「…それをすると、どうなるんですか?」

真白が恐る恐る聞いた。

「下手をすれば体がそのまま乗っ取られて、命を落とすかもしれない。でも対処法はある」

晶が一枚の人型の紙の人形を出した。

「綾女は、知世と話がしたいんだよね?知世の魂を呼び出して、真白ちゃんに憑依させる。その代わり綾女にはこっちに移ってもらうんだ」

どちらにしろ真白に憑依させることは変わらないらしい。

「その、知世の魂はどうやって連れてくるんですか?」

「紫音くんと花蓮ちゃんがさっき探してきてくれた」

真白は紫音と花蓮を見た。

「でも、動いて大丈夫だったの?」

「もう傷も塞がってるから大丈夫だ」

「知世の魂は、あの旅館の地下にあったの」

事情を話して入らせてもらったところ、知世が眠っているお墓が地下にあったらしい。

「あの旅館にいけば知世に会えるかも」


真白たちは旅館に向かう準備をした。

結奈と天音は渚と一緒に先に出発した。


「どうして二人を先に行かせたんですか?」

真白は疑問に思い、晶に聞いた。

「あの子たちの持っている笛と扇子が知世を呼び出すのに必要なんだ。渚の持っている鈴もね」

姿見も運ぶため、残っている人たちは車で向かった。


真白たちが着く頃には、ほとんどの準備はできていた。

「あれが知世の眠っているお墓?」

真白が見た千世のお墓はまるで祠のようで、祀られている雰囲気だった。

最後に姿見を置いて、人型の紙を置いたら準備は完了だ。

「最初に綾女を人型の紙に移す。真白ちゃんは一瞬気を失うと思うから、支えてあげて」

やがて、綾女の魂を移す儀式が始まった。

結奈が笛を吹いて、渚が鈴を鳴らす。

それに合わせて、天音が扇子を三回仰いだ。

真白の意識が薄れて倒れた。

それを要が支えた。

真白から青い光の玉が出て、人型の紙に移った。

それはやがて、綾女の姿に変わった。

「これを首にかけろ」

渚が勾玉を綾女に渡した。

「次は知世の魂を真白ちゃんに移す」

晶が祠のようになっている墓の方を向いた。

そこに向かって何か唱えている。

「ここに眠る魂よ。目覚めたまえ…」

そう唱えると、中から青い光の玉が出てきた。

それは晶の手の平にやってきた。

晶は青い光の玉を真白の体に入れた。

真白は瞼を開いた。

真白は不思議そうな顔をしている。

「あなたが知世?」

晶は不思議そうにしている真白に向かって尋ねた。

「そうよ。なんで、私はもう死んだはずなのに…」

それは明らかに真白とは違う雰囲気だった。

「急に呼び出してすみません。実はあなたと話したい人がいるんです」

晶が綾女の方を見た。

「…綾女?」

真白の姿をした知世はそう呟くと、綾女に抱きついた。