『たまきくん、みんなに優しいしかっこいいからすき!』

物心ついてから今日まで言われ慣れたそれにたいして、何の感情持たなくなった。


自分の外殻が優れたもので、

でもそれだけじゃ、好きになる理由としてさみしいから

取ってつけたように内部の事もみんなが述べる。

優しいなんて嘘だと分かっている。

優しいなんて、誰にでも言える、当たり障りのない言葉。それこそ優しい、真綿のような言葉。

ふわふわと質量のない言葉をプレゼントされるたび、
中身の有り余った容量を見透かされているんじゃないかとヒヤヒヤする。

俺は、きっと優しくなんかない。

もうどうでもいいから、誰でもいいから、嫌われたくないから
相手が欲しい言葉をプレゼントするだけ。

このままふわふわと流されながら生きていけば、ずっとみんなが求める『優しい』『かっこいい』俺で生きていける。


わざわざ逆行して、誰かに逆らって自己主張をする人を見て、
『ばかだなあ』と『羨ましい』を
繰り返しながら見ていた。

無難が一番生きやすい。誰かの指示や空気に飲まれながら生きる事が自分の事を守れる気がした。


いつか言われた『そんなもんかよ』という罵りがずっと、胸で反芻していても、俺は、本当の自分を胸の奥底にしまい込んだ。