トイレから出るとさっき座っていた場所に戻った。

残りの時間をどういう風に過ごせば寂しくない時間が長続きするかなんて考えても思いつく筈がない。

そんな方法存在しないのだから。

結局他愛もない話をして時間は過ぎていく。

理斗君は終始いつもと変わらない様子で、わたしと離れても平気みたいに見える。

「ねぇ理斗君」

「ん?」

───理斗君はわたしと離れても平気なの?

そんな言葉を言いかけて飲み込んだ。

その質問は同時にわたしが平気じゃないことを伝えてしまうから。

今から旅立つ理斗君に心配させる訳にはいかない。

とにかく最後まで笑顔で見送るんだ。

「そろそろ行かないと」

「そうだね」

席を立つと見送れるところまで一緒に行く。

「わたし、飛行機乗ったことないんだ~」

「そっか、じゃあ今度飛行機でどこか行こうか」

「うん!」

わたし達は足を止めると顔を見合った。

「じゃあここまでだから」

「うん」

「着いたら連絡するよ」

「待ってる」

「じゃあ、行ってくる」

「うん、バイバイ」