「「あっ、ごめん――」」

 ふたり同時に謝った。

 またドキドキしてきてしまった。
 僕は昨日の夜から、陽向くんをとても意識してしまっている。

 陽向くんとハグをした時のドキドキは、本当に凄かった。陽向くんがお風呂に入ってからもしばらくずっと「これは恋なのかな?」って考えていた。けれど、もうすぐ完成するうさぎのもっふんちゃまが目に入って、僕は今、恋について考えている場合ではない。やらなければならない使命があるのだと思い出して、作業を再開させた。それからは表面では何事もなかったかのように今、この時まで過ごしてきた。

「か、叶人は、次、何を作るの?」
「小鳥かな? 陽向くんは?」

 顔を見るともっとドキドキしそうだけど、目をそらしすぎたら陽向くんが悲しい気持ちになってしまうかもしれない……僕は頑張って、陽向くんと目を合わせた。

「どうしよう……叶人と作るの楽しかったから、また何か作りたい気がするけれど」

――僕と一緒に作るの、楽しいって思ってくれたんだ。嬉しいな!

「陽向くんが一番好きなものを作るとか? そしたら完成させるのがもっと楽しみになって、楽しくなるよ」

 陽向くんは僕の顔をじっと見てきた。

「じゃあ、叶人を作ってみようかな――」
「ぼ、僕ですか?」
「うん、だって、ほら……いや、うん」
「じゃあ……僕も陽向くん作ってみようかな」

 今の話の流れって、一番好きなのは僕って意味だよね? だから僕も一番好きな陽向くんを作ってみようかな?って思った。

 その気持ちをそのまま陽向くんに伝えたいけど、なんか恥ずかしくて言えない。昨日までは素直に好きって気持ちを伝えられていたのに。

――恋の好きを意識しちゃうと、どうしてだろう。上手く伝えられなくなっちゃう。

***