「配布物があるので、帰寮後13時に第2音楽室へ集合」
鮮やかな青色にペイントされた路面電車にガタゴト揺られていると、先生が小声で言った。
その後ろで、とんぼがすっと飛んでいるのが目に入った。
「何だろ……」
ケントが期待を押さえきれない様子でひとり呟く。街のアーケードで催されたコンサート。僕達1年生だけでの初舞台は、想像していたよりも緊張した。
そんな大勢の観客はいないはずなのに、優しそうなきっとどこかのお母さんやおばあちゃん、おじいちゃんが僕達の歌に耳を傾けている様子は、ステージの上からよく見えた。
そうして僕達はいくつかの舞台と、積み重ねた練習で入学当初からは想像もできないほどに絆が深まっていた。
「クリスマスコンサートの譜面じゃないですか?」
イースがメガネを上げながら物知り顔で言う。その言葉にケントは瞳を輝かせた。
「うっそ、そっか、……ついに!」
「当校のクリスマスコンサートは、街一番の名物……と言っても大げさじゃありません」
「僕も何度か聞いたことあるかも。駅前でやってるやつだよね」
「そう。駅のクリスマスツリー点灯のタイミング位に20名全員で出る……。私は毎年、両親と一緒に見に出かけていましたよ」
「おお……。たのしみ!!」
学校の最寄りに着くや否や、電車から勢いよく飛び出そうになってトム先生に首根っこを押さえられているのが見えた。
相変わらず無鉄砲だが、年相応。このクリスマスコンサートを一番楽しみにしているのはケントで間違いない。
鮮やかな青色にペイントされた路面電車にガタゴト揺られていると、先生が小声で言った。
その後ろで、とんぼがすっと飛んでいるのが目に入った。
「何だろ……」
ケントが期待を押さえきれない様子でひとり呟く。街のアーケードで催されたコンサート。僕達1年生だけでの初舞台は、想像していたよりも緊張した。
そんな大勢の観客はいないはずなのに、優しそうなきっとどこかのお母さんやおばあちゃん、おじいちゃんが僕達の歌に耳を傾けている様子は、ステージの上からよく見えた。
そうして僕達はいくつかの舞台と、積み重ねた練習で入学当初からは想像もできないほどに絆が深まっていた。
「クリスマスコンサートの譜面じゃないですか?」
イースがメガネを上げながら物知り顔で言う。その言葉にケントは瞳を輝かせた。
「うっそ、そっか、……ついに!」
「当校のクリスマスコンサートは、街一番の名物……と言っても大げさじゃありません」
「僕も何度か聞いたことあるかも。駅前でやってるやつだよね」
「そう。駅のクリスマスツリー点灯のタイミング位に20名全員で出る……。私は毎年、両親と一緒に見に出かけていましたよ」
「おお……。たのしみ!!」
学校の最寄りに着くや否や、電車から勢いよく飛び出そうになってトム先生に首根っこを押さえられているのが見えた。
相変わらず無鉄砲だが、年相応。このクリスマスコンサートを一番楽しみにしているのはケントで間違いない。