2月…



世の中は、バレンタインデーの話題ばかり…



祥子が…



「楓、バレンタインデーに剣に何かあげるの?」



「まだ、何も考えてないんだよー」



「手作りしたら?」



「え~、そんなこと出来るの?」



「けっこう簡単なんだよ。私も大好きな先輩にあげようと思ってるんだー」



「そうなの?なら私も一緒に作りたい」



「いいよ、一緒に作ろう」



そんなこんなで、楓は祥子とチョコとクッキーを作ることにした。



楓の家には、オーブンがあったから…楓の家で作った。



チョコは、板チョコを溶かして…型に入れるだけ…



でも、クッキーは殆ど祥子が作った…

食べてみたけど、けっこう美味しかった。



それを可愛い瓶に詰めて…



この時代に100円ショップは存在しない―――



だ・か・ら、祥子のお母さんが集めた瓶を頂きました。



すごく可愛く出来た…

剣、気に入ってくれるかなー



バレンタインデー当日



本当は、こういうの持っていっちゃいけないんだけど…

私は、そんなの気にしない…



夕方、いつものように…

剣がクラブが終わるのを待って…



「剣、これ…作ってみたんだけど…どうぞ」



「えっ、これ楓が作ったの!?」



「あ…全部じゃないけどね…祥子と一緒に作ったんだ…」



「嬉しい…ありがとうな」



剣は感動してるみたいだった…



―――おっしゃー!良かった…



これも祥子のおかげだな…



「よし、帰ろうか…」



「うん」



いつものパン屋さんまで帰るのかと思ったけど…



剣は、そこで止まらなかった…



「あれ?剣どこに行くの?」



「なんか…嬉しいから、家に帰る前に楓と一緒に食べたくなった」



「嬉しい…じゃ、公園に行こう」



剣と楓は、いつもの公園に行った。



剣は、可愛くラッピングしたリボンをほどいて…

瓶からチョコを出して…食べてくれた。



「美味しいよ」



「なら、良かった」



剣はクッキーも食べた…



その後、またチョコに手を伸ばしたんだけど

その手は、楓の口の前に…

あーんと言わんばかりに…



楓は、思わず口を開けた…

そしたら剣が、チョコを楓の口の中に入れた…



楓は、びっくりして…どういうリアクションしていいか分からなくて…

たぶん…顔を真っ赤にして…



「美味しいね、剣ありがとう」



って言った。



剣の顔を見たら…

剣も顔が真っ赤だった…



あーこのドキドキいいよね…

懐かしい感覚…



しかも、この展開も前の人生には無かった…



少しずつ、剣の心に近付けてるかな…

シャイな剣が、これだけ楓に近付こうとしてくれている。

私も、頑張らなくっちゃね。



真っ暗になった公園で、二人は語りあった…