッ…そういえば、私…パパの制服姿、カッコよくて大好きだったなぁ…普段はあまり制服着ることなくて、たまに着てるの見られたときはほんとに嬉しかったの覚えてるわぁ…」
照れ臭そうにしている真司をチラッと見ながら、真理は思い出を懐かしむように語った。
「へぇ~…お義父さんの制服姿、俺見たことないけど…そっかぁ…やっぱカッコいいんだぁ…」
「そうよぉ…制服姿もカッコよかったけど、機上の時の操縦着姿もカッコよかったわよぉ…そういえば、ママだって若い時パパのその姿に惚れたんだって、言ってなかったっけ?」
「えぇっ!?私?!えぇ~…そうねぇ…そんなこともあったかしらねぇ…」
「あらぁ~…弥生さん、恥ずかしがらなくてもいいじゃない…若い頃の一目惚れなんて、素敵じゃないの…」
急な娘からのフリと内容に、驚いて飲んでいたお茶を吹き出しそうになりながら答える弥生に、輝美はちょっとだけからかい心を忍ばせ、助け舟をだした。
そんな会話にお茶を飲みながら、真司は恥ずかしそうに苦笑いしながら聞いていた。
「なぁ、真理…パパ、そんなにカッコよかったか?」
何を思ったのか、急に真理へ確認するように真司が聞いてきた。
「うぅん…めっちゃカッコよかった…大好きだった…」
「いゃ…一応、まだ今もたまに制服着ることあるんだけどな…」
「あっ!そっか…パパ、再雇用でまだ現役だったね…あぁ~、そっかぁ…久しぶりにパパの制服姿、見たいなぁ…」
二人の親子ラブラブ会話を、残りの三人はニヤニヤしながら見守っていた。
その後、昼食をとるために一度基地内から出た。
そして食事を済ませ、改めて午後からの航空イベントを観覧するために基地内へ帰ってきた。
時刻は13時を少し過ぎる頃…
13時10分からの『T-4』(練習機)の訓練展示が始まるところだった。
それが終わるとその後には、陸上自衛隊の『AH-64D』(戦闘ヘリコプター)の訓練展示が行われた。
どちらも約10分ほどの展示時間であった。
続いて『US-2』(救難機)、最後に午前中にもあった『P-1』の訓練展示がもう一度行われた。
午前中に一度観覧したとはいえ、やはり胸の高鳴りと感動で興奮状態は隠せなかった。
そんな中、特に真理と真司は午前中に会話した内容のせいか、二人で肩を並べ訓練展示中の『P-1』を見上げながら、懐かしそうにそして嬉しそうに話をしていた。
「私ね、ほんとは…パパ、転勤ばっかで引っ越し多かったでしょ?だから…自衛隊って、好きじゃなかったの…でもね、パパの制服姿は大好きだったから、ちょっと複雑だったんだよねぇ…」
「そっかぁ…確かに真理には転校ばっかりで、寂しい思いさせてたもんなぁ…そういえば、仲良くなった子と離れたくないって言って、大泣きしたこともあったか…」
「フフッw…そぅねぇ…確か家が近所で、登下校もいつも一緒だった…」
「出発の日は見送りに来てくれてたっけな…二人して泣きじゃくるもんだから…あの時はパパ達大変だったもんなぁ…」
「もうっ…やだぁ~…そんなことまで思い出さないでよぉ~…」
www…
親子で思い出話に花を咲かせていると、気がつけば『P-1』の訓練展示も終わりをむかえていた。
午後の部最終の航空イベントも終わると、ちらほらと基地内から出ていく人達が見られた。
その流れにのり、真理達も基地を後にし駐車場へ向かい車に乗り込んだ。
帰りの車内では真理も疲れたのか、ぐっすりと眠りについていた。
そしてその寝顔は、幸せいっぱいな素敵な寝顔であった。
