「あ、監督が、また昼頃でいいから職員室来いって言ってましたよ」
「まじ?なんかやらかしたんかな〜。伝言サンキュ」

木本くんは、さっと俺の横に並んでスマホを自分の斜め上にかかげた。

「…っし。めちゃめちゃ可愛い王子様とお姫様と俺が撮れたんで帰りますわ」

「あ!それ絶対俺に送ってや!トリミングする!」

「可愛い後輩トリミングすんな!じゃ、失礼します!頑張ってくださいね!」

木本くんはまた人混みに消えていった。

「木本くん。本当にいい子だね」
「そうよ。本当にいい奴。やから来年からはチームの中心になってほしいんよ」

ふふ、とまた、大人びた、さびしそうに笑う声がした気がした。

「あの!私等も写真、撮ってください!」

そう声をかけてきた生徒は右、左、斜めと四方八方からいて、クラスメイトが予想していた通りの客足を獲得できそうだった。


「たまき姫とたじ王子と写真撮りたい人は2年6組へ行ってくださーい!暑さしのぎしましょー!」

はい、ダッシュダッシュ!と田島くんがコールをする。

その自由な誘導の仕方に笑ってしまった。