誰だろうか……。



彼女は外を見るのに夢中のようで、僕の存在には気づいていない。



気づかれないように……って、あ。



歩き出した矢先、教卓の角に足が軽くぶつかる。



その音に気がついた彼女が、驚いて振り向いた。



「え……」



目が合った彼女は、今までに会ったことがある女性の中で、飛び抜けて綺麗な容姿をしていた。



その容姿は、間違いなく……。



「桂……さん?」



「え、あ……っ」



桂さんがほんのりと頬を赤く染め、僕の目の前から逃げ出した。



勢いよく扉が閉まって、教室に静寂が訪れる。