ヴィーニョ・ヴェルデが余りにもおいしかったので、食後酒が飲みたくなり、リスボンに戻った後、「ポートワイン協会」へ行ってきました。(食事をしてから時間が経っているので食後酒とは言えないかもしれませんが)
年代物のポートワインが棚にズラッと並んでいます。
どうせ飲むなら熟成した古いものということで、メニューにある最古のものをグラスで注文しました。
1963年の白と1967年の赤です。
50年を超える熟成を経た味は、なんともまろやかで、しばし悠久の時の流れに想いを馳せてしまいました。
それに、口の中の余韻が素晴らしく、まったりとしたままその場から動けなくなりました。
ところで、ドイツを除くヨーロッパ全体がそうですが、まだまだ失業率が高く、特に若者の失業は社会問題となっているほどです。30%を超えていた10年前ほどではありませんが、現在も14%台を推移しているのです。
しかし、そんな中でも頑張っている若者を多く見かけました。
なかでも、ストリート・ミュージシャンが元気いっぱいで、見ているこちらも元気をもらいました。
最後に、とても可愛らしいものをご紹介します。
テージョ川をバスで渡って行った小さな村で見つけたものです。
ドア入り口の階段に並べられた小さな自転車でした。
一瞬、お伽の国に来たような錯覚を覚えました。
作者でしょうか、おじいさんがニコニコしながら座っているのが微笑ましく、それに惹かれて多くの観光客が足を止めていました。
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【ポルトガル豆知識】
ポルトガルは1143年に建国されました。
その後、スペインに併合されますが、1640年に独立を果たします。
しかし、その後、40年間に渡る独裁政権によって人々は苦しい生活を余儀なくされます。
それでも、1974年4月25日にカーネーション革命(無血の軍事クーデター)が起こり、民主体制に移行することになります。
ところで、日本とポルトガルの関係は、1543年に種子島にポルトガル人が上陸して始まりました。(鉄砲伝来として有名です)
その7年後、長崎県の平戸にポルトガル船が来航し、それ以降、南蛮貿易によって交流が深まっていきます。
そのこともあって、「パン」「ボタン」「カステラ」というポルトガル語がそのまま日本語として定着しています。
【簡単なポルトガル語】
・おはよう、こんにちは(昼食まで)……ボン・ディア
・こんにちは(昼食後)、こんばんは……ボン・タルデ
・こんばんは、おやすみなさい……ボア・ノイテ
・一日中使える挨拶……オラ
・さようなら……アデウス
・ありがとう……オブリガード(男性)、オブリガーダ(女性)
・ごめんなさい……デスクルベ
・はい……スィン
・いいえ……ナォン
・おいしい……サボローゾ
・女性に呼びかける時……セニョーラ
・男性に呼びかける時……セニョール
・ワイン……ヴィニョ(赤:ティント、白:ブランコ)
・ビール……セルベージャ(生ビールはショッピ)
・ビールをレモン味の炭酸で割ったもの……パナシェ(飲みやすい)
・水……アグア・ミネラル(炭酸なし:セン・ガス、炭酸あり:コン・ガス、冷えた水:フレスカ)
・海鮮鍋……カタプラーナ(美味)
・子ヤギ肉の料理……シャンファーナ(美味)
・アンコウのリゾット……アローシュ・デ・タムボリール(美味)
・野菜スープ……ソーパ・デ・レグーメス(美味)
・大きなカップのコーヒー……メイア・ドゥ・レイテ(コーヒーとミルクが半々)
・グラスに入ったコーヒー……ガラオン(コーヒーとミルクが半々:量が多い)
・いくらですか?……クアント・クスタ?
・どこですか?……オンデ・エ?
・会計をお願いします……ア・コンタ・ポル・ファヴォール
・トイレはどこですか?……カーザ・デ・バーニョ?
・トイレ……女性用:セニョーラ(Senhora)、男性用:オーメン(Homen)
それでは、これでリスボンのご紹介を終わらせていただきます。
オブリガード。
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“七つの丘の街”と呼ばれているリスボン。
その街並みを縫うように走るレトロな電車。
海のようなテージョ川と青い空。
魚料理とヴィーニョ・ヴェルデとポートワインがおいしく、
レンガ色の屋根がどこまでも続く美しい街、リスボン。
優しく温かい人々。
素晴らしいひと時を過ごすことができました。
ありがとう、リスボン。
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エッセイは他に2作品(『本に恋して』と『音楽に恋して』)公開中です。
また、色々なタイプの小説を公開していますので、こちらも是非ご覧になってください。
これからもヨーロッパの素敵な街をご紹介してまいります。
(次回はポートワイン発祥の街、ポルトをご紹介する予定です)
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
あなたの今日と明日が素敵な一日でありますように!
✧ 光り輝く未来 ✧
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『ヨーロッパに恋して』
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第6回『ポルト(ポルトガル)』
今回は、ポルトガル発祥の地、そして、ポートワイン発祥の地、『ポルト』をご紹介します。
ポルトガルの北部に位置するポルトは、人口約23万人のポルトガル第二の都市で、坂の多い街でもあります。
ポルトは、ポルトガル語で『港』を意味し、隣国スペインから流れ込むドロウ川(ドロウは黄金という意味)の河口に広がる街です。
ドロウ川を挟んで、北側が旧市街、南側が『ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイヤ』と呼ばれるポートワインのワインセラーが並ぶ地区になっています。
首都リスボンから特急電車で約3時間で到着しますが、しかし、簡単にはポルトの旧市街に行けません。
先ず、特急列車が止まる『カンパーニャ駅』で降り、それから、普通列車に乗り換えて、『サン・ベント駅』に行かなければならないからです。
その間、ひと駅なので、乗車時間は5分ですが、カンパーニャ駅では乗り換えの案内が見当たらず、バタバタしてしまう旅行者も多いようです。(実は私も間違って、反対方向に行く電車に乗ってしまって、再度乗り換える羽目になりました)
到着して、ホテルに荷物を置いて、旧市街の散策を少ししましたが、今回の目的はポートワインのセラー訪問なので、早速、反対側のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイヤに向かいました。
目的地に行くためには、橋を渡らなくてはなりません。
『ドン・ルイス一世橋』です。
上下二段になっていて、上を市内電車が走っています。
歩いて渡っている途中で、目指すワインセラーが見えてきました。
『テイラーズ』です。
橋を下りて、川沿いを歩いていくと、小舟が繋がれていました。
昔、ワインを運んでいた船のようです。
今は観光用に使われているようですが、粋な佇まいに、しばし見惚れてしまいました。
それだけでなく、見ているうちに、期待がどんどん高まっていき、テイラーズに向かう足が軽やかになりました。
坂を上っていくのですが、まったく苦になりませんでした。
正門に到着しました。
ワクワクしながら中に入ると、テイラーズの歴史を巡る観光案内ルートが用意されており、受付で英語のガイド端末を借りて、倉庫に向かいました。
倉庫の中には、樽がずらーっと並んでいて、余りの数に息を呑むほどでした。
その奥に何か見えました。
近づくと、目の前に大樽が現れました。
テイラーズの主のような樽です。
1692という大文字が歴史を物語っています。
そうです、テイラーズは1692年に創業され、今も創業一族によって経営されている名門のセラーなのです。
しばし見惚れていましたが、他の見学の人の邪魔になったらいけないので、ルートに沿って歩き始めました。すると、古い樽や、昔使われていた器具や、馬車のような物が展示されているコーナーが目の前に現れました。
そして、その先には年代物のワインが保管されている棚があり、長い時を経て熟成された古酒がひっそりと佇んでいました。
もうこれはお酒というよりも、歴史的価値のある遺産と呼んでもいいのかもしれません。
ここでもしばし見惚れていましたが、見ているだけでは物足りなくなったので、外へ出て、テイスティングルームに向かうことにしました。