次の日、あんな話を聞かれてしまった俺は悠真の反応が怖くて話は愚か、目も合わさず1日過ごした。

そして、こんな日に限って運悪く放課後先生に呼び出された俺は、用を済ませて一人教室に戻ってくると、そこには俺を待ち構えていたかのように悠真がいた。

まるで見えてないかのように無視して、荷物を掴んで教室から出ようとすると、案の定腕を掴まれ二人きりの教室に気まずい空気が流れる。


「おいっ、なんで逃げんだよっ…」

「なんでって…っ、んなの分かってんだろっ…」

「…っ、だけど俺…っ、まだちゃんと聞いてない…っ」

「は…?そもそも話すつもりなんかねぇからっ!離せよ…っ」

「じゃあっ…俺、ずっとお前に無視されたまんまかよっ…」

「…っ、それは…っ」

「俺はそんなの嫌だよ…」


何でお前がそんな顔すんだよっ…

俺だってこんな事になっちゃったのが苦しくて仕方ないのに、ただの友達でいられたならどんなに良かったかったか。

でももう戻れないんだよ!

俺は悠真の手を振りほどきダッシュで教室を出て行くが、そんなのお構い無しに悠真も俺を追いかけてきて結局靴箱の所で捕まってしまった。


「なぁ、俺ら友達だろっ!?このまま卒業するなんて俺、嫌だよっ」

「とも…だち…?そうだよ…っ、友達だよっ!お前からしたら俺はただの友達なんだろうけど俺は…っ」


そこまで言いかけて言葉を詰まらせた。
わかってたよ、当たり前だろ?

悠真は俺に対して、特別な感情なんてあるわけないんだ。

友達である事は俺にとって最高で最悪の言葉。

こんな事さえなければ、ずっと普通の友達でいられたのに…

でも友達である以上、絶対にそれ以上は期待できない事も同時に突きつけられた気がして、胸が苦しくて目の前がぼやけて、その場にしゃがみこんでしまった。


「ごめん…」

「なんで謝るんだよ…っ」

「俺っ…そういうのわかんなくて…」

「当然だろっ…だからもう、ほっとけよ…っ」

「でもっ…でも俺、凜の事好きだからっ…こんな風に離れたくねぇよっ…」


その言葉を聞いて胸がギューって痛くなった。

悠真の言う好きは俺の求めてる好きじゃない…
だけど俺を好きだと言ってくれた。

もうヤダっ…やめてくれ…これ以上かき乱さないでくれよ!

いっその事この場で期待も持てないくらい思いっきり軽蔑して、俺の事振ってくれたらいいのに…っ!


「悠真の好きって何…?俺はお前の事本気で…」


俺を上から見下ろす悠真を見上げながら悠真の腕を掴めば、明らかに戸惑う悠真に俺は突き放される覚悟をした。