「えっ、告白されたの!?」
 夕日が差し込む教室内に鈴音の声が上がる。まだ教室に残っていたクラスメイトが一斉に此方を見る。
「鈴音、声大きいよ、、、」
「あ、、、ごめんごめん」
アハハと笑って謝る鈴音。
「でも、真央もついに春か〜」
「付き合う気はないんだけど、、、」
「えっ、何で!?」
 鈴音は不思議そうな顔をした。確かに兄さまは私のことが好きなのかもしれない。私も兄さまのきとは好き。
鈴音はそれが分かっているから余計驚いたのだろう。
「でも、兄さまは死者で、私は生者。それは本来(えにし)を結んだらダメ、、、」
「縁?私そうゆう系疎いのよ、、、憑き物落としの家系って色々決まりがあるんだね」
「決まりじゃなくて、、、えっと、、、この世の道理が許してくれない」
「うん。余計難しくなったね」
(何て説明しよう、、、分かりやすく噛み砕くって難しい、、、)
『必ずそうなるように決められたこと。例えば、罪を犯した者が罪悪感に蝕まれ、裁かれるような感じだろうか』
相変わらず、兄さまって凄い、、、。
 不意に、声が聞こえた。
「新山さん、何か忘れていませんか?」声の主は後ろの黒板に貼られた進路懇談のお知らせと書かれた紙を指差す。
「あ!進路懇談、忘れてた、、、」
急いで支度をする鈴音。
「行ってらっしゃい」
「行ってきま〜す」
 教室から出ていったのを確認して、声の主に視線を移す。
そこには時雨くん。
「時雨くんは進路懇談?」
「いえ、少し真央さんと話したいことがありまして、、、」
「話したいこと?」
 少し此処では他の人の目もあるので場所を移しましょうと言われ、階段のところに連れてこられた。
「真央さんは師匠ともう一度会いたいんですんよね」
「会えるなら、、、もう一度、、、」
「僕が会わせてあげます」
「え、、、」
 時雨くんは通学鞄から時戻しの書を取り出した。
「責任は僕が全て取ります」
「どうしてそこまでして、、、」
「恩返しです。助けて頂いたのに何もしてあげられなかった。これが僕の恩返しです。父も納得してくれています」
(時雨くん、、、)
 良いのだろうか。人生で一度しか使えない力を、私の為に使っても、良いのだろうか。
「勿論、すぐにとは言いません。心の準備もあるでしょう」
 本を私に渡し、時雨くんは踵を返す。
(どうしよう、、、)