今日の体育の授業は、サッカー。なぜこんな暑い日の暑い時間帯に体育を行うのかよく分からない。

「にしても、何だか調子がおかしいような…」

 いつもならそんなことないはずなのに、なぜだか今日は頭がぼんやりする。

(なんだか体もふらふらしてくるし…何が起きてるの?)

 回らない思考回路を必死に叩き起こし、ボールを蹴ろうとした。

 その次の瞬間だった…

「危ないっ…!」
「え?」
「大丈夫?あんた、もしかして熱中症じゃ…」

 ♢ ♢ ♢

「もしかしたら熱中症かもね。さあ、保健室でゆっくり体を休めなさい。」

 あの子に言われたとおり、僕は熱中症になりかけていたらしい。

(命…救ってもらった…)

 近くにいた人が、優しい人で良かった。

 近くにいた人が、周りをきちんと見ている人で良かった。

 近くにいた、同じクラスのあの子に、命を救ってくれたあの子に、感謝しかない。