1

旧魔王戦乱の終盤、人間領域内部では魔族利権マフィアの駆逐双頭があっちこっちで行われていた。それらの事例の中から大規模だった「鮮魚の一党」と「赤の団」の処刑風景(裁判官・役人や学校の教授なども多数だったから驚きだ)。


2
まず「罪の軽い者たち」が素直で苦痛の少ない斬首刑であっさりと楽に殺されていく。それすらも人数が多すぎたために一日では片付かず、一週間がかり。

より効率的に、かつ適当な苦痛や恐怖を与えるため、城壁から数珠つなぎで突き落とすやり方も行われた。これは手を縛った囚人たちの首にロープをかけて一列に並ばせる。先頭の一人二人に重りを付けて高い城壁から突き落とすと、その目方で後続の者たちは次々と首が絞まり、しばらくは耐えるのだが順次に引きずられ雪崩を打って全員転落死する。

同様に「やや罪の軽い者」への別の対処は、一通りに集団リンチで痛めつけたあとで地面に掘った大きな穴に入らせる(これも鞭打ちながらに自分らで掘らせたらしい)。上からショベルで火のついた石炭を投げ入れ浴びせかけ、生きたままで焼き殺し窒息死させる。熱さで踊り飛び跳ね、二酸化炭素で泣き叫びながらにバタバタと倒れていき、穴から這い上がろうとすると兵士たちに突き落とされる。まだ窒息で気絶出来る可能性があるために、「数珠つなぎで城壁から突き落とし」と同程度の「優しく手加減した殺し方」だったらしい。

逆に「やや罪が重い」場合には、一定人数で檻に詰め込んで飢餓状態にさせ、共食いさせるような手法もとられたそうだ。もっとも罪が軽い、連座した有罪者の家族などは鼻や耳を削いで焼き印を押され(手足を切断されたりもした)、魔族側の支配領域に奴隷・食用として売り飛ばされた(それはあくまでも「救済措置の一種」であると見做された)。


3
それと平行して重罪人たちの念入りな処刑が行われたのだが、実に凄惨な具合であった。それらは人々からどれだけの憎悪を買っていたかを物語っていた。

一人一人に手間をかけるくらいの主犯格などは、前述のように簡単には済ませられない。革など柔らかい素材ではなく、よくしなって強度と打撃力の高い金属製の鞭でぶちのめす。

反応が鈍くなってきたら小さなナイフで顔面や全身を切り刻み、最後は短い投げ槍を即効の致命傷になりにくい腹部に深々と刺して、とどめを刺さず死ぬまで晒して放置する。やや慈悲がある場合には腹を切り裂いてより重傷にし、早く死ねるように配慮したそうだ。


4

その間、舞台となった都市群や近隣の村々はずっとお祭り騒ぎであった。没収された資産はこれまでの損失補填と被災者の救済に充てられた。

家畜の豚たちは餌(死体)が豊富にあるためによく太り、その冬の食料は豊富で人々は幸福であった。余った処刑囚人の骨は集めて砕き粘度と混ぜて焼いて、煉瓦にして道路の舗装などに有効活用されたという。