なんか僕に用があるらしいサクラさん。とりあえず臨戦態勢も終わったことだしケルヴィンくんとセルシスくんも元の位置に戻って、いつもの3人で僕らは彼女の話を聞くことにした。
彼らは悪友にして僕の正体を知る、レアな人達だからね。僕には思いつかないアドバイスをくれたりするから、ちょくちょく冒険者としての相談事とかもしてたりしている。だから今回もちょっと、お知恵を拝借しましょうかねー。
「まずはソウマ殿。先日は拙者が同行していたガキんちょどもが行った失礼な言動の数々、改めて謝罪させてほしいでござる。大変申しわけなかったでござる、謹んでお詫び申し上げまする」
開口一番そう言って、深々頭を下げるサクラさん。こないだ僕があれこれ絡まれたこと、彼女はあんまり関係ないのにやたら気にしてるみたいだ。
律儀だなー。別に冒険者だもの、あのくらいの煽りは気にしてられないのに。
冒険者って戦闘職だから当然のごとく物騒だし、はっきり言って喧嘩が起きやすい治安の悪い側面もたしかにある。まして僕なんて治安の終わってるスラム出身だもの、オーランドくんやリンダ先輩にされた以上の絡まれ方をしたことだってそれなりにある。
全部返り討ちにしたけどね。だからその辺の界隈の事情もあり、済んだことを一々気にする感じでもないんだよねー、僕個人としては。
「い、いえいえ。その、僕は気にしてませんし。もう済んだことですしー」
「それでは拙者の気が収まらぬでござるよ。本来であればガキどもをここに連れてきて謝罪させるのが真に筋と言えるのでござるがあのアホども、反省はしたようでござるが謝罪は頑としてしようとせず」
「プライド高いだろうしなあ、オーランドのやつ」
呆れ返ってケルヴィンくんが皮肉るけど、まあだろうなって僕も思う。
オーランドくんは典型的な俺様タイプのイケメンさんなので、自分に非があったとして頭を下げるってのはなかなかしづらいんだろう。
人としてはどうなのって感じだけど男としては自信満々な様子が評判いいらしく、そこも女の子にモテる要因になってる気がしている。俺様系かー、僕も僕様系になれるかなー?
無理かー。内心ガックリ来る僕をよそにセルシスくんが、ため息混じりに巨体を揺らして呻く。
「反省したってのも心底からかどうか、怪しいところですね……本当に反省したなら率先して謝りに来るくらいはしてもいいと思うのですが」
「オーランドのほうはまだ、それなりに悪いことを言った自覚はあったみたいでござるね。ただ、あの女……リンダのほうが、スラム出身冒険者への隔意が強いようで。なんか不貞腐れながら反省してあげますとかなんとか、若干ヤケクソな態度でほざいてたでござる」
「マジかー、リンダ先輩ー……」
割と本気でスラム出身の杭打ちを毛嫌いしていたらしい、かつで好きだった先輩の様子にうっかり目が潤む。ううっ、悲しいよー。
あっ、ちなみにリンダ先輩は僕の3度目の初恋の人だ。学内でたまたま見かけて、その凛とした雰囲気の美人さに一目惚れしたのだ。
まあその直後にオーランドくんと腕を組み、ラブラブしながら下校するところを見てしまい見事に玉砕したんだけどね!
ああああ脳が崩壊するうううう!
「ううう……」
「……その、本当に申しわけないでござる。オーランドの親に"息子とその仲間達を鍛えてやってくれ"と頼まれてこの都市に来たのでござるが、その連中がよもやあのようなゲスどもだったなどとは露とも思わず。結果的に加担したのは拙者とて同じ、何卒お許しいただきたい」
「い、いえー。そこは全然気にしてませんしー……」
なんならそんなのどーでもいいよー。うう、リンダ先輩ー……
ガチめに凹む僕に、サクラさんもちょっとタジタジみたいで所在なさげに視線をあちこち動かしている。美人が戸惑う姿ってなんか、いいなー。
と、そんな僕らを見かねてかケルヴィンくんとセルシスくんが、口を揃えて言ってきた。
「その辺にしときなよソウマくん、いつまでも失恋を引きずってちゃ駄目だぜ」
「すみませんねサクラ先生、こいつリンダ先輩に惚れてた時期があったんですよ。まあ惚れた瞬間爆死したわけですが」
「爆死って言うなよー!」
せめて恋敗れたとかそーいう、ロマンチックな物言いにしてよー!
サクラさんにバッチリかつての麗しい恋の遍歴を一部知られてしまったわけだけど、それはそれとして今はサクラさんにも初恋してるから誤解しないでほしいよね。
11回目の初恋、しかもなんだかんだリンダ先輩が導いてくれたところはあるからこれはきっと運命ってやつだと思う。
まあその運命さん今、すっごい気の毒そうな顔して僕を見てきてるんだけどねー。
「そうでござったか……それはまた、御愁傷様でござる。いやでもむしろ良かったでござろ、あんなのと万一男女の仲になっていたとしても、ソウマ殿の正体を知ればその時点でご破算でござろうし」
「うっ……た、たしかにー」
「世の中、あんなのより素敵な女は山ほどいるでござる。元気出すでござるよ、ソウマ殿ー」
ああああめっちゃ励ましてくれるうううう! これ絶対脈あるってこれええええ!
思いの外感触が良くて僕の胸がときめく。こ、これはまさに僕の夏休みが今、幕を開けるのではなかろうか!!
彼らは悪友にして僕の正体を知る、レアな人達だからね。僕には思いつかないアドバイスをくれたりするから、ちょくちょく冒険者としての相談事とかもしてたりしている。だから今回もちょっと、お知恵を拝借しましょうかねー。
「まずはソウマ殿。先日は拙者が同行していたガキんちょどもが行った失礼な言動の数々、改めて謝罪させてほしいでござる。大変申しわけなかったでござる、謹んでお詫び申し上げまする」
開口一番そう言って、深々頭を下げるサクラさん。こないだ僕があれこれ絡まれたこと、彼女はあんまり関係ないのにやたら気にしてるみたいだ。
律儀だなー。別に冒険者だもの、あのくらいの煽りは気にしてられないのに。
冒険者って戦闘職だから当然のごとく物騒だし、はっきり言って喧嘩が起きやすい治安の悪い側面もたしかにある。まして僕なんて治安の終わってるスラム出身だもの、オーランドくんやリンダ先輩にされた以上の絡まれ方をしたことだってそれなりにある。
全部返り討ちにしたけどね。だからその辺の界隈の事情もあり、済んだことを一々気にする感じでもないんだよねー、僕個人としては。
「い、いえいえ。その、僕は気にしてませんし。もう済んだことですしー」
「それでは拙者の気が収まらぬでござるよ。本来であればガキどもをここに連れてきて謝罪させるのが真に筋と言えるのでござるがあのアホども、反省はしたようでござるが謝罪は頑としてしようとせず」
「プライド高いだろうしなあ、オーランドのやつ」
呆れ返ってケルヴィンくんが皮肉るけど、まあだろうなって僕も思う。
オーランドくんは典型的な俺様タイプのイケメンさんなので、自分に非があったとして頭を下げるってのはなかなかしづらいんだろう。
人としてはどうなのって感じだけど男としては自信満々な様子が評判いいらしく、そこも女の子にモテる要因になってる気がしている。俺様系かー、僕も僕様系になれるかなー?
無理かー。内心ガックリ来る僕をよそにセルシスくんが、ため息混じりに巨体を揺らして呻く。
「反省したってのも心底からかどうか、怪しいところですね……本当に反省したなら率先して謝りに来るくらいはしてもいいと思うのですが」
「オーランドのほうはまだ、それなりに悪いことを言った自覚はあったみたいでござるね。ただ、あの女……リンダのほうが、スラム出身冒険者への隔意が強いようで。なんか不貞腐れながら反省してあげますとかなんとか、若干ヤケクソな態度でほざいてたでござる」
「マジかー、リンダ先輩ー……」
割と本気でスラム出身の杭打ちを毛嫌いしていたらしい、かつで好きだった先輩の様子にうっかり目が潤む。ううっ、悲しいよー。
あっ、ちなみにリンダ先輩は僕の3度目の初恋の人だ。学内でたまたま見かけて、その凛とした雰囲気の美人さに一目惚れしたのだ。
まあその直後にオーランドくんと腕を組み、ラブラブしながら下校するところを見てしまい見事に玉砕したんだけどね!
ああああ脳が崩壊するうううう!
「ううう……」
「……その、本当に申しわけないでござる。オーランドの親に"息子とその仲間達を鍛えてやってくれ"と頼まれてこの都市に来たのでござるが、その連中がよもやあのようなゲスどもだったなどとは露とも思わず。結果的に加担したのは拙者とて同じ、何卒お許しいただきたい」
「い、いえー。そこは全然気にしてませんしー……」
なんならそんなのどーでもいいよー。うう、リンダ先輩ー……
ガチめに凹む僕に、サクラさんもちょっとタジタジみたいで所在なさげに視線をあちこち動かしている。美人が戸惑う姿ってなんか、いいなー。
と、そんな僕らを見かねてかケルヴィンくんとセルシスくんが、口を揃えて言ってきた。
「その辺にしときなよソウマくん、いつまでも失恋を引きずってちゃ駄目だぜ」
「すみませんねサクラ先生、こいつリンダ先輩に惚れてた時期があったんですよ。まあ惚れた瞬間爆死したわけですが」
「爆死って言うなよー!」
せめて恋敗れたとかそーいう、ロマンチックな物言いにしてよー!
サクラさんにバッチリかつての麗しい恋の遍歴を一部知られてしまったわけだけど、それはそれとして今はサクラさんにも初恋してるから誤解しないでほしいよね。
11回目の初恋、しかもなんだかんだリンダ先輩が導いてくれたところはあるからこれはきっと運命ってやつだと思う。
まあその運命さん今、すっごい気の毒そうな顔して僕を見てきてるんだけどねー。
「そうでござったか……それはまた、御愁傷様でござる。いやでもむしろ良かったでござろ、あんなのと万一男女の仲になっていたとしても、ソウマ殿の正体を知ればその時点でご破算でござろうし」
「うっ……た、たしかにー」
「世の中、あんなのより素敵な女は山ほどいるでござる。元気出すでござるよ、ソウマ殿ー」
ああああめっちゃ励ましてくれるうううう! これ絶対脈あるってこれええええ!
思いの外感触が良くて僕の胸がときめく。こ、これはまさに僕の夏休みが今、幕を開けるのではなかろうか!!