広い体育館には、本日、長テーブルがずらりと並べられている。

 裁縫の得意な部員が用意した綺麗なクロスを、上にかけて売り場を作る。

 テーブルの隣にはのぼり。

 布を縫って文字を手書きして棒にくくりつけた簡単なものだが、こういうほぼ素人のバザーにはじゅうぶんな宣伝だろう。

 テーブルには陳列棚を用意して、そこにラッピングした焼き菓子を並べた。

 手先が器用な者が多いだけあって、なかなか見栄えがするブースになった。

「焼き菓子いかがっすか!」

「手作りですよー!」

 ブースには部員が立って、呼び込みをする。

 バザーの会場に入って、あちこち見て回る客を呼ぶのだ。

 今日はボラ研の夏休み活動のひとつ、バザー出展の日。

 バザーは駅前の体育館でおこなわれるもので、地域のものとしてはそこそこの大きさのものといえた。

 昔は駅前広場で開催されていたそうだけど、なにしろこの暑さである。

 熱中症患者が出てはかなわないということだろう、数年前から体育館での開催になったらしい。

 出展する側としても、涼しいほうが有難いに決まっているので、純粋にバザーを楽しめそうであった。

 瑞希は部長として、ブースに立つよりも、部員たちの動きを指示する立場。

 別の場所にいる、在庫管理や呼び込み役もたまに見に行く。

 すぐ横のブースではリサイクル品を並べていた。

 折りたたみのラックを借りてそこに古着を吊るしたり、ちょっとした家具、家電なんかもある。

 部員が持ち寄ったものである。

 日曜の開催であったからか、なかなかひとの入りは良かった。

 体育館の入り口から次々ひとが入ってくる。

 家族連れも多い。