「「よいちゃん!!」」

その声に、夜雨の手が止まった。

「どうして、、?」

驚いた声が響いた。

「来たらだめ!」

だが、次の瞬間にはそう叫んでいた。

「雨夜、、いえ、夜雨、ナイフを下ろしなさい。もう、、あなたの仕事は終わりました。もう、、それを持つ必要はありません。」

私は強い口調でそう言った。

──やっぱり、夜雨は死のうとしていた。死ぬとしたら、思い出の場所、灯台だろうと思っていた。まだ、、死んでいなくてよかったが、死のうとしている気持ちは変わってはいないようだ、、。

私はまだナイフを下ろしていない夜雨の姿を見つめた。

──なんとしても、、止めないと。

「影さん、、。」

唐突に夜雨が私の名を呼んだ。

「私、、影さんとの約束、破りました。依頼人のため、じゃなくて私のために殺しました。あの男を。もう、、私には生きる資格も生きる意味も、、自分で奪ってしまいました。だから、、」

夜雨は、大きく息を吸った。

「だから、、もう終わりにしたい。この手で私は私を殺します。そうしないと、、終わりにできない。」

涙目になりながら、夜雨は続けた。

「影さん。私の生きる意味って、、なんですか?私たち、罪を犯した者の、生きる意味ってなんですか?もう私、、どう生きたらいいのか、、わからないんです。」

「生きる意味、、。」

──私なんかが、、答えることのできる問いではない。私は、、復讐に生きる人間だ。

私は痛感した。

──やっぱり、私じゃ、この子を、、止められない。