大好きな人に、別れを告げられた。僕も大好きだったし、相手方もまだ好きだった。

 けど、受験のため、仕方がなくお別れすることにした。

「でも、親友でいてほしい。これからもずっと…」

 そう言いながらも、相手方の目は潤んでいた。きっと、苦渋の決断だったのだろう。

「いいよ。これからも、親友として、よろしくお願いします。」

 そんなことがあった日から日付は変わり、この日は昨日のことになってしまった。

 さみしいとは、あまり思わなかった。だって、まだ親友でいられるから。

 忘れられてしまうのが、1番悲しいかもしれない。

「ジョギング、するか。」

 週末の朝のルーティーン。どれだけ僕を取り巻く環境が変わろうと、習慣を変えたくはない。

 今まで、ありがとう。

 そう思いながら、靴ひもを結びなおした。

♢ ♢ ♢

 スズメが鳴いている。空の上で、ぴちぴちぴちぴちと、元気よく鳴いている。

 風が、心にあった何かを、フッと飛ばした。

(心が、軽くなった気がする。)

 また、1日が始まる。