「熙! もうすぐ夏休みだな。どこ行く?」
高校3年の幸田熙は、ごく普通に日常に戻る。璃乃と一緒にいる時はまるで別世界にいるようでふわふわしていた。頭がぽやんぽやんしている。連日の猛暑の影響からだろうか。
「えっ。何か、言った?」
後藤修哉は、幸田熙の高校のクラスメイトだ。奇跡的に3年間同じクラスになってきた。
「なんだよ。休み明けでぼーっとしてるよな」
「え、あ、まぁ。そうねぇ……」
煕の目はぼーっとしている。修哉は煕の前に歩きながら手を振った。反応しない。どこを見ているのだろう。こっちを見ていなくてイライラしてきた。クラクションが鳴る交差点にびくっとするがすぐに歩き続けた。
「おい!! 煕」
「へ、あ。うん。どうした? 修哉」
「……やっとかよ。せっかく駅から学校までの通学でお前に話したいことたくさんあったのにさ。もう着いちゃうじゃん」
「え、あ、本当だな。悪い悪い。んで? なんの話?」
「ワンピースのトレカさ、ガチャでいいやつ当たったんだよ。結構な枚数になってさ。今度バトルしようぜ」
「……ガチャ? 俺もガチャしたぞ。トレカの方じゃなく、キーホルダーだけどな」
「俺、別にキーホルダーいらないけどな」
ものすごく不満そうな修哉は煕の言葉に苦虫をつぶす。求めていた言葉はそれではない。
「興奮してほしいところそこじゃねぇだけどな。まぁ、いいや。昼休みは絶対話聞けよ!!」
修哉は、校舎の前から不満そうな顔をしながら駆け出して、昇降口の靴箱に行く。煕と修哉は同じクラスだが、修哉は少し離れてほかのクラスメイトに話しに行った。修哉にはたくさんの友人がいる。煕は3人くらいしかいない。それでも満足していた。同じクラスでも性格が違う。それでも休み時間は一緒に過ごすことが多い。腐れ縁でもあるのだろうか。修哉は彼女欲しいと言いつつも男子と絡んで遊ぶのが好きだ。女子と話すには意識してしまうらしい。
煕は修哉が立ち去ったあと、スマホのラインを確認した。璃乃からのメッセージが来ていた。思いがけずテンションが上がる。
『昨日はありがとう。ハシビロコウをゲットできてすごく嬉しかったよ。今度はフクロウカフェに一緒に行こう』
そのメッセージに可愛いハシビロコウがお辞儀しているスタンプが押されていた。
頬が緩んででれでれになる。スマホをズボンのポケットに入れて、ご機嫌に教室へ向かった。
周りに聞こえないくらいの鼻歌を歌っていた。
教室に入ると頬杖をついてすこし不機嫌そうな修哉はじっと煕を見ていた。煕は全然気にしていなかった。
高校3年の幸田熙は、ごく普通に日常に戻る。璃乃と一緒にいる時はまるで別世界にいるようでふわふわしていた。頭がぽやんぽやんしている。連日の猛暑の影響からだろうか。
「えっ。何か、言った?」
後藤修哉は、幸田熙の高校のクラスメイトだ。奇跡的に3年間同じクラスになってきた。
「なんだよ。休み明けでぼーっとしてるよな」
「え、あ、まぁ。そうねぇ……」
煕の目はぼーっとしている。修哉は煕の前に歩きながら手を振った。反応しない。どこを見ているのだろう。こっちを見ていなくてイライラしてきた。クラクションが鳴る交差点にびくっとするがすぐに歩き続けた。
「おい!! 煕」
「へ、あ。うん。どうした? 修哉」
「……やっとかよ。せっかく駅から学校までの通学でお前に話したいことたくさんあったのにさ。もう着いちゃうじゃん」
「え、あ、本当だな。悪い悪い。んで? なんの話?」
「ワンピースのトレカさ、ガチャでいいやつ当たったんだよ。結構な枚数になってさ。今度バトルしようぜ」
「……ガチャ? 俺もガチャしたぞ。トレカの方じゃなく、キーホルダーだけどな」
「俺、別にキーホルダーいらないけどな」
ものすごく不満そうな修哉は煕の言葉に苦虫をつぶす。求めていた言葉はそれではない。
「興奮してほしいところそこじゃねぇだけどな。まぁ、いいや。昼休みは絶対話聞けよ!!」
修哉は、校舎の前から不満そうな顔をしながら駆け出して、昇降口の靴箱に行く。煕と修哉は同じクラスだが、修哉は少し離れてほかのクラスメイトに話しに行った。修哉にはたくさんの友人がいる。煕は3人くらいしかいない。それでも満足していた。同じクラスでも性格が違う。それでも休み時間は一緒に過ごすことが多い。腐れ縁でもあるのだろうか。修哉は彼女欲しいと言いつつも男子と絡んで遊ぶのが好きだ。女子と話すには意識してしまうらしい。
煕は修哉が立ち去ったあと、スマホのラインを確認した。璃乃からのメッセージが来ていた。思いがけずテンションが上がる。
『昨日はありがとう。ハシビロコウをゲットできてすごく嬉しかったよ。今度はフクロウカフェに一緒に行こう』
そのメッセージに可愛いハシビロコウがお辞儀しているスタンプが押されていた。
頬が緩んででれでれになる。スマホをズボンのポケットに入れて、ご機嫌に教室へ向かった。
周りに聞こえないくらいの鼻歌を歌っていた。
教室に入ると頬杖をついてすこし不機嫌そうな修哉はじっと煕を見ていた。煕は全然気にしていなかった。