「クッキー作って夜ふかしする暇があったら、さっさと寝ればいいのに。そんなんだから、朝一の抗議に遅刻するんだよ」
振り返ったふゆ樹が、照れくさそうに笑う。
吐く息は白く、マフラーも手袋も身につけていないむき出しの肌は、手や鼻の頭が赤く色づいている。
「先生に説明するのが面倒だったから、寝坊って言ったけど、本当はすっごく早起きしたんだよ。でも、思ったより時間がかかっちゃって」
その言葉に、僅かに眉間に皺が寄った。
「まさかとは思うけど、朝一の講義に遅れた理由って……これを、作ってたから?」
“これ”と言って袋をそっと掲げてみせると、ふゆ樹はなんの屈託もなく笑顔で頷いた。
抑えるまもなく、呆れを含んだため息が零れる。
「講義に出るよりお菓子を作る方が好きなら、大学選び間違えたんじゃない」
何気ない呟きのつもりで放った言葉に、自分でも意図せず刺が混じった。
それを感じ取ったのか、笑顔を引っ込めたふゆ樹が不思議そうに首を傾げる。
「だって違う学校選んだら、なーちゃんと別々になっちゃうから。それに、僕が違う学校に行くとしたら専門学校になるでしょ。二年と四年だと卒業する時期も違うし、僕の方が先に社会に出るから、そうしたらなーちゃんと一緒にいる時間が減っちゃうと思って」
振り返ったふゆ樹が、照れくさそうに笑う。
吐く息は白く、マフラーも手袋も身につけていないむき出しの肌は、手や鼻の頭が赤く色づいている。
「先生に説明するのが面倒だったから、寝坊って言ったけど、本当はすっごく早起きしたんだよ。でも、思ったより時間がかかっちゃって」
その言葉に、僅かに眉間に皺が寄った。
「まさかとは思うけど、朝一の講義に遅れた理由って……これを、作ってたから?」
“これ”と言って袋をそっと掲げてみせると、ふゆ樹はなんの屈託もなく笑顔で頷いた。
抑えるまもなく、呆れを含んだため息が零れる。
「講義に出るよりお菓子を作る方が好きなら、大学選び間違えたんじゃない」
何気ない呟きのつもりで放った言葉に、自分でも意図せず刺が混じった。
それを感じ取ったのか、笑顔を引っ込めたふゆ樹が不思議そうに首を傾げる。
「だって違う学校選んだら、なーちゃんと別々になっちゃうから。それに、僕が違う学校に行くとしたら専門学校になるでしょ。二年と四年だと卒業する時期も違うし、僕の方が先に社会に出るから、そうしたらなーちゃんと一緒にいる時間が減っちゃうと思って」