『突然済みません、僕たちは、隣の県に住む、県立山の上高校の生徒です。
最近、ボランティア同好会を立ち上げて、通学路の美化活動をして居ました。
僕たちの高校は、山の上にありますが、恥ずかしいことながら、地元では『ポイ捨ての名所』として有名でした。
それで、ゴミ拾いをしようと思ったのです。
ゴミ拾いを初めて少し経ったとき、懐かしいキャラクターのキーホルダーと、名前の入った給食袋を見つけました。
少し前に、僕は家族旅行で、西島さんがお住まいの地域に行ったのですが、その際に、とわちゃんの捜索ポスターを見たことを思い出しました。
もしかしたら、あのとわちゃんかもしれないと思ったので、連絡しました。
添付した写真が、ゴミを拾っていて見つけた、オジサンウサギの健次郎のキーホルダーと、給食袋です。
それでは、お忙しい中、ここまで読んでくださってありがとうございました。』
文面は、洛世と晶哉で考えた。
最近、洛世の家に寄るのが日課になっている。すっかり、慣れた洛世の部屋には、晶哉の為にクッションが増えた。
「端的に事実だけ告げれば良かっただろうに」
洛世の書いたメールは『添付の写真の物品を発見した。お探しの妹さんのものかも知れないので確認を願う』だった。
「世の中の人は、それだけで動けないと思うよ……」
まず、経緯を説明しないと、訳が分からないだろう。
そして、発見した当時のこと、自分たちがどういう人間なのかというのを教えなければ、返信するのを躊躇うだろう。
「洛世は自分基準で物事を考えすぎだよ。全員が、洛世と同じくらい勉強が出来るわけじゃないし、洛世と同じような思考をするわけじゃないんだから」
といいながら文面を直すと、洛世は、不思議そうな顔をしていた。
「なに?」
「いままで、そんなことを言われたことはなかった」
「あんまり人と付き合わなかったからじゃない?」
「そうかも知れないが……、両親からも、特に言われたことはないし……何をしても、黙認だった」
「ふうん。でも、心配はしてると思うよ。洛世のお母さん、僕が来た時、凄く嬉しそうにしたから。お友達もいなくて、ずっと、自分の世界が正しいと思ってるままで社会に出たら心配だったんだと思う」
洛世が目をまん丸にして「そうなのか」と小さく呟いた。「俺は、何一つ欠点も問題もないと思っていたが」
「人間、完璧な人なんて居ないでしょ。だから、皆で生きるんでしょ」
「晶哉は、小さいのに、達観してる所があるな。俺も、見習いたい。晶哉と親しくなれて良かった」
と感極まって抱きしめられたのは、本当に困った。
「ちょっ! スキンシップ多いって!」
「ダメか?」
「もー、プライベートゾーンのことは、勉強しておいてよ!」
「それくらいなら知ってる。他人に侵入されると不快に思う空間という意味だろう?」
「それは、パーソナルスペース!! プライベートゾーンは、他人に見せたり触らせたりするのを配慮する、特定の身体部位だよ! 一般的には、水着で隠れる部分!」
「なるほど」
「……自分の意思で、そこを触られるのをお互い合意してるときだけ、触って良いの!」
ムキになって叫ぶと、洛世は、少し考えるようなそぶりをした。
「俺は、晶哉になら、触られても良いと思うし、晶哉を触りたいと思う」
「はあっ?」
何を言われているのか解らなくなって、晶哉は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「晶哉。お前は……俺に触りたいとは思わないか? 俺に触られたら、不愉快か?」
これほど、返答に困る言葉はなかった。
最近、ボランティア同好会を立ち上げて、通学路の美化活動をして居ました。
僕たちの高校は、山の上にありますが、恥ずかしいことながら、地元では『ポイ捨ての名所』として有名でした。
それで、ゴミ拾いをしようと思ったのです。
ゴミ拾いを初めて少し経ったとき、懐かしいキャラクターのキーホルダーと、名前の入った給食袋を見つけました。
少し前に、僕は家族旅行で、西島さんがお住まいの地域に行ったのですが、その際に、とわちゃんの捜索ポスターを見たことを思い出しました。
もしかしたら、あのとわちゃんかもしれないと思ったので、連絡しました。
添付した写真が、ゴミを拾っていて見つけた、オジサンウサギの健次郎のキーホルダーと、給食袋です。
それでは、お忙しい中、ここまで読んでくださってありがとうございました。』
文面は、洛世と晶哉で考えた。
最近、洛世の家に寄るのが日課になっている。すっかり、慣れた洛世の部屋には、晶哉の為にクッションが増えた。
「端的に事実だけ告げれば良かっただろうに」
洛世の書いたメールは『添付の写真の物品を発見した。お探しの妹さんのものかも知れないので確認を願う』だった。
「世の中の人は、それだけで動けないと思うよ……」
まず、経緯を説明しないと、訳が分からないだろう。
そして、発見した当時のこと、自分たちがどういう人間なのかというのを教えなければ、返信するのを躊躇うだろう。
「洛世は自分基準で物事を考えすぎだよ。全員が、洛世と同じくらい勉強が出来るわけじゃないし、洛世と同じような思考をするわけじゃないんだから」
といいながら文面を直すと、洛世は、不思議そうな顔をしていた。
「なに?」
「いままで、そんなことを言われたことはなかった」
「あんまり人と付き合わなかったからじゃない?」
「そうかも知れないが……、両親からも、特に言われたことはないし……何をしても、黙認だった」
「ふうん。でも、心配はしてると思うよ。洛世のお母さん、僕が来た時、凄く嬉しそうにしたから。お友達もいなくて、ずっと、自分の世界が正しいと思ってるままで社会に出たら心配だったんだと思う」
洛世が目をまん丸にして「そうなのか」と小さく呟いた。「俺は、何一つ欠点も問題もないと思っていたが」
「人間、完璧な人なんて居ないでしょ。だから、皆で生きるんでしょ」
「晶哉は、小さいのに、達観してる所があるな。俺も、見習いたい。晶哉と親しくなれて良かった」
と感極まって抱きしめられたのは、本当に困った。
「ちょっ! スキンシップ多いって!」
「ダメか?」
「もー、プライベートゾーンのことは、勉強しておいてよ!」
「それくらいなら知ってる。他人に侵入されると不快に思う空間という意味だろう?」
「それは、パーソナルスペース!! プライベートゾーンは、他人に見せたり触らせたりするのを配慮する、特定の身体部位だよ! 一般的には、水着で隠れる部分!」
「なるほど」
「……自分の意思で、そこを触られるのをお互い合意してるときだけ、触って良いの!」
ムキになって叫ぶと、洛世は、少し考えるようなそぶりをした。
「俺は、晶哉になら、触られても良いと思うし、晶哉を触りたいと思う」
「はあっ?」
何を言われているのか解らなくなって、晶哉は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「晶哉。お前は……俺に触りたいとは思わないか? 俺に触られたら、不愉快か?」
これほど、返答に困る言葉はなかった。