お隣に住む従姉妹のお姉さんが俺を放っておいてくれない

//SE 鍵を開ける音
//SE ドアを開ける音

主人公が帰宅。

「おかえりなさーい!」

//SE ガタガタと動揺する音

「ご飯にする? お風呂にする? それともぉ……わ・た・し? なんちゃって♡」

「え? なんでいるのかって……じゃーん! 合鍵! おばさんから預かってるんだぁ」

「可愛い一人息子の初めての一人暮らし……。不安なんだろうねぇ。わかるよ。だから私も、きっちり引き受けました! 君が大学を卒業するまでは、従姉妹の私が、おばさんの代わりに君の面倒を見ます!」

「ふっふっふー、そんな嫌そうな顔をしてもダメだぞぉ。部屋も隣だし、いつでも様子を見に来れるんだからね。とりあえず今日は、早速夕飯を用意してみました! 冷めない内に、食べて食べて!」

//SE 食器の音

「はい、どうぞ!」

「ん? 見られてると食べづらい? ごめんごめん。君が美味しそうに食べてるのが嬉しくってさぁ」

「あ、ほらもう、ついてる。……ん、とれた」

「おかわり? っふふ、やっぱり男の子だね。たくさん食べるんだぁ。待ってて、よそってくるから」

「はい、どーぞ。がっつかなくても、これから毎日作ってあげるから。食べたいものがあったら、リクエストしてね」

「遠慮しなくていーの! おばさんから食費は預かってるし、一人分も二人分も手間は変わらないから。食べ盛りなんだから、ちゃんとしたもの食べないとね」

「それに、私が作ったもの以外をあんまり体に入れてほしくないし……ね」//ぼそっと

「んーん、なんでもない。ゆっくり食べて♡」

//SE 食器を洗う音

「ねー、そろそろお風呂入ったら?」

//SE 近づいてくる足音

「一緒に入ってあげようか?」//耳元でからかうように

//SE ガタガタと動揺する音

「あははっ! 冗談冗談。ごゆっくりー」

//SE シャワーの音
//SE ノックの音

「ねー、そういえば、余ってる入浴剤持ってきたの忘れてた。使う?」

「いらないの? でも、入れた方が疲れが取れない?」

「わかったわかった。退散しますよー」

「……入ってくるかも、ってどきどきした?」

「あはははっ! 今度こそ本当に退散しますー」

//SE ドアを開ける音

「お風呂あがった? あ、もー髪びしょびしょじゃん!」

「だーめ! そのままじゃ風邪ひいちゃう。こっちきて、乾かしてあげる」

「え、ドライヤーないの? ダメだよ買わなくっちゃ。次は私の家から持ってこないとなぁ」

//SE タオルで髪を拭く音

「ふふ、こうしてると子どもみたい」

「はいはい、そうだよね、もう大人だよねぇ」

ムっとした主人公が仕返ししようとして押し倒す。

//SE どさっと倒れる音

「きゃっ!?」

「え……や、やだなぁもう。ちょっとからかっただけじゃん」//動揺して

「……怒っちゃった? ねぇ……」//窺うように

「う……何とか言ってよぉ……」//少し涙声で

主人公が笑い出す。

「わ、笑った!? もうっ! 年上をからかうんじゃありません!」

「わ、私はいいの! 君よりお姉さんなんだから!」

「もう……今度やったら、夕飯は激辛メニューにするんだからね!」

「びっくりした……まだどきどきいってる……」//小声で

「う、ううん!? なんでもない! それじゃ、私はもう帰るね! また明日!」

//SE ドアの音
「あらら。なんだか今日はお疲れ?」

「よぅし、お姉さんが耳かきしてあげよう!」

「いいからほらほら、ここに寝転がって?」

//SE 転がる衣擦れの音

「ふふ、膝枕だぁ」

「はぁい、じゃぁ右耳からいくよぉ」

「うわぁ……結構溜まってるねぇ」

//SE ごそごそ 耳かきの音

「わ……おっきぃ。ダメだよぉ、放っておいちゃ。定期的に綺麗にしないと」

「ふぅっ」//耳に息を吹きかける

「はい、右耳おしまい! じゃぁ次左耳ね」

「ん? なんで起きるの? そのままこっち転がればいいじゃん」

「あ……顔がお腹に向くのが恥ずかしいの? だぁいじょうぶ! お姉ちゃん鍛えてるから、お腹ぶよぶよじゃありません!」

「え……ちょ、なんで黙るの? うそ、大丈夫だよね? 私、ふ、太ってないよ……ね?」

「…………や、やっぱり、あっち向いて」//照れたように

//SE 向きを変える衣擦れの音

「うう……明日からご飯控えめにしようかな……」

「え? 太って、ない? ほんと? ほ、ほんとにほんと?」

「はぁ~……良かったぁ。君に太ってるって思われたら、ショックで立ち直れないところだったぁ」

「よし、じゃぁこっちも……ふぅっ」//耳に息を吹きかける

「はい、おしまい! 綺麗になりました」

「どう? 少しは癒された?」

「えぇ~……耳かきじゃ癒されないって……贅沢ぅ」

「んー……あ、そうだ! じゃぁマッサージ! マッサージしてあげる! ね、ベッドに転がって?」

「んしょっ……と」//主人公にまたがる

「いくよぉ……ん~!」//力を込めてツボを押す

「どう? 気持ちいい?」

「力が弱い……って、これでも全力なんだけどぉ!」

「よし、じゃぁもっと体重をかけて……ん~!」//力を込めてツボを押す

「あ、このくらいならちょうどいい? 良かった! よし、それじゃぁ……ん~! んぅ~!」//力を込めてツボを押す

「はぁ……はぁ……これ、結構、疲れる……」

「ちょっと休憩~」

//SE ふにゅ、というような柔らかい音
主人公の上にヒロインが圧し掛かる。

「ん? 乗るなって? だぁって、疲れちゃったんだもん!」

「さっき太ってないって言ったじゃん。重くないでしょ?」

「お、も、く、ないよね?」//有無を言わさぬ感じで

「ふっふ~、だよね! 羽のように軽いもんねぇ?」

「ん~、君の上、あったかくて気持ちいいなぁ。このまま寝ちゃいそぉ」

//SE どさ、と落ちる音
主人公が転がって上に乗っていたヒロインを落とす。

「ひゃぁ!? ちょっと、落とすことないじゃん!」

「わかったわかった、ちゃんと部屋で寝るから! ちぇー」

「その内、一緒に寝てやるんだから」//ぼそっと

「それじゃぁ、おやすみ!」
「お帰りなさぁい」//怒りを抑えた感じで

「え? 別に怒ってないよ。ご飯、作ってあるから」

「ちょっと失敗しちゃったんだけど……いいよね?」

「せっかく作ったんだもん。食べてくれるよね? ほら、あーん」

「あーーん」//圧をかける感じで

「ふふ、美味しい?」

美味しい、と答える主人公。

「……ふぅん。普通に言ってくれるんだ」

「別にいいよぉ? 気を遣わなくても。美味しくないなら、残したって」

//SE がつがつと食べる音

「ちょ、ちょっと。そんなに無理して食べなくていいってば」

「……ごめん。本当は、ちゃんとしたやつも作ってある」

「……こっちも、食べてくれる?」//窺うように

勿論、と答える主人公。ぱぁっと明るい顔をするヒロイン。

「……!(//喜んで) えへへ、ありがと」

「ところでさぁ……その、ちょっと、聞きたいことがあって」

「今日さぁ……街で、女の子と一緒にいたでしょ」

「あれ……誰?」//ちょっと不穏な感じで

「うん、別にね、いいんだよぉ? 大学生だもんね。女の子と遊んだりするだろうし……。彼女、とか」

「でも、でもね。ほら、私は、おばさんから君のこと任されてるし? 彼女とかはさ、やっぱり私に一言断るべきって言うか、紹介するべきって言うか? 変な女かもしれないし、そこは年上の女として、見定めないといけないし?」//取り繕うように早口で

「……は? カノジョ?」//カタコトで

「かのじょ……彼女……? ほんとに? どこでそんな悪い虫が……。やっぱり大学までつけていって見張るべきだったか……。でもそこまでしたらさすがに不審がられるかもしれないし、私も仕事あるし……。いやでも、仕事なんかより、泥棒猫を退治する方がずっと大事よね……」//ぶつぶつと小声で、独り言

//SE とんとん、と肩を叩く音

「……!(//はっとして) ごめんね、ちょっと考え事しちゃって……。え、なに? ……勘違い?」

「君の彼女じゃなくて、友達の彼女? 友達も一緒だったの? たまたま私が見た時、いなかっただけ?」

「な、なんだぁ~~!」//盛大にほっとして

「君の彼女だったら、どうしてやろうかと……んん!(//咳払い) どうしようかと思ったぁ」

「そうだよねぇ、君に彼女はまだ早いよ。だって、まだ一年生でしょ? 勉強を優先しなくちゃ」

「今は学業に専念できるように、ちゃぁんと私がお世話してあげるから」

「……ね?」//小悪魔的に
//SE 体温計の音

「38度5分……。結構高いねぇ」

「慣れない一人暮らしと大学生活で、疲れが出ちゃったかな。一気に色々変わったもんねぇ」

「ああほら、いいから、横になってて」

「仕事? 病人が気にすることじゃありません」

「こういう時のために私がいるんだから。頼ってくれていいんだよ」//頭を撫でて

「うん、いい子。ほら、傍にいるから。安心して眠ってて」//手を握る

//SE 時計の音 時間経過

「ん……起きた?」

「どれどれぇ……。うーん、まだ熱いな」//額を合わせて

「水分補給しよっか。飲めそう? はい、ゆっくり飲んでね」

//SE 水を飲む音

「汗すごいねぇ。体も拭こっか」

//SE ばたばたと抵抗する音

「恥ずかしがることじゃないでしょ! 病人なんだから。ほら、観念しなさい!」

「はい、ばんざーい」

//SE 服を脱ぐ衣擦れの音

「腕上げてー」

「背中、広いねぇ。……大きくなったんだねぇ」//しみじみと

「初めて会った時は、まだ小さくて……。私の後ろをついて回って、可愛かったなぁ」

「覚えてない? ふふ、ほんとかなぁ」//からかうように

「私、一人っ子だから。弟ができたみたいで、嬉しかったんだよ」

「でも、君はどんどん大きくなって……。高校生になる頃には、身長も私よりおっきくなっちゃってさぁ」

「私が就職するからって、上京して、なかなか会えなくなっちゃって。……寂しかった。だからね、嬉しかったんだよ。君が大学進学で上京するって聞いた時」

「しかも一人暮らしの相談に、私のところに来てくれて。ああ私、頼られてるなーって」

「まぁそのおかげで、私の隣に住むことが、一人暮らしの条件になっちゃったんだけど。私、おばさんには信頼されてるからね。しっかり者だって」

「え? 意外と抜けてる? もう、そんなことないでしょ!」

「とにかく、私はね。君に頼られるの、本当に嬉しいの。だから何にも気にしないで、好きなだけ甘えて。……はい、おしまい!」

//SE 服を着る衣擦れの音

「食欲はある? 良かった。そしたら、おかゆ作ってあるから、ちょっと待ってて」

//SE 足音

「お待たせー」

//SE 食器の音 おかゆをすくう

「ふー、ふー。ほら、あーん」

「手に力入らなくて、落としたら困るでしょ。ほら、あーん」

「うん、えらいえらい。おいし?」

「味わかんないかぁ。だよねぇ。元気になったら、何でも好きなもの作ってあげるからね」

「はい、もう一口」

//SE 食器を片付ける音

「よし、じゃぁあとは薬飲んで寝よっか」

「今日はこっちに泊まるから。安心して寝ててね」

「治るまでしっかり看病してあげるから。おやすみ」

//SE 時計の音

「……寝ちゃった?」

「ふふ、寝息、かーわい」

「今日は君のお世話がいっぱいできて、楽しかったなぁ」

「……ずうっと私にお世話させてね」
「はくしゅん!」

「うう~……まさか君の風邪を貰っちゃうなんて……不覚……」

「……せっかく元気になったんだから、あんまり傍に来ない方がいいんじゃない? また移っちゃうかも」

「そしたらまた看病してもらう? ……ふふ、もー。それじゃループじゃん」//笑いながら

「……ありがと。ほんとは来てもらえてすごく嬉しい。ちょっと心細かったんだぁ」

「私の部屋に入るの、初めてだよね? なんか緊張するなぁ」

「……あ、あんまりじろじろ見ないで。変なものは置いてないと思うけど……」

「君の写真も隠してあるし……」//ぼそっと

「う、ううん? 何でもない」//誤魔化して

「食欲? うん、ちょっとお腹すいたかも」

「え? おかゆ? 君が作るの?」//びっくりして

主人公が取り出したレトルトパウチを見て笑う。

「あっなんだぁ、レトルトかぁ」

「良かった、それなら君も怪我しないね。それじゃ、お願いしようかな」

//食器の音

「できた? それじゃぁ……あーん」

「食べさせて、くれるでしょ?」

「重たくって器持てないもーん。ほらほら、あーん」

おそるおそる食べさせる主人公。

「はむ、ん、うん。おいしい」

「君が食べさせてくれたから、愛情の分、更においしいの!」

//食器の音

「ごちそうさまぁ。食べたら、なんだか暑くなっちゃった」

「べたべたするし……体拭きたいなぁ」

「……拭いてくれるの?」//からかうように

「冗談冗談。じゃぁささっと拭いちゃうから、ちょっと後ろ向いてて」

//SE 衣擦れの音

「んん……ねぇ、やっぱり背中だけ拭いてくれない?」

「だって、気になるんだもん。手も届かないし……お願い」

仕方なく振り向く主人公。
前を服で隠して、髪を退け、こちらに背中を向けているヒロイン。
その背中を、あまり見ないようにして拭う。

「ん……気持ちいい……」

「え、ちょ、つよいつよい。どしたの?」

//SE 衣擦れの音

「あーさっぱりした! ありがとね」

「すっきりしたし、薬も飲んだし、よく眠れそう。今日は本当にありがとう。あとはもう大丈夫だから、帰っていいよ」

「……え? 眠るまで、いてくれるの?」

「でも、君だって忙しいのに……」

「……えへへ、そっか、ありがとう。じゃぁ、お言葉に、甘えちゃおうかな」

「私が眠るまで、手を握っててくれる?」

「ふふ、ありがとぉ」

「ニヤけてる? だぁって、嬉しいんだもん。君がこんなに甘やかしてくれるなら、たまには風邪も悪くないなぁ」

「……どこにも行かないでね。ちゃんと傍にいてね。眠るまで……ううん、眠っても……ずうっと……」

「すー……すー……」//寝息
「今日は映画を見ます!」//ドヤ顔

「異論は認めません! 決定です!」

「何を見るかって? ふっふっふ、コレです! 夏といえばホラーでしょ~」

//SE ジャジャーン
ノートPCの画面を見せるヒロイン。ホラー映画のタイトルが映っている。

「この映画、すごく話題になったし、気になってたんだよねぇ。やっと配信開始したから、これはもう君と見るしかない! と思って」

「え? なんで映画館に見に行かなかったのかって?」

「だ……だって……そのぅ……」//もじもじと

「……こ、怖いし……」//テレたように

「だ、だって! 映画館だと、すごく怖いもう無理ってなっても、出られないじゃない!? 途中で退席すると邪魔になるし、なんか負けた気分になるしっ」//言い訳するように

「でも、君と一緒なら……怖くても、大丈夫かなぁ……って……」

//SE 袖を握る音

「い、いいでしょ? 一緒に……見よ?」//上目遣いで

了承する主人公。

「……!」//嬉しそうに

「やったぁ! じゃぁ飲み物とかお菓子用意するから、座って待っててね!」

//SE 食器の音や、飲み物を注ぐ音

「んしょっと。はい、詰めて詰めてー」

//SE 座る音、むぎゅっとくっつく音

「え? だって、ノートパソコンの画面小さいから、くっつかないと二人で見れないでしょ?」

「テレビに繋げる? うそ、そんなのできたんだ」

「……で、でも、画面が大きいと怖くなるから! やっぱりこのまま!」

映画を再生する。
//SE おどろおどろしい音

「…………」//緊張した様子で

//SE 急に大きな音

「ひゃぁっ!?」

「び、びっくりしたぁ~……」

「…………」//主人公をちらちら窺う

//SE 急に大きな音

「ひょわぁっ!?」//主人公に飛びつく

「うううやっぱり怖いぃ~! 私こういう急にくる系苦手なのぉ~!」

「嫌なら見なければ……って、もう! 違うの! 見たいことは見たいの!」

「うぅ~……ね、ねぇ、このままくっついてても……いい?」

「こうしてたら、ちょっとは怖くないもん……」

//SE ぎゅう、とさらにしがみつく音

「……いいの? えへへ、ありがとぉ」

//SE ホラー映画の音
以下映画を見ながらの反応 断続的に

「ひゃうっ」

「うう……」

「~~~~!」//怖すぎて声にならない

//SE エンドロールっぽい音楽
//SE ノートPCを閉じる音

「あー、怖かったぁ!」//満足げに

「でも面白かったねぇ! ね! ……あれ?」

「わ、どうしたの? すごい汗かいてる」

「あ……そっか、私がずっとくっついてたから、暑かったんだ。ご、ごめんね」

「冷房下げても良かったのに」//心配そうに

「……私が寒いと思って?」//驚いて

「……そっか。ふふ、気にしてくれてありがとう。でも熱中症とか怖いし、次からは遠慮しないでね」

「もし寒かったら、君にあっためてもらうから……大丈夫♪」