「なんだお前ら! 用件……を…………」
屋敷の前にたむろしていた柄の悪い男が先頭に立つガダンに近寄った。
懐からナイフを取り出して軽く脅してやろうとしていた男の首をガダンが鷲掴みにして持ち上げた。
相手の男だって貧相な体格をしているものではない。
なのに片手で足がつかないほどに持ち上げられ、男はナイフを落としてガダンの手を外そうともがく。
「テシア様はどこだ?」
「だ……だれ…………」
「知らないのなら構わん。他に聞くだけだ」
そのままガダンはさらに手の力を強めた。
「かなり強いですね……」
ガダンは動かなくなった男を投げ捨てて剣を抜いた。
「ボスはどこにいる?」
他にもたむろしている男たちに質問を投げかける。
「そ、そんなこと……」
「言っただろう、答えないのなら他に聞くだけだと」
大きな体から考えられないほどに素早い動きでガダンは相手を切り捨てた。
「てきしゅ……」
最後まで叫ぶこともできずにガダンによってたむろしていた男たちは倒されてしまった。
「いいか、周りを出しているような奴は情報を聞くために殺すな。あとは自由だ。暴れろ」
神に仕える身として止めるべきなのではないかとハニアスは苦悩した。
明らかに人数で劣るガダンたちであったがその力の差は歴然だった。
ガダンたちは正面から黒狼会に乗り込んで建物の中にいごろつきたちを瞬く間に切り捨てていく。
人数が少ないので手加減もしていられないのは分かるけれどあまりにも一方的な印象も受けた。
テシアをさらった黒狼会はとんでもない相手を怒らせてしまったのだとハニアスは思った。
「テシア様はどこだ?」
「あ、あの、さらった女だろ……知ってる……だから手を放し……」
「お前の手が無くなるのと話すのどちらがいいか選べ」
あっという間に黒狼会の本部は制圧され、ガダンは幹部と思わしき男から話を聞き出そうとする。
首を掴んで壁に押さえつけられた男は抵抗らしい抵抗もできない。
「ニ、ニンクアだ! ニンクア・ザイハンシャ、あいつがこの誘拐を持ちかけてきたんだ!」
「ニンクアだと?」
「ボ、ボスもそこに……」
「ガダン様、それ以上は死んでしまいます!」
ハニアスに止められてガダンが手を離すと男は力なく地面に倒れた。
「ニンクアという奴の居場所を知っている奴はいるか? 今なら最初に口を割った1人だけ助けてやる」
まだ殺さずに捕らえたものは数人いる。
「町の西側に屋敷があります!」
ガダンが視線を向けると我先に口を割る。
「西側……そちらに向かうぞ」
黒狼会の拠点よりもテシアがいる可能性が高そうであるとガダンは判断した。
ダイコクに状況を報告するための使いを走らせてすぐに西側にあるニンクアの屋敷に向かおうとした。
「ガダン隊長」
「なんだ?」
南側に向かった部隊の使いがガダンのところに走ってきた。
「黒狼会のボスを捕まえました!」
「本当か? 何か話は聞き出せたか?」
「ニンクアという男が今回のことを依頼したと。さらった女性はニンクアの屋敷の地下に捕われているようです」
「そうか、ご苦労だったな。我々はこのままニンクアの屋敷に向かう。ネスドダニにも向かうよう伝えてくれ」
「はっ、承知しました」
休む間も無く使いの男は走って行き、ガダンたちはニンクアの屋敷に向かった。
立派なお屋敷。
門の前には重装備の門番までいる。
「おい、何の用だ!」
「人を返してもらいに来た」
容赦がない。
ガダンは何食わぬ顔で門番に近づくと一気に剣を抜いて首を刎ねた。
「な……ぐ……」
もう1人いた門番も叫ばれる前にガダンの仲間が倒していた。
「て、敵だー!」
「チッ……中に人がいたか」
門番は上手く倒したけれどちょうど塀の影になって見えないところに人がいた。
大声で叫びながら屋敷の中に入っていってしまい、止める暇もない。
「まあいい、どの道やることに変わりはない」
ガダンが門を開けて中に入るのと同時に屋敷からワラワラと人が出てくる。
思っていたよりも多いと顔をしかめる。
「よほど守りたいものがあるんだな。たとえば……さらってきた人とかな。……ハニアスさん、キリアンさん」
「は、はい!」
「我々が道を切り開く。先に行ってテシア様を探してほしい」
相手にバレてしまったということは逃げられてしまうリスクも当然に生じる。
あまり時間もかけていられないが黒狼会と違ってちゃんと装備を身につけた兵士たちなので少し苦戦はしそうだった。
それなら誰か先に行かせて探してもらったほうがいい。
テシアが怪我などをしている可能性もあるしハニアスを行かせる。
キリアンはオマケみたいなもの。
この場に残られても連携が取れないのでハニアスを守ってもらおうと考えた。
「……分かりました!」
「それではみんな行くぞ!」
ガダンたちと兵士たちがぶつかり合う。
「今だ!」
突っ込んでいったガダンの勢いが凄まじく、兵士たちが二つに割れた。
ハニアスとキリアンはその隙をついて屋敷へと駆け抜けた。
「なっ……」
「行かせるかよ!」
もちろん兵士たちも追いかけようとするがガダンがそうはさせない。
ガダンも兵士の間を割って進み、屋敷の前に立ちはだかる。
「行きたきゃ俺を倒して行くんだな!」
ーーーーー
屋敷の前にたむろしていた柄の悪い男が先頭に立つガダンに近寄った。
懐からナイフを取り出して軽く脅してやろうとしていた男の首をガダンが鷲掴みにして持ち上げた。
相手の男だって貧相な体格をしているものではない。
なのに片手で足がつかないほどに持ち上げられ、男はナイフを落としてガダンの手を外そうともがく。
「テシア様はどこだ?」
「だ……だれ…………」
「知らないのなら構わん。他に聞くだけだ」
そのままガダンはさらに手の力を強めた。
「かなり強いですね……」
ガダンは動かなくなった男を投げ捨てて剣を抜いた。
「ボスはどこにいる?」
他にもたむろしている男たちに質問を投げかける。
「そ、そんなこと……」
「言っただろう、答えないのなら他に聞くだけだと」
大きな体から考えられないほどに素早い動きでガダンは相手を切り捨てた。
「てきしゅ……」
最後まで叫ぶこともできずにガダンによってたむろしていた男たちは倒されてしまった。
「いいか、周りを出しているような奴は情報を聞くために殺すな。あとは自由だ。暴れろ」
神に仕える身として止めるべきなのではないかとハニアスは苦悩した。
明らかに人数で劣るガダンたちであったがその力の差は歴然だった。
ガダンたちは正面から黒狼会に乗り込んで建物の中にいごろつきたちを瞬く間に切り捨てていく。
人数が少ないので手加減もしていられないのは分かるけれどあまりにも一方的な印象も受けた。
テシアをさらった黒狼会はとんでもない相手を怒らせてしまったのだとハニアスは思った。
「テシア様はどこだ?」
「あ、あの、さらった女だろ……知ってる……だから手を放し……」
「お前の手が無くなるのと話すのどちらがいいか選べ」
あっという間に黒狼会の本部は制圧され、ガダンは幹部と思わしき男から話を聞き出そうとする。
首を掴んで壁に押さえつけられた男は抵抗らしい抵抗もできない。
「ニ、ニンクアだ! ニンクア・ザイハンシャ、あいつがこの誘拐を持ちかけてきたんだ!」
「ニンクアだと?」
「ボ、ボスもそこに……」
「ガダン様、それ以上は死んでしまいます!」
ハニアスに止められてガダンが手を離すと男は力なく地面に倒れた。
「ニンクアという奴の居場所を知っている奴はいるか? 今なら最初に口を割った1人だけ助けてやる」
まだ殺さずに捕らえたものは数人いる。
「町の西側に屋敷があります!」
ガダンが視線を向けると我先に口を割る。
「西側……そちらに向かうぞ」
黒狼会の拠点よりもテシアがいる可能性が高そうであるとガダンは判断した。
ダイコクに状況を報告するための使いを走らせてすぐに西側にあるニンクアの屋敷に向かおうとした。
「ガダン隊長」
「なんだ?」
南側に向かった部隊の使いがガダンのところに走ってきた。
「黒狼会のボスを捕まえました!」
「本当か? 何か話は聞き出せたか?」
「ニンクアという男が今回のことを依頼したと。さらった女性はニンクアの屋敷の地下に捕われているようです」
「そうか、ご苦労だったな。我々はこのままニンクアの屋敷に向かう。ネスドダニにも向かうよう伝えてくれ」
「はっ、承知しました」
休む間も無く使いの男は走って行き、ガダンたちはニンクアの屋敷に向かった。
立派なお屋敷。
門の前には重装備の門番までいる。
「おい、何の用だ!」
「人を返してもらいに来た」
容赦がない。
ガダンは何食わぬ顔で門番に近づくと一気に剣を抜いて首を刎ねた。
「な……ぐ……」
もう1人いた門番も叫ばれる前にガダンの仲間が倒していた。
「て、敵だー!」
「チッ……中に人がいたか」
門番は上手く倒したけれどちょうど塀の影になって見えないところに人がいた。
大声で叫びながら屋敷の中に入っていってしまい、止める暇もない。
「まあいい、どの道やることに変わりはない」
ガダンが門を開けて中に入るのと同時に屋敷からワラワラと人が出てくる。
思っていたよりも多いと顔をしかめる。
「よほど守りたいものがあるんだな。たとえば……さらってきた人とかな。……ハニアスさん、キリアンさん」
「は、はい!」
「我々が道を切り開く。先に行ってテシア様を探してほしい」
相手にバレてしまったということは逃げられてしまうリスクも当然に生じる。
あまり時間もかけていられないが黒狼会と違ってちゃんと装備を身につけた兵士たちなので少し苦戦はしそうだった。
それなら誰か先に行かせて探してもらったほうがいい。
テシアが怪我などをしている可能性もあるしハニアスを行かせる。
キリアンはオマケみたいなもの。
この場に残られても連携が取れないのでハニアスを守ってもらおうと考えた。
「……分かりました!」
「それではみんな行くぞ!」
ガダンたちと兵士たちがぶつかり合う。
「今だ!」
突っ込んでいったガダンの勢いが凄まじく、兵士たちが二つに割れた。
ハニアスとキリアンはその隙をついて屋敷へと駆け抜けた。
「なっ……」
「行かせるかよ!」
もちろん兵士たちも追いかけようとするがガダンがそうはさせない。
ガダンも兵士の間を割って進み、屋敷の前に立ちはだかる。
「行きたきゃ俺を倒して行くんだな!」
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