「ごめん。やっぱり千鶴とは一緒にいれない」
離れていく背に手を伸ばす。
いかないで。
ひとりにしないで。
「いやだっ!」
目の前には心配そうにのぞき込んでいる悠華さん。
「大丈夫?うなされてたから起こしたけど、嫌な夢でもみた?」
「え、いや、だ、だいじょうぶです」
悠華さんは仕方ないな、というように息を吐きベットに腰を下ろす。そして、抱きしめられた。
「大丈夫じゃないときは大丈夫じゃないっていえばいいだよ」
そう言って私の背をポンポンとゆったりとしたリズムでたたく。その手つきはやっぱり、優しくて。
「そんなこと言われてもすぐには言えないよね」
大丈夫じゃないなんて言えるわけがない。
ずっと、ずっと、我慢してた。
だから、疲れていつ死んでもよかった。
だけど、彼らに出会って、笑いあっていた時間が楽しくて、我慢してた日々を夢のように忘れていた。
「だからさ、少しずつでいい。これが好き。これは嫌。少しずつ、俺に伝えてくれればいい」
優しすぎる。
本当に、どんだけ私を甘やかすつもりなんだろう。
「どんだけ優しいんですか……っ」
「千鶴だけにだよ」
そう言って私の頭を撫で始めた。
「…が…で」
「ん?」
「いちご大福が……好きです」
「うん」
「あと、由和と瀬和と話すのも楽しいです」
「うん」
「それから、哉さんが慌ててるところとか、おもしろいです」
「うん」
「たくさんあるけど、一番好きなのは悠華さんと一緒にいるときが一番好きです」
「うん」
「だから、私と…ッ」
唇に温かくて柔らかいものが触れた。
「俺と家族になろう?」
「……っ」
「返事は?もしかして、俺とは家族になりなくない?」
悲しそうに眉を八の字にする悠華さん。
「わたっ、私も、悠華さんの家族に、なりたいっ!」
「本当は、もっと落ち着いたら言おうと思ってたんだけど、千鶴がフライングしようとするから思わず止めちゃった」
「止め方が強引でしたね」
「焦ったからだよ。さすがに、これは俺から言いたかったし」



