日本国は、現在とてもバチバチしている。人同士の戦争じゃなくて、主に「妖怪」との戦争で――だけど、国の端っこのド田舎で「今日の洗濯干しも終わり」なんて、一つ括りにした黒い髪を揺らしながら呑気な事を言う私には、妖怪なんてどこか他人事だと。そう思っていた。
この日までは――
「春ノ助(はるのすけ)様でお間違いありませんか?」
「へ、私?」
着物……ではなく、高そうな軍服をピシリと着こなす男性。まだ若いのか、肌艶がいいし瞳のくすみも全くない。おかっぱ頭に似た黒い髪型は、どこか子供っぽさを連想させる。
「今日ここに参りました理由は――」
「……」
視線をそらさないまま自分の肌を少しだけ引っ張り、小首を傾げた。まだ私も十六歳で若いはずだが、両手を見ればアカギレはあるし、白っぽい粉ふいてるし。近い年齢の者同士でこれだけ違いが出るものかと、落胆しながら干し終わったばかりの大量の洗濯物を見た。
「――と、そういう事でして。今から日登(ひのぼり)清冬(きよふゆ)様のお屋敷へ来ていただきます」
「私が、何をしに?」
「だから」
青年は「聞いてたのか?」という鋭い眼差しを私に向けた後、指令が書かれている紙を開いて見せた。
「清冬様と春ノ助様の婚礼の儀を執り行いますので、日登家のお屋敷へ来てください」
「婚礼の、儀?」
言いながら疑惑の「ぎ」……ではなく疑惑の「め」を向ける。けれど青年は素早く紙をしまったかと思えば「行きますよ」と。それだけ言って、来た道を戻っていく。もちろん「はい、喜んで!」なんて流れにはならなくて、疑問に疑問を重ねてパンク寸前の頭を抱えた。
まさか自分が結婚するなんて思わなかったし、ましてや日登家なんて――
日々妖怪退治を行う軍人たちにつきものな事。それはケガだ。限られた軍人たちがケガで戦闘不能になっては、国が妖怪の餌食になってしまう。しかし軍人たちは適切な治癒のおかげで、驚異の回復力で前線に戻って行った。それにより何とか日本は妖怪に対抗できているらしい。
言わば国の要となっている「適切な治癒」――これを行っているのが日登家なのである。もちろん、ケガを消毒し包帯を巻いて何日も療養……なんて轍は踏まない。治癒に時間をかけていると、戦える軍人の数は妖怪たちより劣ってしまう。そのため早急に前線に戻さねばならないのだ。
その時間、一晩。
日登家の当主のみが使えるとされている「治癒能力」。それを使えばいくらケガの程度が重い軍人ですら、翌朝には五体満足で前線に戻れるという、誰もが喉から手が出る能力を日登家が持っているのだ。
「しかし、その日登家が、なぜ身分の低い私なんかを……?」
「自分でもお分かりなのでは?」
「全くもってわかりません」
「……」
いや絶対分かってるだろ――という視線を向けられた後。さっさと私に引導を渡すためか、青年は細部まで丁寧に説明してくれた。
「あなたが十人ほど孤児を養っているというのは?」
「本当です」
「しかも、まだ喋れないほどの幼子(おさなご)もいると?」
「はい」
答える私の後ろには、家の中から心配そうにこちらを覗く二十の目。妖怪との争いで親を亡くした子供たちを引き取っていたら、いつの間にか大所帯になってしまった。そんな子供たちを、青年は表情を変えず見つめる。
「十人もいたら、さぞ生活が大変でしょうね。しかも幼子までいるとなると……病気を患った数も、数えきれないほどでしょう。しかし不思議なことに、あなたが町医者にかかった姿を、近隣に住む者は見たことがない。もしや子供を殺めているのでは?と疑った町医者が、ある日こっそり春ノ助様の家を覗いたそうです。
すると、まぁ不思議。熱にうなされていた子供は、あなたが子供に手をかざした瞬間、一瞬にして良くなったそうです。淡い青光りも出ていたとか。これは一体、どういう事なんでしょうねぇ?」
「ね、ねぇ……?」
失礼。最ほど説明の中で、治癒能力を使えるのは日登家の当主だけと言ったが、なぜか私も同じ力を使うことができる。しかも日登家が一晩かかって治すケガを、私はほぼ数時間で治すことが出来るのだ。
「み、見られていたんですか……」
「こんな掘っ立て小屋に住んでいては〝見てくれ〟と言ってるようなものでしょう」
段々と口調がきつくなっている青年を見て頬を膨らませた後。「ならお願いがあります」と、青年のいう「見てくれと言わんばかりの我が家」を指さした。
「私がいなくなれば、あの子たちは全員死にます。あなたは日登家の人間ですよね? 人を治す事に重きを置く名家が子供を見殺しにしていいのですか?」
「……つまり?」
「あの子たち全員を、日登家の養子にすること。この条件を飲んでくださるなら、私はどこへでもついて行きます」
「……」
すると「そう言われてはね」と、青年は二、三度頷いた。
「いいでしょう。ならば全員身支度を。お引越ししますよ」
「やった! ありがとうございます」
そして私と子供たち十人は引っ越しをする。
「わー、皆でおでかけなんて初めてだねぇ!」
「どこ行くのー?」
「ふふ(きっと)いい所だよ~」
皆で歌を歌いながら河原沿いを歩く……のだけど。その時に、ふと思った。子供十人を養子に――なんて条件を出したが、それを上にも確認せず独断で「是」と言った青年。まさか相当に身分が高いのでは?
「何でしょうか?」
「……いえ、何でもありません」
私たちが脱走しないようにか一番後ろを歩く青年に視線を送る。もちろん一瞬で気づかれた。こういう機微に聡いところも、どこか一般の軍人とは違う気がする。現在進行形で、赤子の一人を抱っこしてもらっている慣れた手つきもそうだ。あれほど若い青年が、赤子の扱いに長けているものだろうか。
「なんか嫌な予感がするなぁ」
言いようのない焦燥感はなんだろう。こう何度も「違和感」が身に降りかかると、自分の知り得ない領域に足を踏み込んでしまった気がして不安になる。
それに――私の力がバレたのは仕方ないにして。どうして日登家が私を娶るのかが分からない。だって私の力がなくとも当主がいれば治癒は出来るわけだし……あ、治癒のお手伝いをさせられるのかな。それくらいなら、まあいっか。
なーんて思っていたのが少し前。
だけど現在の私は、老いた元当主が布団に横になっている姿を見て唖然としていた。
「よぅ来てくれた。あんたがすごい治癒力を持つという女子(おなご)か?」
「は、はい……」
元当主、名前を日登干扇(ひせん)様。
豪華な部屋、豪華な布団、豪華な置物の中におられるが、全く覇気はなく。むしろすぐにでも命の灯が消えてしまいそうにさえ思える。だけど隣の部屋から「手当をお願いします」と軍人に言われれば黙って頷き、寝転がったまま手を上げて〝襖を閉めたまま〟軍人の治癒にあたっていた。
「むしろ干扇様こそ治癒が必要なのでは……?」
「今度言うと首が飛びますので発言にはご注意を」
「ひぃ……っ」
お屋敷に着いてから、子供たちはすぐに別室へと連れて行かれた。青年が「決して悪いようにはしないでご安心を」と言ってくれたから、その言葉を信じて私は青年に連れられ、この部屋へ来たというわけだ。
だけど、どうにもおかしい。
街の噂では、日登家は当主が変わったはず。だから治癒も、干扇様ではなく現当主である息子がしているはずなのに。どうして干扇様が治癒しているんだろう? 当主しか治癒能力は使えないはずでは?
頭が疑問符でいっぱいになっていると、干扇様が「こっちへ」と私を手招きする。近づくと、干扇様の口元の白髭がわずかに揺れた。顔を見ると、安心したように笑っている。
「ここに来てくれたということは、清冬と結婚してくれるということか」
「はい……あの、ですが」
「ツツジ」
「はい」
ツツジ――と呼ばれたのは、あの青年。干扇様が何を言いたいのか分かっているのか、二人の間で刹那の目くばせが終わった後、ツツジさんは素早く退室した。
「さて、どこから説明したものか。いや、その前に。お前さんの能力から説明してもらおうか。どうして治癒能力が使えるんじゃ?」
「私は生まれつき孤児でした。人に言えないような事をして、なんとか生きてきましたが病やケガには勝てず。死にそうになった時がありました。その時いきなり自分の手から青い光が出て……それを体にあてると、嘘のように元気になりました。力が開花したのは、その時です」
「ふむ。では家系の類ではないのか。ワシはてっきり、日登家のライバルが現れたのかと思ってな」
「ただの一般人ですよ。しかし……なるほど。脅威は早いうちに吸収しておけ、ということですか。高い治癒能力を持つ私が日登家以外に目をつけられると、こちらとしては厄介ですものね」
「まぁ、それもあるんじゃが」
干扇様は疲れているのか、話しの間にしばしば休憩を入れる。別に急かす理由もないので待っていると、遠くで子供たちのはしゃぐ声が聞こえた。良かった、楽しそうな声色だ。
「実は、息子の清冬に問題があってな」
「問題?」
言うと、干扇様が「内密な話ぞ」と声を落とした。
「清冬は治癒能力が全く使えないんじゃ。当主が変わったというのに、ワシの力を与えることが出来ん」
「え、えぇ!?」
じゃあ、さっき干扇様が軍人を治癒していた理由って……無能な息子の代わりをしていたってこと!?
「隠居されたのに、その実は治癒を継続されていた、ということですか。皆には内緒で」
「そうじゃ。ワシとツツジとお前さんだけしか知らん」
「あ、だからさっき」
襖を開けずに治癒していたのか。軍人は、襖の向こうで清冬様が治癒してくれてると思っているんだ。当主が治癒出来ない事が知られれば、軍人の指揮が下がるばかりか、国からお家が潰されるかもしれないもんね。そりゃあ公にはできないよ。
「だが、お前さんほどの力があれば、もしや清冬に力を与えられるのでは?と思い呼んだのだ。力が与えられなければ、その時は清冬の代わりに治癒をしてくれ。それがお前さんと清冬が婚姻する理由じゃ」
「そうだったのですか……」
なるほど、これはお家の一大事だ。ツツジさんが「十人の養子の件」を即・受諾したのも頷ける。
「この日登家のために尽くしてくれるか?」
「私には大事な子供たちがいます。その子たちが幸せでいられるなら、私はどんな事でもします。だから、これからよろしくお願いします」
「うむ――では、ツツジ」
「はい」
いつの間にか部屋に戻ってきていたツツジさんが、私の手をさらった途端に親指に鋭い痛みが走る。次に、指から紙の感触が伝わった――見ると、なんだか厳かな用紙に私の親指が押し付けられていた。
「これは……血判?」
「はい、これで婚姻の儀は終わりです」
「え、今ので!?」
白無垢もなく?と驚いていると、ツツジさんが「仕方ないんですよ」とため息をつく。
「当主である清冬様はずっと不在でして、帰ってこないんです。なんでも〝修行を積めば能力は開花するはず〟と思っているらしく、血眼で体を鍛えているんですよ」
「へ?」
体を鍛えても、それは意味ないんじゃ――と喉まで出かかった言葉を飲みこむ。無能なこともそうだし、もしかして清冬様は頭が弱いのでは? そう邪推した時、干扇様が「ゴホッ」と咳をした。かなりしんどそうだ。あぁ、息子の代わりにご無理をされて、お気の毒に。
「干扇様、今どれほどの人数を治癒されていますか?」
「三十人ほどじゃ。しかしまだ足りん。ケガ人は増えるばかりで、」
「では全て私に回してください。五十人……いえ、百人ほどなら同時に治癒出来ると思います」
「ひゃ、」
百人!?――干扇様とツツジさんが声を揃えたところで、干扇様から伸びている治癒の糸を切って、代わりに私の糸を伸ばす。
治癒の糸――皆には見えないけど、術者には見える。この糸を伝って、治癒の力がケガ人に移動するというわけだ。
「本当は直接、体に手を当てた方が治癒力は高いのですが、そうも言ってられないですしね」
「お前さんの力は……本当に不思議じゃな。治癒能力を使う術者は、自分の生命力を削りながら対象者を回復させるという。かなりの数を治癒をしてきたワシは、見事にこのザマじゃ。しかしお前さんくらいの術者なら、命の心配をすることはないだろう。逞しい限りじゃな」
「干扇様を元気にしてあげたいのですが……老衰にだけは、この治癒は効かないですからね」
清冬様が無能なばかりに、干扇様の死期が早くなったのは間違いない。だけど干扇様は恨み言一つ言わずに、白髭を揺らしながら笑っていた。
「これで、やっと心置きなく眠れるわい。ありがとうな、全てお前さんのおかげじゃ。そういえばまだ名前を聞いてなかったな」
「春ノ助です。孤児なので苗字はありません」
「フッ、男みたいな名前じゃな」
「よく言われます。幼い頃、すれ違った男性の懐から財布を盗みました。その財布の中に春ノ助と書いてあって……――いえ。何でもありません、ただの拾い名です」
「……そうか」
目を瞑った干扇様は、しばらく黙った。しかし次の瞬間。
「今日からお前の名は末春(みはる)だ」と言った。
「元々が拾い名であるなら、今さら名前を変えようが構わんじゃろ。清冬の妻でありながら男のような名前というのは、妙な噂が立つかもしれんしな」
「まぁ実際、私は男のような気性ですからね」
おどけて言うと、干扇様は「顔は美人なのにのう」と言った。思わぬ褒め言葉に声が出ず、自分が座っている畳を見るだけに留まる。でも、思う所が一つ。
「そうは言っても干扇様。できれば……今の名前のままで屋敷にいさせてくれませんか?」
「……そうじゃのう」
無理な要求というのは分かっている。それでも私にとっては――と思っていた時。やはり「無理だな」と干扇様。
「しかし自分の名前が変わったからと言って、元の名前を忘れてしまうわけではないだろう? その拾い名は、大切に胸の中に閉まっておくことだ。お前を見る限り、春ノ助という拾い名は〝いい思い出〟とは言えないようだしな。たまに思い出して、また閉まっておく。悲しい感情とは、それくらいの距離感でちょうどいいのじゃ」
「干扇様……」
そう、なのかな。いや、例え違っていたとしても……忘れなかったらいいんだ。ずっと胸にしまっておけば、その名前を忘れることはないのだから。
「素敵な名前をいただき嬉しく思います。これからよろしくお願いいたします」
「うむ。清冬がいない分、ここを頼んだぞ、末春」
「はい」
そしてツツジさんと部屋を出る。どうやら私専用の部屋があるらしく、長い廊下を縦に並んで移動した。その時、ツツジさんが「どうでしたか」と唐突に私に尋ねた。
「ここでの生活、やって行けそうですか」
「はい、きっと何とかなると思います。干扇様もお優しい方ですし…………」
「どうしましたか?」
黙った私に、前を見たままツツジさんが問う。一方の私は、頭の中で干扇様のことを思い出していた。
「私の親のように子を捨てる親もあれば、干扇様のように子のために命を削る親もいるんですね」
「……干扇様は、もうあなたの親でもあるのですよ。それが婚姻というものです」
「ふふ、そうですか」
ツツジさんの物言いは淡々としているからか、どこか冷たいように聞こえる。だけど、その実は相手を思いやっている言葉選びをしてくれていると、彼の雰囲気から分かる。
だけど――そんな「どこか優し気」な雰囲気のツツジさんは、私の部屋に着いた途端にガラリと変わった。まずは私を座らせ、次に目の前にツツジさんが座る。え、なに、どういう状況?
「改めまして。私は清冬様の秘書官、ツツジです。末春様よりも一回り年上です、どうぞよろしくお願いいたします」
「ひ、一回り!?」
私と同じくらいの青年かと思いきや、それは検討ハズレもいいところ。ツツジさん、どれだけ童顔なんだろう。
「さて話は変わりまして。今日からあなたは清冬様の奥様です。日登家の嫁は高貴な女性を、と思っていたのですが事情が事情です。仕方ありません」
「ん? なんか失礼な事を言われた気がしたけど……」
「末春様は顔は良いが品行方正がまるでなっていない。先ほども干扇様がお優しいから良かったものの、あんな態度で清冬様の前に出てみてください」
「ど、どうなるんですか?」
「塵になります」
ち、塵!?
ギュッと眉間にシワを寄せたのを見て「それなので」と、ツツジさんは分厚い書を何冊も渡して来た。
「末春様には治癒を行ってもらいつつ、礼儀作法を徹底的に勉強していただきます。いつ清冬様が帰ってこられてもいいように最短で会得していただきますので、そのおつもりで」
「え、でも私は清冬様の代わりに治癒を行うわけですし、清冬様は私に偉ぶる立場にないのでは?」
「清冬様、ではなく〝旦那様〟です。残念ながら清冬様は自尊心が高いので、その辺は諦めてください。あなたが今まで育てていた十人の子供たちの中で間違いなく一番手がかかるので、ご覚悟を」
「清……旦那様は、おいくつなのですか?」
「末春様より五つ上です」
「もう大人じゃないですか!」
それなのに自尊心が高いって。旦那様は予想以上に子供っぽいお人か……。
「屋敷の者には、末春様は高貴な女性として通っています。あなたが掘っ立て小屋の出身だと、絶対にバレないように気を付けてお過ごしください」
「一気に窮屈になってきました……」
この屋敷は驚くほど広々しているけれど、自由には出来ない。しかし〝掘っ立て小屋の方が皆とワイワイ騒げたし楽しかった〟――なんて後悔しても時すでに遅し。その日から毎日、朝から晩までツツジさんからの礼儀作法の勉強があった。生まれて一度も勉強なんてしたことなかったから、文字も読めないし字も書けないことが、まさかこんな形で仇になるとは。
「どこまで出来ないんですか、末春様」と何度も何度もツツジさんから絶望の眼差しを向けられながら、遠隔操作で常に治癒能力を行う毎日。ともすれば発狂しそうな環境下で、それでも私が逃げ出さず耐えてこられたのは、十人の子供たちの存在があったからだ。廊下ですれ違ったり、物陰から覗いたり。目にする度に、目覚ましい成長を遂げている子供たちのおかげで「逃げちゃダメだ、私も頑張ろう」とやる気を貰えた。
ただ、不思議なのが。
「今日は血をもらいますからね」
「はい」
月に一回、私の血を採ってはどこかへ届けているツツジさん。私の血を、いったい何に使っているんだろう。研究かな、それ以外にあり得ないだろうし。
しかし私は忘れていた。干扇様のお言葉を――
――お前さんほどの力があれば、もしや清冬に力を与えられるのでは?
この言葉を思い出すのは、私が嫁いで三年経った日。
悔しくも干扇様のお命が尽きた、ちょうど一か月後に。
「能力が手に入った今、もうお前は必要ない。俺と離縁してもらう」
私は、初めて旦那様とお会いした。