――めぐる春夏秋冬。

 春から夏へ、夏から秋へ、そして秋から冬へと季節は移り行く。
 時が過ぎるのは自然な流れのように見えて残酷なことのようで、生きていることの証明でもありました。

 慶誠大学二回生の日々は順調に過ぎ去り、二度目の冬を迎えようとしています。
 結局、あれから坂倉さんと言葉を交わすことはなく、二年続けてミスコングランプリに出ることはありませんでした。

 私はキャンパスライフを送りながら、喫茶さきがけにもよく通いピアノの練習もさせてもらい、充実した日々を送っています。

 友人である恵美ちゃんは相変わらず元気な様子でよくカラオケや室内スポーツにも一緒に出掛けています。静江さんは就活と卒業論文の制作で忙しくなり、今が大事な時期とのことで、ほとんど別の方がサポートスタッフの支援をしてくれています。

 主に私が支援を受けているのはテキストデータ化サポートとテキスト点字点訳、ガイドヘルプなどですが、フェロッソとキャンパスを歩くのに慣れてきたことで、ガイドヘルプを毎回頼む必要もなくなり、人が大勢いて不安な時や初めて行く教室の時に限られてきました。

 視覚障がいを持つ私にとって最も重要なテキストデータ化サポートについては引き続き利用をしています。
 パソコンやスマホに付いている音声認識ソフトを使って学習することが一番多いので教科書や資料などをテキストデータにしてもらうのですが、最近はスキャンしたデータを手動で入力してテキストデータ化しなくても、OCR(文字認識)機能を使ってテキスト部分を認識し、文字データに変換する技術が開発されたようです。
 これによって時間をかけて入力する手間が省け、便利になったようです。

 チラシや手紙などもカメラアプリを使って情報を読み取って書いている文字や絵などを音声再生して教えてくれますから、こうした近年のテクノロジーの進歩は目覚ましいものがありますね。

 点字点訳に関してはテキストデータ化したものをパソコンから点字点訳ソフトで読み込み、点字プリンターで印刷すれば点字テキストにしてもらえます。こちらの方は手間がかかるので日々の学習に必要な分だけを印刷してもらっています。
 
 後は点字資料や録音資料に訳されていない情報を読み上げる対面朗読があり、何かと予定が合わないことが多いので、試験前などに何回か利用するに留めています。

 何もかもが順調とは言えませんが、教育系の講義も二回生からあり興味深く勉強をしているところです。

 そんなところで来年からは保育士試験の勉強もしていきたい所存であるので、なかなか忙しい毎日が続いています。

 でも、アルバイトや部活、サークルに所属して頑張っている方も大勢おられますので、私は時間に余裕ある方かもしれませんね。