The Sun-Gild Wing ――神話として語り継がれる超古代文明のテクノロジー

「結局、あいつらはまんまと逃げたってわけか?」
 フン・カメーが苛立たしげに呟いた。既に日が傾き始めている。夜になると捜索もより難しくなるだろう。
「目下、全力で探しております」
 と部下が言うと
「言い訳はいいからとっとと捕まえてこい!!」
 と怒鳴り、そばにあったティーカップを投げつけた。カップは部下に当たって床に落ちて割れた。
「兄さん、少し落ち着きなよ。パワハラだよ」
「お前、この期に及んでよく落ち着けるな!!」
 ヴクブ・カメーにまで当たり散らすフン・カメー。
「どんな手段を使って逃げているか知らないけど僕らのネオフラカンをまけるとも思えない」
 それもそうだな、とフン・カメーは思い直した。
 このシバルバーの隅々までネオフラカンシステムは行き届いている。住居、店舗、道路、病院、車……どこにいようと監視できるし、あぶり出すことも可能だ。
「もう少し待ってみよう。すぐにボロを出すさ」
 そうヴクブ・カメーが薄ら笑いを浮かべたとき、遠くで音がした。
「何だ?」
 自分たちがいる中央研究所の最上階にまで響く音とは何か。窓に目を向けるとそこには信じられない光景が広がっていた。
 夕日の映える虚空に蛇の形をした戦闘機が浮かんでいた。シバルバーのコウモリ型無人戦闘機が取り囲んで攻撃しているが全く歯が立たず、逆に次々と返り討ちにあっている。
「何だ、ありゃ!!」
 フン・カメーは双眼鏡でその戦闘機を見た。コックピットにいたのは…
「イシュタム!!」
 紛れもない、自分たちが追撃している女だった。
「どういうことだ…」
「兄さん、シパクナーとカブラカンを出撃させよう」
「あ? あれは本当の切り札とも言える兵器だぞ」
「今がまさにその切り札を使うべき非常事態だよ」
 ヴクブ・カメーが真顔で言った。

 その頃、ソールたちは港に着いて戦闘機を格納した潜水艦に搭乗していた。イシュタムの言った通り、ケツァルコアトルが囮になってシバルバーじゅうの注目が上空に集まったため、隙ができて敵に見つかることなくたどり着けたのだ。
 住人と出会っても無関心だったので難なくやり過ごせた。
「この国の人間は他人に無関心なのかね」
 テクノロジーが発達し過ぎたため人より機械と接することが多くなり、人間への関心が薄れたというのがソールの言い分だった。
 ついでに言うと、シバルバーに来るときにパイロットがマニュアル操作を誤って狼狽えていたことを思い出した。
「技術が発達し過ぎると人間の能力すらも衰えるんだよな」
 イシュタムもそうだった。自分のコンプレックスを克服するために脳を支配する「カウィール・シナプス装置」という恐ろしい技術をつくってしまった。今後、あの技術が兵士に使われれば無慈悲な戦闘マシーンを作れる。それに彼女は高度な技術者としてひっぱりだこになるかもしれないが、同時に命を狙われるかもしれない。
「ソール、行くぞ」
 ペガサスに乗り込んだペルセウスが言った。フェニックス、セイレーンを含め、3機がエンジンをふかして艦上から飛び立った。

 シバルバー上空では戦闘が長引いていた。
 シバルバーのこうもり型無人戦闘機――カマソッツは次から次へと出撃し、ケツァルコアトルを取り囲んでいる。一方、ケツァルコアトルは蛇の牙にあたる部分を突き出して旋回しながら体当たりする。さらに、胴体の砲身からは電撃を発射してカマソッソを葬っていく。しかしカマソッツの数が多すぎる。まるで蜂の大群に襲われた熊のように、ケツァルコアトルはエネルギーを消耗していった。
〈イシュタム、大丈夫か!〉
 フェニックスの中からソールが叫んだ。自身もそうだが彼女はもともとパイロットではないため、体が耐えきれないと踏んでいる。ましてや牙で敵に体当たりするドッグファイトを長期戦で戦えるとは到底思えなかった。
 3機はカマソッツを取り囲み次々と墜としていく。フェニックスは尾の実弾・テイルショットで、ペガサスはハルペー光線で攻撃し、セイレーンは音波攻撃が通用しないのでカマソッソ同士を翻弄して激突させた。しかしカマソッソが減る気配がない。
「おいおい、これじゃ本当にエネルギー切れになるぞ」
 ペガサスやセイレーンはもちろん、フェニックスは日没後に太陽光エネルギーを得られなくなる。それに、改良のときガイアの血を補給できなくしたので、燃料が切れたら二度とフェニックスに乗れなくなるかもしれない。
 最悪の事態が3人の頭をよぎったそのとき、ケツァルコアトルが光り始めた。
「何だ?」
 その光りはどんどん強くなる。かと思ったら突然、上空に舞い上がり、すさまじいスピードでカマソッツの一群めがけて突進した。
 その一撃でカマソッソの4分の1が葬られ、すぐに旋回して別の一群に突っ込んだ。その空域にいたカマソッソが全滅するまで十秒だっただろう。
「な、何、どうしたの?」
 アルテミスが不審げに呟く。
「まさか……」
 ソールは冷や汗を流した。イシュタム、カウィール・シナプス装置を発動させたのか? とうとう自らがサイコパスになってしまったのか?
「イシュタム、聞こえるか!? 返事しろ!!」
 するとケツァルコアトルがフェニックスに向き直り、突然突進してきた。
「うわっ!!」
 かろうじて回避したが、ケツァルコアトルの牙に尾の一部をひきちぎられてしまった。すぐさま旋回したケツァルコアトルは、今度はペガサスとセイレーンに体当たりする。
「がっ!!」
「きゃっ!!」
 直撃を受けたセイレーンの右翼が折れ、地上に落下していった。が、地上に激突する寸前で何とか体勢を立て直し、胴体着陸した。
「アルテミス!!」
〈だ、大丈夫。だけど、セイレーンは戦えなくなった…〉
「おいおい、セイレーンを一撃で戦闘不能にするなんてただ者じゃないぞ」
 ケツァルコアトルは狂気にとりつかれたかのようにフェニックスとペガサスに突っ込んでくる。それもすさまじいスピードだ。アルカディア空軍のトップガンであるペルセウスですら避けるのが精一杯だった。
〈ソール、どうすればいいんだ!?〉
「隙を見て機能停止させるしかないだろう」
 しかし、そんなソールの思惑をあざ笑うかのように空の向こうに2機の飛行物体が現れた。人間の顔を大きくしたようなものである。
「新手か!?」
 2機のうち1機――赤味がかかった金色の機体が高熱のビームを発射した。それを避けペガサスが光線で迎撃する。するとその機体はオレンジ色の同心円状の光線を発し、光線のエネルギーを吸収してしまった。
「何!?」
〈ふははは、驚いたか! この無人戦闘機シパクナーは、相手の熱エネルギーを吸収して自分のものにできるのだ!〉
 耳障りな甲高い声が響いた。
「フン・カメーか」
〈ならばこっちだ!〉
 ペガサスはもう一機――青味のある銀の機体に向け光線を発射した。今度は、その光線が凍らされるように固まってしまった。
「何だありゃ!?」
〈ふっ。こちらのカブラカンは、敵の熱エネルギーを凍らせるのさ」
 ヴクブ・カメーの冷ややかな声だ。
 そして今度は、シパクナーが灼熱のビーム放射を、カブラカンが冷却するビーム光線を発射した。ビルの一画に当たると、灼熱ビームはその部分を蒸発させ、冷却ビームは瞬間冷凍された後に粉々になった。
「何だ、あれは!?」
〈蒸発と瞬間冷凍かよ!〉
 冗談ではない。あんなものが当たったらフェニックスですら秒殺である。
〈ソール、何かいい手はないのか!?〉
「そんな簡単に言うなよ!!」
 必死に避けながら怒鳴り合う。
〈そもそもこっちの攻撃が無力化できる相手なんて、どうやって撃墜すればいいんだ!!〉
 するとソールははっとした。
「ペルセウス! 中央研究所に行くぞ!!」
〈は?〉
「あいつらはパイロットじゃない! あの機体には乗っていないはずだ!」
 自分の手が汚れたり自身が危険になったりするのを嫌うような連中だ。おそらく遠隔操作をしている。
〈よし!〉
 そうと決まると、フェニックスとペガサスは旋回して中央研究所に向かった。当然、シパクナーとカブラカン、ケツァルコアトルも追いかけてきた。

 中央研究所の上空に差しかかった。が、新たな問題が浮上した。
〈ソール、シパクナーとカブラカンを操作する部屋はどこだ?〉
「どこって……」
 最上階か? それとも地下だろうか?
「まとめて吹き飛ばすってのは・・・だめだよな?」
 ソールが一応聞いてみる。
〈お前な、非戦闘員を巻き添えにできるわけないだろう〉
 ペルセウスににべもなく突っぱねられた。ただでさえアルカディアの戦闘機を使って国際問題になりかねないのに非戦闘員である研究員を一緒に殺害するなどもってのほかだ。
 そうこうしているうちに3機が追いつこうとしていた。
〈おいおい、どうするんだよ!!〉
「そうだ、ペルセウス、建物の頂上にある突端だけを破壊してくれ!!」
〈は?〉
「いいから! 俺は周りの電線を切る!」
 ペガサスはハルペー光線で研究所の最上階の突端を攻撃し、フェニックスはテイルブレードショットで研究所の周囲にある電線を切った。
 すると、猛スピードで向かってきたシパクナーとカブラカンの動きが見る見る遅くなり空中で停止した。
〈どうなっているんだ?〉
「やっぱりな。あの手のものは電波で動いているんだよ」
 現代でいうラジコンやドローンの要領だ。電波を飛ばしてコントロールしているということは無線や有線を断ってしまえば動かなくなるというわけだ。
「フン・カメーたちの怒りの顔が思い浮かぶな」
 してやったりのソール。どこまでもつめの甘いやつらだ。
〈ソール! 避けろ!!〉
 突然、ペルセウスが怒鳴った。ケツァルコアトルが突っ込んできたのだ。
「うわっ!」
 2機とも回避した。が、滞空していたシパクナーとカブラカンはケツァルコアトルの牙に切り裂かれ、地上に落下した。
「しまった、あいつを忘れていた!」
〈ソール、あれも何とかしてくれ!!〉
 そうは言っても考える余裕がない。何しろスピードが桁違いなのだ。
「イシュタム、聞こえるか!?」
 一応無線で怒鳴ってみるものの返事がない。脳をサイコパス状態にした上に、機体もかなりの性能だ。パイロットでないイシュタムでも操れるほど高度なオートパイロット機能なのか。
―キニチ!
(まただ、またあの夢だ!)
 ソールの脳裏に先ほどの夢の続きが浮かんだ。寝ていないのに見るなんて白昼夢か!?
―ヘリオス。その子は?
―私の親友の遺児だ。一緒に面倒をみてやってくれ、アポロン。

(まさか、俺の頭の奥にある記憶か!?)
 だとしたらイシュタムの研究は画期的なものだ。
(自分の記憶に驚いている場合じゃない、何とかしないと!!)
 今度は別の映像が脳裏に浮かんだ。
(これは・・・?)

―40歳で出産? そんなことしたら大変よ。堕ろした方がいいんじゃない?

―ほらやっぱり、生まれてきた子は手がかかる。だから堕ろせっていったのに。

―わけのわからないこと言う子ね。変な子。

 自分ではない、別の人間の記憶・・・それも女の子だ。
「イシュタムか」
 そう直感した。この前彼女から聞いた身の上話とも合致する。彼女のコンプレックスの原因は、本人というよりその親や周りの大人だ。
 今も昔も、大人が子供に与える影響は良くも悪くも大きいものらしい。
「カウィール・シナプス装置の影響がある者同士、記憶が影響し合うのか」
 するとソールは「消えろ!!」と大声を出してイシュタムの記憶にあった大人たちを消し去った。

「!!」
 イシュタムははっとした。
「わ、私は・・・?」
〈イシュタム! しっかりしろ!!〉
「ソール!?」
〈あんたの記憶にあった忌まわしいものを消した。もう大丈夫だ!〉
 するとケツァルコアトルは力が抜けたかのように空中停止し、落下した。大破は免れたが、落下の衝撃で動力部をやられたようで動かない。
 フェニックスはその横に着陸し、ケツァルコアトルのコックピットをこじ開けた。
「ソール・・・」
「まったく無茶して。けがはないか?」
 イシュタムを座席から引っ張り出す。
「あんたの幼い頃の記憶が俺の頭にも流れ込んできたよ。大変だったな」
「・・・うわああん!」
 イシュタムは顔をゆがめ、ソールの胸に顔を埋めて泣き出した。
「おい」
 声がする方を見ると、フン・カメーとヴクブ・カメーが立っていた。
「随分やってくれたな」
 憤怒の顔をするフン・カメー。しかしソールは臆さず肩をすくめ
「お前らの技術に対する過信が招いたのさ」
 と返した。
「技術そのものは善でも悪でもない。使う人間の心次第で変わる」
 アポロンの薫陶をそのままぶつけた。こんな惨状、師が見たらどんなに歎くだろうか・・・。
「! ソールあれ!!」
 唐突にイシュタムが叫んだ。
「は?」
 さっき墜落したシパクナーとカブラカンから、もうもうと白い煙が出ている。すると突然、シパクナーの動力部が地面を溶かし始め、海面を現し出した。そして、蟻地獄のように瞬く間に周囲のものを巻き込んで沈んでいく。さらには、シバルバーじゅうが停電し始めた。カブラカンの冷却装置が、シバルバーのエネルギーインフラに干渉したのだ。おそらく、ガイアの血や電力などの熱エネルギーが凍結しているのだろう。
「まずい、イシュタム!フェニックスに乗れ!!」
 言うが早いがソールは自機にイシュタムを乗せ、自分もさっと乗り込んで離陸した。
〈お前等も死にたくなければ逃げろ! シパクナーとカブラカンのエネルギーが暴走し出した! このままだとこの大陸全部がなくなるぞ!!〉
「何だと!?」
 フン・カメーが怒鳴った。
「冗談じゃない! シバルバーは俺たちの夢なんだ!!」
 その夢が既にゆがんだ形となっていることにまだ気付いていない。
 フン・カメーは中央研究所に駆け込みネオフラカンシステムを操作し始めた。既に足元の溶解は研究所内にも及び、研究員たちが右往左往している。
「こんなトラブルがあったって俺たちのネオフラカンシステムは乗り越えられる! 完璧なんだ!!」
 狂気に満ちた形相でコンピュータを乱暴に叩いたが、一向に作動しない。さらには研究所内に警報が鳴り始めた。停電時用の自家発電によるものだった。
《ネオフラカンシステムに不具合が発生。ネオフラカンシステムに不具合が発生》
「不具合だと!? そんなの間違いだ!! ネオフラカンシステムは完璧なんだ!!」
 その叫び声は空しく響き、フン・カメーは悲鳴をあげながら崩れる床に飲み込まれた。

 シバルバーじゅうが混乱していた。停電だけではなく、あらゆるものを自動化させたネオフラカンシステムに不具合が生じて車が動かなくなった。さらに、自家発電でも指示と反対方向に行く、自動ドアが動かない、脱出用に買った航空チケットが使えない、救助用のロボットが動かないなど、連鎖的に不具合が起こっていた。
 自動化が生活の隅々に浸透していたため、システムがおかしくなったことで大混乱に陥ってしまったのだ。また、自動化技術に頼りすぎたシバルバーの民は自分で逃げるにも足腰が立たず、何人もが溶解した穴に飲み込まれていった。
 このままではまずいと、アルカディア海軍やアスガルド軍が救助に向かった。救援部隊がシバルバーに到着した頃、埋め立て地の中央は海に沈み、周囲の陸地がドーナツ状に残っていた。生存者はそのドーナツの陸地に肩を寄せている。
「早く救助するぞ!!」

 生存者全員を軍艦に避難することができた。が、シバルバーは陸地と住民のほとんどを失い、国として機能することができなくなった。
「全世界で速報が出た後、翌日にはこれまた全世界の新聞の一面トップか……」
 何とか帰還できたソールは新聞を折りたたみながら呟いた。
(アポロンの教えがなかったら俺も道を踏み外さずにいられただろうか)


 この大災害は後世において、マヤ神話の地獄「シバルバー」として、フン・カメーとヴクブ・カメーは地獄を統べながらも凋落していく神として描かれていく。また、それ以外の地域では一日で海に沈んだ伝説の大陸・アトランティスとして語り継がれていくことになるのであった……。
 シバルバーが海底に沈没してから1カ月――アルカディア軍は、行方不明者の捜索に当たっていた。大西洋のど真ん中で陸地が沈んでしまっては助かるはずはない。あくまで逃げ遅れた者の遺体を発見するのが任務であった。
 シバルバーの住人は、中南米にあるトゥラン国、ヨーロッパのアルカディアなどに移住した。家族や友人知人の安否を確認できない中では、不安も大きかった。

 そんな中――新しい事件が起こった。

「は? 鮭が1.5倍に値上げ!?」
 ソールは市場で目をむいた。
「どういうことだよ、今日は鮭の蒸し焼きにしようと思っていたのに」
 魚屋に文句を言うが
「俺に言わんでくれよ、にいちゃん。ここんところ不漁でなあ、アルカディアのどこもかしこも海産物はこんな状況だ」
 確かに。白身魚やアジ、サバ、蛸や烏賊などの魚介類も高くなっている。ほんの数週間前から、海産物が軒並み値上げされているのだ。
 が、ソールは結局鮭を買った。値上げがあっても自分がその日に食べたいメニューを変えることは信条に反するからだった。

 翌日。仕事場でペルセウスとアーレスに会ったので、海産物の値上げのことを言ってみた。
「そういや、アンドラもそんなことを言っていたな」とペルセウス。
「ニュースでもやっているぜ。大西洋全体で不漁になっているって」
 どこか他人事のように呟く旧友たちに、ソールは熱を込めて語った。
「何のんきに構えてるんだよ! このままじゃ俺が食べる魚がなくなるだろ!!」
「お前、魚好きだったんだな」
 アレクサンドリアという港町に住んでいたからか、ソールは魚介類が好きなのだ。彼の年齢では肉の方を好むところだが、それより魚だという。
「あーこのままじゃ俺は飢え死にする!」
 天を仰ぐソールを見ながら「大袈裟なんだよ」と呆れる2人。その時、ラジオのニュースが流れてきた。
《緊急速報、イベリア半島から100kmの海域に、未確認物体が出現しました》
 は? 今度は何だ?
《物体は、海中から浮かび上がったところを目撃されたようです。全長は約200メートル、海蛇か鯨の一種と思われますが、その後、行方不明になりました》
「何だ? 沿岸部に鯨でも出たのか?」
 とアーレスが首を傾げる。
「でも変だな。200メートルって鯨でも相当大きいぞ」
 ペルセウスは疑問を抱いた。世界最大のシロナガスクジラでもせいぜい50mである。200mとなるとその四倍だ。
「どうしたの?」
 そこにイシュタムもやってきた。シバルバーが沈没してからというもの、彼女はアルカディアに身を寄せてソールの手伝いをしている。
「ああイシュタム。今、ラジオで妙な物体の目撃情報を知らせていたんだ。鯨か海蛇みたいな…」
 ソールが言うと、イシュタムは引きつった顔を浮かべた。
「…どうした?」
「え? あ、いや…」
 ソールは素早く彼女に近寄り、肩をつかんだ。
「何か知っているな?」
「う……」

「実は……」
 イシュタムはいすに座って気まずそうにつぶやく。ソールに上目づかいで見つめる時は、言いにくいことがあるそぶりだ。
「うすうす勘づいていたんだけど、不漁とかの異常って…もしかしてシバルバーのせいかも」
「は?」
 ソールが問いただすと、イシュタムは重い口を開いた。
 シバルバーでは、ネオフラカンシステムのほかに研究している技術があった。それが、地球全体の海流を変えるシステムだったという。
「その名前は、リヴァイアサンシステムって言うの」
「リヴァイアサン?」
 リヴァイアサン――ヨーロッパ圏で巨大な海蛇として語られている怪物である。後世においては海の竜とも捉えられる。
「海流を変えるって、どういうことだ?」
「ソール…ジオエンジニアリングって知っている?」
「ああ、聞いたことあるような…」
 ジオエンジニアリング――日本語に直訳すると「地球工学」となる。つまり、地球の自然現象を工学技術により改変するものだ。古いものなら植樹や植林、堤防の建設が当てはまるが、科学技術が進んだ21世紀では太陽光の強さを調整するために宇宙に鏡を散布したり、海洋に炭酸を注入したり鉄分を入れて肥沃化したりするものがある。
「実はね…フン・カメーたちは海流を改変するジオエンジニアリングを研究していたの」
 リヴァイアサンは海蛇の形態をしている。全長は200mで、シバルバーの陸地があった北大西洋から海流に乗って、地球上の海を流れているらしい。その過程で、海流を変えたり海中の温度や酸素濃度、塩分濃度を変えたりして、魚などの海中資源に影響を与えているという。
 なぜそんなシステムを開発したのかといえば、シバルバーの漁業生産量を上げるためだ。シバルバーは大西洋の赤道よりやや北に位置していた。その海域は、海底の深層海流と海面の表層海流の間にある。この海域は魚があまり採れなくて、シバルバーでは漁獲量が都市人口の割には少なかったという。
 そこで、同国では極秘に海流を改変するシステムを開発し、自国の海域付近に海産物が集まるように計画していたらしい。
「まったくあの男は……」
 ソールはため息をつく。開発者であるフン・カメーは海の藻屑となったが、その遺物と言える代物が世界を脅かしつつあるのだ。死してなお、人を困らせるとはなあ……。
 ソールはおもむろに立ち上がった。
「どこに行くの?」
 イシュタムの問いに、当然のように答える。
「リヴァイアサンを見つけて撃破する。そのためのシステムを造るんだよ」

 ソールは、イシュタムの話をもとに大西洋の海流を調べてみた。すると、事は地球規模の現象になると分かった。
 大西洋では、南から北に向かう海流は海面の表層を、北から南に向かう海流は海の深部を流れるという。北極海まで来た表層海流は冷却されて深海に潜り、深層海流となって南に向かう。この巨大な海流を、21世紀では「AMOC〈Atlantic Meridional Overturning Circulation:大西洋での南北方向の攪拌(かくはん)循環〉」と称している。南下して南極まで来た海流は、南極の周囲を巡る円環の海流に連なる。
 余談だが、21世紀では、地球温暖化の影響により、海水の塩分濃度が薄まることでAMOCの深海に海流が進む速度が減少するという現象が起きている。そこから、局地的な海面上昇の加速、ハリケーンの拡大が起きたり、雲が形成されにくくなって降水量が減り、農作物にも影響したりすることが予想されている。
 リヴァイアサンはこの海流に干渉し、流れを早くしたり遅くしたりして……または局地的に逆流させているようだ。海産物を集めるだけだったのに、世界各地に思わぬ迷惑をかけていたのである。
「ここまでは分かった、問題はこれからだ」
「うん……」
 ソールの言葉にイシュタムが力なくうなずく。リヴァイアサンは200mの海蛇型無人潜水艦と言える。かなりの巨体だが進むスピードは音速に近いらしい。海中で音速を出す潜水艦など、現代の科学技術でも実現は不可能に近い。しかも、リヴァイアサンは大西洋と南極周辺を絶え間なく動いている。それを探索して撃破することは、確率論からして雲をつかむようなものだった。
 しかし、ソールはパピルスにメモを取り始めた。彼は設計・開発の時、考えるより何かを書くようにしている。頭の中であれこれ考えてもアイデアはまとまりにくく、手を動かしている方がよいのだ。
 やがて一つの考えがまとまり始めた。

 それから数日間。世界各地で奇妙な現象が目撃された。グリーンランドの南部にあるラブラドル海盆で巨大な烏賊が目撃されたのだ。また、北極圏内のノルウェー海でも、同じく巨大な烏賊のような物体が目撃されている。その様子はというと、突然海面近くに烏賊が出現し、次の瞬間には頭部が海に潜って8~10本の巨大な脚が海面を下から押し上げるように潜っていくというものだ。その衝撃で近くを航海していた船が、数多く沈められている。
 沈没船から運良く生き残ったクルーの証言をもとに報道記事が作られた。やがてラブラドル海盆の烏賊は「クラーケン」、ノルウェー海のものは「ハヴグヴァ」と名付けられた。いずれも巨大な烏賊、または蛸として神話で語られていく海の怪物である。
 これらの報道を聞き、ソールは次の予測をした。クラーケンもハヴグヴァも、おそらくリヴァイアサンだろう。海に潜る時、形状を変えるようになっていると考えた。さらに、同じ海域で目撃情報が1週間に1回の頻度で出ることを突き止めた。つまり、リヴァイアサンは1週間でAMOCと南極周辺を回り、同じ海域に戻ってくるというわけだ。この間、北大西洋では魚の不漁だけでなく、近隣の陸地での局地的な豪雨が度々起こった。
 この情報をもとに、ソールはリヴァイアサン迎撃システムを設計し、開発し始めた。昼夜問わず没頭し、2週間でそのシステムは完成したのである――。
「ソール、本当なの? もう完成したなんて……」
イシュタムが怪訝な表情で聞く。そんなあっさりとできるものなのだろうか? しかしソールはしれっと答えた。
「やることは決まっているんだ。クラーケンが目撃されるラブラドル海盆でリヴァイアサンを待ち伏せして、迎撃システムで破壊する。目的がはっきりしていれば開発は早くできるさ」
 それにしても――とイシュタムは思う。こんな短期間で造れるなんて、才能としか言いようがない。
 とりあえずアルカディア海軍基地がある地中海のとある一画に行ってみると――そこには、紺色のボディをした大きな魚型の機械が浮いていた。全長は20mある。
「リヴァイアサン迎撃システム――コードネームはバハムートだ」
「バハムート…」
 イシュタムがソールの言葉を反芻する。バハムート――イスラム圏で巨大な伝説の魚とされ、後には最強のドラゴンとも言われるようになる幻獣である。これは潜水艦や軍艦のように乗り込むのではなく、ラジコンのように遠隔操作する兵器である。
 その翌日。ソールとイシュタム、アルカディア海軍の一部がリヴァイアサンの迎撃に向かった。

 ソールたちを載せたスキュラ戦艦はバハムートを連れてラブラドル海盆に向かった。ここでは巨大な烏賊・クラーケンが度々目撃されている。ソールはこの海域をリヴァイアサン迎撃ポイントに選んだ。
 バハムートには迎撃用の魚雷ミサイルをふんだんに搭載している。リヴァイアサンが近づいたらこのミサイルを全弾ぶちこむのだ。
「そんなにうまくいくのか?」
 海軍司令官のポセイドンが言った。この作戦に関しては、軍司令部はあまり大きく関与していないため、ポセイドンが出てくる必要はない。が、ソールがどのような機体を開発したか興味があり、同行したのだ。もっとも、ゼウスからも「見張っておけ」と命じられたのもあるが。
「まあ、1回で仕留められるかは正直分からないさ」
 珍しくソールが自信なさげに答える。
 理由は、リヴァイアサンのデータがほとんどないからだ。イシュタムから聞いただけではイメージができないし、何より海中の兵器はあまり詳しくない。最初の迎撃で失敗しても仕方なしとして、なるべくデータをとろうと思っているのだ。
 そうこうしているうちに――レーダーに未確認物体が移った。
「きなすったか」
 ソールは持ってきたモバイルを立ち上げ、タッチパネルにある魚のアイコンをタップした。スキュラの隣で待機していたバハムートの目が点滅する。
「いくぞ、バハムート」
 スキュラの中から操作すると、バハムートは起動して泳ぎ始めた。その先には、こちらに向かってくる細長い海蛇のような物体――リヴァイアサンがいた。
「よし、ミサイル発射!!」
 バハムートはリヴァイアサンに向けて魚雷ミサイルを発射した。数十発の弾丸が標的に向かっていく。しかし、命中すると思いきや――リヴァイアサンの前で向きを変えてミサイル同士がぶつかり、爆発した。
「な、何だ!?」
「仕留められたのか?」
 口々に言う兵士に対し、ソールは「いや……」と首を振った。リヴァイアサンの前には渦の壁のようなものが現れている。
「防御シールドか」
 攻撃を受けることくらい予測済みだ――フン・カメーのそんな声が聞こえてきそうだった。そしてリヴァイアサンとスキュラがすれ違った時、スキュラが大きく揺れた。
「うわっ!!」
「きゃっ!!」
 ソールは立っていられずに柱にしがみつく。さらにイシュタムはそのソールにしがみついた。それだけではない、スキュラが突然、旋回するかのように前後の向きを変えた。
「おい、旋回しろという命令は出してないぞ!!」
 ポセイドンが怒鳴るが、
「だめです! 海流が突然変化して舵が動きません!!」
「まさか、リヴァイアサンが海流を変えたのか?」
 しばらくすると揺れが収まり、海流も元に戻った。海兵の分析によると、リヴァイアサンは海流を震動させる波を起こしているらしい。
「ちっ、やはり一筋縄ではいかないか」
 ソールは、リヴァイサンが通過した先を見やった。すると、巨大な烏賊の脚のようなものが海面に飛び出て、海中に潜っていくのが見えた。この海域で目撃されたクラーケンだった。予想通り、烏賊に変形して海底に潜っているのだ。
「とんでもないものを見せつけてきやがる。だが、今度はやらせないぜ」
 1週間後。ソールたちは再びラブラドル海域にいた。バハムートにはミサイルのほか、水圧砲を取り付けている。かつてケートスに装備したものと同じだ。リヴァイアサンのシールドは海流の改変機能を応用させ、水中に渦を作って物理攻撃を防ぐものだから、その海流を凌ぐ水圧を発生させて防御シールドをこじあけられるはずだ。
 再びリヴァイアサンと対峙するバハムート。ミサイルと共に水圧砲も発射した。その水の圧力がシールドを破り、ミサイルがリヴァイアサンに届いたのが見えた。が、轟音が響いたのにリヴァイアサンはさしてダメージを受けていない。
「はあ? どういうことだよ!!」
 再びリヴァイアサンはソールを嘲笑うかのように通り過ぎていった。

 翌日。ソールは研究室にこもっていた。1度目は仕方ない。しかし、2度も迎撃に失敗するなど予想外だった。
「どうすればいいか…」
 珍しく頭を抱える。その脳裏にフン・カメーの嘲笑が浮かんだ。だまし討ちに遭い、軟禁された忌まわしい記憶がよみがえる。ああ、本当に忌々しい! あの野郎…!!
「ソール、ちょっといい?」
 イシュタムが部屋に入ってきた。
「あまり一人で抱え込むのは良くないわ。私も一緒に考えるから」
「ありがとう。でもなあ、海流とか専門外のことを付け焼き刃で学んでも限界があるよ。どうやったらリヴァイアサンを攻略できるんだ…」
「ねえ、こういう時は外に出てみようよ。ふとひらめくことがあるかもしれないし」
 イシュタムの提案に従い、外に出てみることにした。
 商店街を歩くと、アルカディアの日常はいたって平和である。時折、海産物の高騰を嘆く声が聞こえてくるが、切羽詰まっているほどではない。
 しかし、今は海産物の値上げで済んでいるだけで、海流の改変がどのような影響をもたらすか想像はできない。海水は雲になり、やがて雨となって落ちてくる。その水の循環システムをいじれば、集中豪雨や干ばつなどが起こるだろう。現に、局地的ではあるが集中豪雨が起きている地域もあり、影響が出始めているのだ。
「ソール?」
「んあ?」
 イシュタムに呼ばれ、すっとんきょうな声を出す。
「大丈夫? 口を半開きにして…」
 そんな間抜けな表情をしていたのか。
「ああ、大丈夫大丈夫…」と言うものの、頭の中はリヴァイアサンのことでいっぱいだった。これでは気分転換にはならない。
「ねえ、いっそ水族館に行ってみない?」
「水族館?」
「海の生き物の生態を見てみれば、攻略法が見つかるかも」
 それだ! 海のことは海の専門に教えてもらえばいい。早速、行ってみることにした。

 リヴァイアサンは海蛇の形をしている。そこで、海蛇をはじめとした細長い生き物を観察した。基本的にくねくね動くだけだが、ここに海流を変える力が発動する。
「なかなか弱点が見えてこないなあ……」
 彼ら生き物を見ると、横からの攻撃には弱そうだった。そこを付けばなんとかなりそうな気もするが、海流のシールドで弾かれるだろう。
「あ、ソール。蛸さんと烏賊さんもいるよ」
 イシュタムが無邪気に指さす。彼らは8本、10本の脚で水中を進んでいく。脚を曲げて力を蓄え、ひゅっと蹴るようにして推進力を生み出すのだ。そしてまた脚を曲げ、蹴って進む――その繰り返しだ。
「……」
 ソールの脳裏にクラーケンのことが浮かんだ。なぜ、リヴァイアサンは烏賊の形態になって深海に潜るのだろう? そして、今見た烏賊の動き――。
 突然、ソールはベンチに座って帳面を取り出し、なにやらメモをし始めた。それを見てイシュタムは「ひらめいたんだ」と悟った。

 数日後。3度目の正直ということで、またまたラブラドル海盆にやってきた。
「今度はうまくいくといいね」とイシュタムがやや不安げにつぶやく。それに対してソールは「今度は大丈夫だ」と言った。自信に満ちた表情は、成功を確信させるものだった。
 早速、レーダーに未確認物体の反応があった。
「来た」
 ソールはバハムートを発進させた。しかし、今度はリヴァイアサンに向かっていくのではなく、海流が深海に潜るポイントに向けている。
「どうして?」とイシュタムは不思議そうに見ている。やがてリヴァイアサンがやってきた。深海に潜るために尾を10本に分けつさせ、先頭を下に向けた。10本の尾――つまり烏賊の脚が上に向けられ、曲がったその瞬間――
「ミサイル発射!!」
 ソールがボタンを押すとバハムートが魚雷を発射した。また海流のシールドに阻まれる――と思いきや、魚雷全てが命中した。激しい音とともに、リヴァイアサンがバランスを崩す。
「よし!」
 さらにソールはバハムートを突進させた。魚の口の部分には赤く光るものが見える。バハムートはリヴァイアサンに近づくと、口から槍のようなものを発射し、リヴァイアサンの腹に突き刺した。
「エネルギー充填、爆破!!」
 ソールがレバーをぐいっと押すと、バハムートの後部からエネルギーが送り込まれた。そして、それはリヴァイアサンの内部に注ぎ込まれ――2つの物体は大爆発を起こした。
 その熱量と炎は北極近くの氷を一瞬で溶かし、暗い夜空を赤く染めた。
「い、一体何がどうしたの?」
「リヴァイアサンも無敵じゃなかったってことさ」
 海蛇の形状では隙がなかった。しかし、烏賊の形態で深海に潜る時に脚が曲げられる。この時は動きが止まり、ほぼ無防備になる。そこにミサイルを打ち込んだのだ。さらに、それだけでは仕留められないと考えて、バハムートにエネルギー注入型爆弾を配備し、突進させたということだ。
「バハムートには悪いことをしたけど、これで任務は済んだ」
 ソールはそう言うと、持っていたバハムートの設計データとリヴァイアサンを調べたデータを、その炎に向かって投げ入れた。
「いいの、ソール? せっかく開発された技術なのに…」
「ああ、今はこれでいいんだ」
 ジオエンジニアリングの技術はいずれまた発見され、開発されるかもしれない。しかし、その前に人間の技術への倫理観が育っているように――。
 そう祈りながら投げ入れたのだった。
名前
①所属国・地域②年齢③性格や強みなど


フン・カメー
①シバルバー②39歳③シバルバーのネオフラカンシステムの開発者にして研究者。自身の技術と知識に絶対の自信を持っている。性格は短気で癇癪持ちで傲慢。ネオフラカンシステムを批判されることが嫌い。頭脳は優秀だが、性格に難があるため、詰めが甘いことが多い。モデルはマヤ神話の冥界の支配者の一人であるフン・カメー。


ヴクブ・カメー
①シバルバー②35歳③フン・カメーの弟で同じくネオフラカンシステムの研究者。沈着冷静で物腰が丁寧だが、中身は冷酷で自分以外のものを道具としか見ていない。モデルはマヤ神話の冥界の支配者の一人であるヴクブ・カメー。


イシュタム
①トゥラン→シバルバー→アルカディア②19歳③シバルバーの研究者。専門は脳科学。フン・カメーたちに軟禁されていた。性格は気弱で繊細。自分を否定された生い立ちにより、自己肯定感が著しく低い。その性格を克服すべく、サイコパスになれるカウィール・シナプス装置を開発してしまう。モデルはマヤ神話の自殺の神・イシュタム。
コードネーム
①メインパイロット②所属③装備④意匠⑤特徴


シパクナー
①フン・カメー(外から操縦)②シバルバー③炎熱フィールド④赤みのかかった金色。巨大な人の顔⑤ネオフラカン研究所で開発された兵器。ネオフラカンシステムを組み込み、遠隔操作もできる。敵の熱エネルギーを吸収して無力化できる。モデルはマヤ神話の巨人・シパクナー。


カブラカン
①ヴクブ・カメー(外から操縦)②シバルバー③寒冷フィールド④青みのかかった銀色。巨大な人の顔⑤ネオフラカン研究所で開発された兵器。ネオフラカンシステムを組み込み、遠隔操作もできる。敵の熱エネルギーを凍結させて無力化できる。モデルはマヤ神話の巨人・カブラカン。

ケツァルコアトル
①イシュタム②シバルバー→アルカディア③白熱の牙④翼の生えた白い蛇⑤イシュタムが極秘に開発した戦闘機。素人でも乗りこなせるようネオフラカンシステムでフォローできる。ミサイルや光線は装備せず、牙で敵をえぐるドッグファイトをする。カウィール・シナプス装置を発動させると、パイロットはサイコパスに陥り、敵を殲滅することをためらわなくなる。モデルはマヤ神話の蛇の神・ケツァルコアトル。

リヴァイアサン
①ー②シバルバー③海流振動、塩分操作④巨大な黒い海蛇⑤フン・カメーが極秘に開発した海流改変システムで、無人潜水機。大西洋と南極を絶え間なく動き続ける。海流を振動させたり、塩分濃度を変えたりして、シバルバーに有利な海の資源を集めさせる。深海に潜る際、尾を10本に分割して烏賊の形態・クラーケンになる。モデルは伝説の海蛇・リヴァイアサン

バハムート
①ソール(遠隔操作)②アルカディア③魚雷、水圧砲、サンギルドニードル④紺色の巨大な魚⑤リヴァイアサン迎撃システム。リヴァイアサン同様、機体に人は搭乗しない。モデルはイスラムの巨大魚・バハムート。