「彼女出来たなら,そうだね。あなたの言う通り」

ーばいばいだね



もう,会うことも出来ないね。

初めてを捧げた夜とは反対に,別れは予期せぬ唐突なもの。

毎回特別だったけど,もっと最後のワンナイトを大切にすれば良かった。

なんて,それすらあなたと彼女に冒涜的かもしれない。

その欲求は抑えられなかったけど,残念で最低な私だけど,口にはしなかった。

それだけで,許して欲しい。



「今までありがとう。じゃあ,ばいばい」



涙は止まった。

上手くどころか,下手くそな笑みすら浮かべない。

薄情なくらい淡々とした顔で,右手を振る。

だって,最初から"そうゆうもの"だから。

それに準じてあげるだけ。

恋とか愛とか,そんな重いものはない。

軽くて薄い,それだけのもの。

最初の夜とは違う。

もう,震えたりしない。