まさかの三人揃ってワームをテイムしてしまうとは……。
くねくねするワームを見ると「うわぁぁ……」って気分になるが、土壌改良計画としては万々歳な結果だろう。
ワームのサイズは長さが三メートルほど。
サンドワームと比べると確かに小さいが、三メートルのミミズと考えたら巨大だろう。
少し成長させてみるか?
「バフォおじさん。ワームの寿命ってどのくらいなんだ?」
「二〇〇年か、二五〇年ぐれぇか。サンドワームは一五〇年ぐれぇだぜ」
「サンドワームの方が短いのか。まぁそれでも人間よりも長いけどさ」
「サンドワームはクソをしねぇ分、体への負担もあるんだろ」
……せっかくマリウスが女性陣に配慮したのに、おじさんときたら。
「こいつら、何歳ぐらいなんだろうか」
ワームに年輪なんてないだろうしな。
そう思っていると『二一歳歳』なんて声が頭の中で聞こえた。
まさか今の、ワームなんて言わないよな?
「この子は一九歳と言っています」
「この子もよ」
「そ、そうなんだ……」
うわぁぁぁ。ミミズの声が聞こえるようになってるうぅぅぅ。
ルーシェやシェリルは、さっそくミミズに名前を付けようとしているし。
え、かわいい? ミミズが、かわ……いい?
嘘だ。信じられない。
「齢のわりに、やっぱ小せぇな」
「そ、そうなのか。ちょっとぐらい成長させてみるか」
「どうせならサンドワームの屍を処理させりゃいいんじゃねえのか?」
「屍って、サンドワームを倒したのは昨日だぞ? 傷んでないか」
「それにサンドワームの肉は、とてもじゃないけど食べられるようなものじゃないわよ」
モンスターですら食わないんだしな。
まぁそのせいで死骸は残ったまま。腐って砂に還るのを待つしかない。
「ワームの胃袋を侮るなよ。こいつらぁな、どんなに腐ったもん食ったって、下すこたぁねえよ。聞いてみな」
「き、聞く?」
「大丈夫なの?」
「お腹痛くなったりしませんか?」
聞いてるよこの二人。
するとワームが首? をもたげて頷いている。
大丈夫なのかよ。
まぁ……そういうことなら。
「"成長促進"」
まずは五年分。
サンドワームの屍に吸い付くワーム三匹を成長させる。
その五年分を三〇分かけて成長させた。
暑さ対策に木を数本植えて、日陰で俺たちは待った。
その間に――
「アス。砂を圧縮して固めたりとか出来るのか?」
『精霊ト力ヲアワセタラ出来ルヨ。ヤル?』
「出来るなら渓谷の近くからスタートしようと思うんだ。砂を土に変えるために、少しずつな」
「砂漠を土に……出来るのかしら」
「やれるだけやってみよう。少しでも土が増えれば、畑の面積も増やせるしさ」
三〇分ほど経つと、ワームの体は倍のサイズにまで成長していた。
六メートルのミミズ……。
「立派になったわねぇ」
「ほんと。え、まだ食べられるんですか? もちろん、いいですよ」
二人はすっかりワームと仲良しだ。
『僕も食べて、いい?』
うああぁぁぁ。ワームの声だあぁぁぁ。
僕ってことはこいつ、雄?
いや、ミミズは雌雄同体だったよな。
まぁワームもそうとは限らないのかもしれないけど。
「あ、あぁ。食べていいぞ」
『やったぁー』
他のモンスターは食わないってのに、こいつらは美味しそうに食べてくれてるな。
せっかくだし、追加で五年ほど成長させるか。
そして三〇分後。成長したワームの体長は、一〇メートル近くになっていた。
「こいつら、どこまで大きくなるんだ……」
「すくすく成長するわね」
『ボクヨリ大キクナルノ?』
『分かんない』
分かんないかぁ。
『お腹いっぱい』
「そうか。ルーシェ、シェリル。こいつはお腹いっぱいらしいけど、そっちは?」
「この子もお腹いっぱいのようです」
「この子もよ。残りは今度食べるって言ってるわ」
「なら戻るか」
そう言うと、ワームは嬉しそうに尾? を振った。
『ご飯たくさんあるけど、ここ暑くて皮膚が乾燥しそうだったの』
「乾燥するのか?」
『うん。乾燥すると土に潜った時に、石や岩で皮膚がぼろぼろになっちゃう』
そうなのか。
あまり長時間、砂漠にはいさせないほうがいいようだ。
渓谷の入り口周辺は、奥から流れてくる水のおかげで砂も湿っている。
そこまでくると、ワームたちはごろごろ転がって皮膚を湿らせた。
「ワームたちはこの辺りで暮らして貰おう。アスと精霊、ワームで力を合わせて、この辺りの砂を土に変えられるといいんだけどな」
『ボク頑張ルヨ』
『もっも』
『いい土にする? いい土大好き。いっぱい食べて、いっぱいうん――……するよ』
このワーム……羞恥心があるのか!?
なんか意外だ。
「ユタカさん。この子たちのために、日陰になる木を植えていただけませんか?」
「そうね。太陽が真上に来てる時間は、この辺りは日陰がなくなるから」
「あぁ、分かったよ。この辺なら水も来てるし、枯れることもないだろうね」
常緑樹のモミの木を五本ほど成長させて、日陰が出来るようにした。
夜は砂の中に潜って寒さをしのぐから大丈夫だと、本人たちは言う。
食べたものは二日ぐらいかけてゆっくり消化し、排泄を行うんだとか。
そしたらまたサンドワームを食べて、消化して……どのくらい繰り返せば土壌改良されるかなぁ。
くねくねするワームを見ると「うわぁぁ……」って気分になるが、土壌改良計画としては万々歳な結果だろう。
ワームのサイズは長さが三メートルほど。
サンドワームと比べると確かに小さいが、三メートルのミミズと考えたら巨大だろう。
少し成長させてみるか?
「バフォおじさん。ワームの寿命ってどのくらいなんだ?」
「二〇〇年か、二五〇年ぐれぇか。サンドワームは一五〇年ぐれぇだぜ」
「サンドワームの方が短いのか。まぁそれでも人間よりも長いけどさ」
「サンドワームはクソをしねぇ分、体への負担もあるんだろ」
……せっかくマリウスが女性陣に配慮したのに、おじさんときたら。
「こいつら、何歳ぐらいなんだろうか」
ワームに年輪なんてないだろうしな。
そう思っていると『二一歳歳』なんて声が頭の中で聞こえた。
まさか今の、ワームなんて言わないよな?
「この子は一九歳と言っています」
「この子もよ」
「そ、そうなんだ……」
うわぁぁぁ。ミミズの声が聞こえるようになってるうぅぅぅ。
ルーシェやシェリルは、さっそくミミズに名前を付けようとしているし。
え、かわいい? ミミズが、かわ……いい?
嘘だ。信じられない。
「齢のわりに、やっぱ小せぇな」
「そ、そうなのか。ちょっとぐらい成長させてみるか」
「どうせならサンドワームの屍を処理させりゃいいんじゃねえのか?」
「屍って、サンドワームを倒したのは昨日だぞ? 傷んでないか」
「それにサンドワームの肉は、とてもじゃないけど食べられるようなものじゃないわよ」
モンスターですら食わないんだしな。
まぁそのせいで死骸は残ったまま。腐って砂に還るのを待つしかない。
「ワームの胃袋を侮るなよ。こいつらぁな、どんなに腐ったもん食ったって、下すこたぁねえよ。聞いてみな」
「き、聞く?」
「大丈夫なの?」
「お腹痛くなったりしませんか?」
聞いてるよこの二人。
するとワームが首? をもたげて頷いている。
大丈夫なのかよ。
まぁ……そういうことなら。
「"成長促進"」
まずは五年分。
サンドワームの屍に吸い付くワーム三匹を成長させる。
その五年分を三〇分かけて成長させた。
暑さ対策に木を数本植えて、日陰で俺たちは待った。
その間に――
「アス。砂を圧縮して固めたりとか出来るのか?」
『精霊ト力ヲアワセタラ出来ルヨ。ヤル?』
「出来るなら渓谷の近くからスタートしようと思うんだ。砂を土に変えるために、少しずつな」
「砂漠を土に……出来るのかしら」
「やれるだけやってみよう。少しでも土が増えれば、畑の面積も増やせるしさ」
三〇分ほど経つと、ワームの体は倍のサイズにまで成長していた。
六メートルのミミズ……。
「立派になったわねぇ」
「ほんと。え、まだ食べられるんですか? もちろん、いいですよ」
二人はすっかりワームと仲良しだ。
『僕も食べて、いい?』
うああぁぁぁ。ワームの声だあぁぁぁ。
僕ってことはこいつ、雄?
いや、ミミズは雌雄同体だったよな。
まぁワームもそうとは限らないのかもしれないけど。
「あ、あぁ。食べていいぞ」
『やったぁー』
他のモンスターは食わないってのに、こいつらは美味しそうに食べてくれてるな。
せっかくだし、追加で五年ほど成長させるか。
そして三〇分後。成長したワームの体長は、一〇メートル近くになっていた。
「こいつら、どこまで大きくなるんだ……」
「すくすく成長するわね」
『ボクヨリ大キクナルノ?』
『分かんない』
分かんないかぁ。
『お腹いっぱい』
「そうか。ルーシェ、シェリル。こいつはお腹いっぱいらしいけど、そっちは?」
「この子もお腹いっぱいのようです」
「この子もよ。残りは今度食べるって言ってるわ」
「なら戻るか」
そう言うと、ワームは嬉しそうに尾? を振った。
『ご飯たくさんあるけど、ここ暑くて皮膚が乾燥しそうだったの』
「乾燥するのか?」
『うん。乾燥すると土に潜った時に、石や岩で皮膚がぼろぼろになっちゃう』
そうなのか。
あまり長時間、砂漠にはいさせないほうがいいようだ。
渓谷の入り口周辺は、奥から流れてくる水のおかげで砂も湿っている。
そこまでくると、ワームたちはごろごろ転がって皮膚を湿らせた。
「ワームたちはこの辺りで暮らして貰おう。アスと精霊、ワームで力を合わせて、この辺りの砂を土に変えられるといいんだけどな」
『ボク頑張ルヨ』
『もっも』
『いい土にする? いい土大好き。いっぱい食べて、いっぱいうん――……するよ』
このワーム……羞恥心があるのか!?
なんか意外だ。
「ユタカさん。この子たちのために、日陰になる木を植えていただけませんか?」
「そうね。太陽が真上に来てる時間は、この辺りは日陰がなくなるから」
「あぁ、分かったよ。この辺なら水も来てるし、枯れることもないだろうね」
常緑樹のモミの木を五本ほど成長させて、日陰が出来るようにした。
夜は砂の中に潜って寒さをしのぐから大丈夫だと、本人たちは言う。
食べたものは二日ぐらいかけてゆっくり消化し、排泄を行うんだとか。
そしたらまたサンドワームを食べて、消化して……どのくらい繰り返せば土壌改良されるかなぁ。