せっかく紗恵親子が来るのだから気持ちよく生活を始めさせてやりたかった。それで僕は家中の修繕を行った。和室の床の間をクローゼットに直すのはもちろんとして、換気扇も取り付けた。エアコンのない部屋にはエアコンを取り付けた。
家中の電灯をLEDに、キッチンやガスレンジを新品に交換した。リビングとダイニングキッチンの壁紙を貼りなおした。各部屋のカーテンも新品に交換した。1階と2階のトイレを新品に交換した。それからすべての床にワックスを塗った。
これだけするとなんとか気が済んだ。引っ越してきた紗恵は悪い気はしなかったと思う。嬉しそうに食事を作ってくれた。
◆◆ ◆
共同生活は順調に進んでいる。朝、子供たちが目を覚まして僕たちも起きる。僕が二人の子供の歯磨きや洗面を手伝ってから着替えをさせる。紗恵は朝食の準備をする。全員で食事をして、僕が後片付けをする。その間に紗恵は洗濯物を乾燥機から取り出して整理する。時間になると紗恵が誠と美幸ちゃんを職場の保育所に連れて行く。僕が戸締りをして薬局に出勤する。
夕刻、僕が帰宅すると夕食の準備をする。それから紗恵が二人を連れて帰ってくる。4人で食事をする。後片付けは紗恵がしてくれる。僕はお風呂の準備をして、子供二人をお風呂に入れる。一人ずつ洗って上げると紗恵がパジャマを着せる。僕がお風呂から上がると紗恵がお風呂に入る。僕は子供を寝かしつける。
紗恵が上がってくると二人でウイスキーの水割りを飲む。子供たちが寝込んだのを見計らってリビングと部屋の間のガラス戸を閉めて、明かりを落としてソファーで愛し合う。それに疲れると布団に寝転んで抱き合ってまた静かに眠りに落ちるまで愛し合う。
朝、美幸ちゃんが僕たち二人の間に分け入って来て目が覚める。それから誠も招き入れてしばらくすると子供たちが目覚める。このような一日が繰り返されている。土日には4人で車に乗って子供たちの喜びそうな所へ出かけて、帰りは外食をして帰ってくる。
そういう日々の繰り返しは平凡だけど、4人の楽しい共同生活が続いている。
◆ ◆ ◆
1年後、僕は紗恵にプロポーズした。
「僕たちはもう本当の家族になってもいいころじゃないか? 結婚してくれないか?」
「もう家族になっていると思います。心配事や迷うことは少しもありません。結婚してくだい。こちらこそお願いします」
「自然にこうなったけど、やはり相性がよかったのかな」
「いえ、お互いに相手のことを思いやったからだと思います」
「そうだね。過去の間違いを繰り返さないように気を付けてきたからかもしれないね」
「あのとき『恋愛ごっこ』をして過去に上書きをして思い出せなくしたいと言ってくれましたね。紘一さんのお陰で楽しい毎日が続いてもう過去を思い出せなくなってしまいました」
「僕も同じだ。もう思い出そうとしても思い出せない。思い出したくなくなってしまった。紗恵さんと美幸ちゃんのお陰だ」
「美幸のパパになってくれるのですね。美幸が喜びます。美幸にはあなたのことを紘ちゃんと呼ばせていますが、本当は他の子のようにパパと呼びたいのです」
「もちろん、誠のママなってくれるのですね。誠も喜びます」
僕たちは結婚して入籍した。美幸ちゃんを僕の養女にしたので、僕は本当のパパになった。結婚式には僕の弟夫婦、紗恵の姉夫婦、それからオーナー夫妻を招待した。そして僕たち家族4人の10人だけで食事会をした。皆、心から結婚を喜んでくれた。
◆ ◆ ◆
結婚してから、いつも布団を敷いてあった二人のための2階の部屋はカラオケセットを置いてお酒も飲めるラウンジにしている。その部屋は外にも音が漏れにくいのでカラオケで歌うにはもってこいの部屋になっている。
僕たちはあいていた2階の前の部屋にいつも布団を敷いている。そしていつまでもここで愛し合うことを続けたいと思っている。
これで挫折を経験した子連れの独身男女の「恋愛ごっこ」のお話はおしまいです。めでたし、めでたし。
家中の電灯をLEDに、キッチンやガスレンジを新品に交換した。リビングとダイニングキッチンの壁紙を貼りなおした。各部屋のカーテンも新品に交換した。1階と2階のトイレを新品に交換した。それからすべての床にワックスを塗った。
これだけするとなんとか気が済んだ。引っ越してきた紗恵は悪い気はしなかったと思う。嬉しそうに食事を作ってくれた。
◆◆ ◆
共同生活は順調に進んでいる。朝、子供たちが目を覚まして僕たちも起きる。僕が二人の子供の歯磨きや洗面を手伝ってから着替えをさせる。紗恵は朝食の準備をする。全員で食事をして、僕が後片付けをする。その間に紗恵は洗濯物を乾燥機から取り出して整理する。時間になると紗恵が誠と美幸ちゃんを職場の保育所に連れて行く。僕が戸締りをして薬局に出勤する。
夕刻、僕が帰宅すると夕食の準備をする。それから紗恵が二人を連れて帰ってくる。4人で食事をする。後片付けは紗恵がしてくれる。僕はお風呂の準備をして、子供二人をお風呂に入れる。一人ずつ洗って上げると紗恵がパジャマを着せる。僕がお風呂から上がると紗恵がお風呂に入る。僕は子供を寝かしつける。
紗恵が上がってくると二人でウイスキーの水割りを飲む。子供たちが寝込んだのを見計らってリビングと部屋の間のガラス戸を閉めて、明かりを落としてソファーで愛し合う。それに疲れると布団に寝転んで抱き合ってまた静かに眠りに落ちるまで愛し合う。
朝、美幸ちゃんが僕たち二人の間に分け入って来て目が覚める。それから誠も招き入れてしばらくすると子供たちが目覚める。このような一日が繰り返されている。土日には4人で車に乗って子供たちの喜びそうな所へ出かけて、帰りは外食をして帰ってくる。
そういう日々の繰り返しは平凡だけど、4人の楽しい共同生活が続いている。
◆ ◆ ◆
1年後、僕は紗恵にプロポーズした。
「僕たちはもう本当の家族になってもいいころじゃないか? 結婚してくれないか?」
「もう家族になっていると思います。心配事や迷うことは少しもありません。結婚してくだい。こちらこそお願いします」
「自然にこうなったけど、やはり相性がよかったのかな」
「いえ、お互いに相手のことを思いやったからだと思います」
「そうだね。過去の間違いを繰り返さないように気を付けてきたからかもしれないね」
「あのとき『恋愛ごっこ』をして過去に上書きをして思い出せなくしたいと言ってくれましたね。紘一さんのお陰で楽しい毎日が続いてもう過去を思い出せなくなってしまいました」
「僕も同じだ。もう思い出そうとしても思い出せない。思い出したくなくなってしまった。紗恵さんと美幸ちゃんのお陰だ」
「美幸のパパになってくれるのですね。美幸が喜びます。美幸にはあなたのことを紘ちゃんと呼ばせていますが、本当は他の子のようにパパと呼びたいのです」
「もちろん、誠のママなってくれるのですね。誠も喜びます」
僕たちは結婚して入籍した。美幸ちゃんを僕の養女にしたので、僕は本当のパパになった。結婚式には僕の弟夫婦、紗恵の姉夫婦、それからオーナー夫妻を招待した。そして僕たち家族4人の10人だけで食事会をした。皆、心から結婚を喜んでくれた。
◆ ◆ ◆
結婚してから、いつも布団を敷いてあった二人のための2階の部屋はカラオケセットを置いてお酒も飲めるラウンジにしている。その部屋は外にも音が漏れにくいのでカラオケで歌うにはもってこいの部屋になっている。
僕たちはあいていた2階の前の部屋にいつも布団を敷いている。そしていつまでもここで愛し合うことを続けたいと思っている。
これで挫折を経験した子連れの独身男女の「恋愛ごっこ」のお話はおしまいです。めでたし、めでたし。