ーねぇ,よく,見えないけど。 ーねぇ,ここに来てから,よく会話はしなかったけど。 私,あなたを知っている気がします。 ー優しかった。 特別だった。 好きだった。 そんな幼いとも言える頃の,思い出の中に 『好きです』 『……ごめんね,僕』 多分,ずっとあなたがいる。 あなたはだれ? 私を知っている? 気付いてる? 父親についていった北海道からは,帰ってきたの? 聞けない,言えない。 言葉を失ったようにただ,あなたを見つめることしか出来ない。