クリスマスは、うちで瞬と一緒にパーティーをした。
 母ちゃんは、オレの二学期の期末テストの点数が中間テストと同じレベルを維持できたのは瞬のおかげだと信じて疑わず、いつでも瞬を大歓迎している。
 そしてそれはとても正しかった。

「今日も泊っていくだろ?」
 もう冬休みに入っていた。
「うん、そうする」
 へらっと瞬が微笑む。

 瞬が泊まるときは、あれ以来オレのベッドに二人で寝ている。
 抱き枕の代わりのハグは毎回していたけど、それは寝る前だけだった。
「今日はクリスマスだから、ワタルに抱きついたまま寝てみても、いい……?」
 理由づけはよく分からんが。
「……っいい、ぜ」
「やっぱり嫌かな?」
 言葉に詰まったオレの空気を読もうとする。
「違う違う!
 されたことないから、単に緊張してるだけ」
「ふふ、うれしい。
 ありがとう、いつも俺のお願い聞いてくれて。
 俺もワタルのお願い、いつでも聞くからね」
 いいえ、テストの点を引き上げてくれているだけで十分です。
 それだけで母ちゃんの機嫌がいいのだから。
 でも、人間、貪欲に生きたいので、いつかお願いは聞いてもらうつもりだ。

「オレ、壁向いて寝るのが癖だから、後ろから瞬に抱きついてもらったまま寝るのでもいいか?」
「うん、全然問題ないよ」
 後ろから抱きしめられる。
 普通に抱きついていたらオレの身体の下敷きになりそうな腕は、肩口からオレの身体の前に腕を回していて、器用なことをするもんだと感心する。
 というより、慣れているのかもな。
「じゃあ、お願い事ができたら、そんときはよろしくな」
 抱きついている瞬の両手の甲に、自分の手のひらをこれまた両手とも上から重ねた。
 あ、手の甲は冷たいんだと思った瞬間、オレの後ろでもうひとつの身体がびくりと強ばる。

「瞬、どうした?」
 首だけ後ろに向ける。
「ううん、ハグしているときに手を重ねられたことなかったから、びっくりして。
 でもそうしてもらえると、あったかくて気持ちいい」
「よかった、オレも抱きついてもらってるからあったかいよ。
 人の温もりっていいもんだな」
「そうだね。
 ワタル、おやすみ。
 いい匂いする……」
 オレの首筋に顔をつけて、大きく息を吸い込みながら瞬が言う。
 耳元で囁かれ、瞬の鼻先や唇が首筋に触れて、くすぐったさを感じるのと同時にどくどくと心臓が波打ち、ひとり緊張する。
 手のひらにじわりと汗がにじみ、緊張が気づかれていないか内心ひやひやする。
「……っ!
 おやすみっ」
 落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け……と、羊を数えるかのように落ち着けという言葉を心の中で連呼し続けた。
 人の気も知らずに、この日の瞬の寝つきは過去最速で、1分後には静かな寝息が聞こえていた。