叶人はぬい活のアルバムを一番最初のページに戻し、パラパラとめくって進めていく。

 最初のページは、初めてぬい活デートをして叶人と恋人になった思い出深い場所の、カラフルな花畑。その次は、カラフルな花畑に決めた後に、他の候補だった二箇所も行きたいねって話になって、結局ラベンダー畑とひまわり畑にも行った。それから海や湖の、水がある風景の場所へも行って。季節が変わり、秋には紅葉が綺麗な公園、冬はスキー場。そしてさっき見た、冬は寒さで湖の上辺りが凍り、その上に雪が積もるワカサギ釣りの会場。デート以外にも、公園の遊具と撮ったり、庭でかまくらを作ってその中に羊毛フェルトのキャラを並べて撮ったりした写真もある。

 羊毛フェルトの俺らは、全部の写真の中で変わらずに手を繋ぎ、仲良く寄り添って微笑んでいた。変わったのは服装ぐらいだ。

 俺は、勉強机の上にある羊毛フェルトの俺たちに視線を向ける。彼らは今、春らしく柔らかいピンク色の花柄ワンピースを着て、写真と同じように仲良く手を繋ぎ微笑んでいる。

 叶人に視線を向けると目が合う。

「こうしてみると、あちこち行ってるね。叶人とぬい活デート、たくさんしたな……」
「ね、いつも付き合ってくれて、ありがとう!」
「こっちこそ。叶人とのデートはいつも楽しいもん」

 叶人と微笑み合うと、ふわっと癒される気持ちになった。いつもいつも叶人には癒されている。
 
 楽しい時間は早送りされているみたいで、叶人と過ごす時間は、本当にいつもあっという間に過ぎていく。