――数日振りに早朝の散歩に繰り出した。
 既に陽はのぼり、街並みは白い。
 谷中方面へと足を延ばし、旧藍染川付近を漂っていると、妙にピリリとした空気に纒わり付かれた。
 こ・れ・も秋――多分秋……私は愛の……。


☆☆


 今日は朝から、大御所(先代社長)御台様(奥方)、それと若の親子三人が不在だ。
 日曜を狙っての「お見合い」が組まれたのだ。
 相手はどの道「良家の子女」に違いない。
 恐らく上手くは運ばないだろう。ご苦労なことだ。


 そんなワケで、邸内には生(ぬる)い空気が充満していた。
 使用人は皆、普段より表情筋が緩んで見える。
 こういう時だよ……事件が起きるのは。
 ラストシーンは多分「東尋坊」だ。
「犯人は××だ!」ってな。





 夕刻、窓からメリーアンが滑り込んで来た。
 黄色い羽をバタつかせる。

「タイサタイヘン! タイサダイヘン!」

 どうしたワト――死んでもワトソンなワケあるか!

「ワトスン!」

 それっぽく言いやがる。なんだそのドヤ顔は。
 てか、私に代返しろと? 学籍も無いのに。

「アウン! アウン!」

 なに?! 「阿吽の呼吸」?(強引)
《互いの「絶妙な」気持ち、調子。また、それがピッタンコ合うこと》
 だな。

 ほけっとした顔をするな。
 似てるけど間違った例も聞いとくか? 仕様がないなー。

「あー……うん」→これは違うな。上の空、或いは渋々。
「あ……うん?」→明らかに違うだろ? 某か思い出した、気付いた?

 そういうコトだ。
 日本語は面白いな、なあ?
 どうだ、メリーアン。

「イエス・マム! イエス・マム!」

 そこは「イエス・サー」でいいよ。


 なんて? 二階で聞いた? 「あうん」を? 
 はて……。

 使用人の××(男)と△△ちゃん(女)が? 大旦那の書斎で? 掃除中に?
 荒い息遣いでコマンドサンボをな……ふうん。


 ――なるほど。そりゃ多分『アフン♥』だな。

 似てるけど違うやつ。「アフン♥の呼吸」か。ウハハ!

「アフン! アフン!」

 これ、大声で連呼しない。その三文字は忘れたまえ。君にはまだ早い(?)。
 二階で目にした行為(チョメチョメ)も忘れろ。長生きしたければな。
 よいか? 返事!!

「……ションボリ・サー」

 なぜショボくれる。

「……ザンネン・サー」

 なんくるないさーみたいに言うな。

 あれだ、子のいる家庭のパパとママは、夜中にプロレスをする習慣があってな……。
 まあ、いずれ詳しく教えてやる。元気出せ。


 ……一緒にピーヒャラでも観るか? 
 日曜だし。ぱっぱぱらぱーって。
 我々はエブリディ日曜だがな。ハハハ!


 あの……「ハマグリさん」も観ていい?
 ちょっと奥さん。
『仰いで唾を吐く』ですって!
《他人に害を与えようとして、逆に自分がひどい目に遭うこと》。

 上を向いて唾を吐くと、自分の顔に落ちてくることから……って、地球なら当たり前だろ? ♪しゃかーりーきニュートン~。
 そんな阿呆な人間がいるのか? 上を向いてぇ?

『オッタマゲ! オッタマゲ!』

 うぐ。血圧赤マル急上昇。胡麻麦茶! 胡麻麦茶を……くっ。


 検索したら、
『仰いで天に()じず』というのもヒットした。
《天を仰ぎ見ても恥ずかしくないほど、心も行いも疚しい所がないこと》。

 高尚な一句だ。
 キタコレ! 私を指す言葉でないか? これにしよかな、私のキャッチコピー。
 ラ●ウの名言に勝てるやも。

 天というのはあれだろ……えと……何て言ったかな、ド忘れ。
 あーあれだ。SO……D……A……? 

ソラ()だ!』
「チホー! チホー!」

 黙れメリージェーン! 

「メリーアン💢 メリーアン💢」

 あ。ごめん。オンマイマーイン……。
 これじゃツノ★ダヒロか。違う? えっ、ツ・ノダヒ……華僑?!

 ……お前のアイデンティティティーを揺るがせてしまった。面目ない。


 ま、まあアレだな、「仰いで」×2ときて、「二階から目薬」を加えたら、どれが一番命中(ヒット)率が高いのだろうな? そういう話じゃない? そ、そうか。

 
 まだ怒ってるのー? 
 確かに、最近少しボケてきたかもしれん。認めたくはないが。
 いうても若と同世代だし。お前の若さがちと羨ましい……。

「クヤシイケ●ド、オマエニムチュウ!」

 そこはヤ●グマンでいいだろうよ。なんでギャラ●ドゥか。
 しかし古い歌を知ってるな。
 メイドの○○ちゃんが? よく歌ってると。ふうん。

「ショーワカヨーダイスキッコ!」
 
 ほう、若いのに。えらい歳上と付き合ってるのかもな。


 ふいにガチャリとドアが開いた。
 顔を覗かせたのは大旦那。

「ここにいたか、メリーアンとウン……」

 大旦那が苦い顔をする。
 旦那はいいよ、それで。素敵な名前をつける分別はあるものな。

「○○ちゃん見なかったかい?」

 世紀末が来そうなモジモジ具合……おしょんしょん?

 思わず、メリーアンと顔を見合わせた。

「ミツメアッテキ●クオフ!」

 よく知ってたな、古い漫画。


 その時――。
 私の脳内でアレが繋がった。

 ニヤケ顔の大旦那に向けて、聖なる心の叫び(?)が迸った。

『アオイデテンニハジズ! アオイデテンニハジズ!』


 大旦那が口を開け、アホ顔になり申したのであるよ。

 ふう~、ソッコーで伏線回収おつ。
 それドコロじゃないかな。
『――アニソンのバラエティー番組を観てましてね。かの、変身時スッポンポンになる女性が主人公の――』

 やや乾燥した秋晴れの午後。
 メリーアンを供連れに(やしき)を抜け出し、とある神社にやって来た。
 銀杏(いちょう)が鬱蒼と茂り、日中でも薄暗い。
 近所の猫が集う、その名に銀杏を冠した(やしろ)

 ここに、「違いの分かる」老猫(おいねこ)がいる。「ろうびょう」でも可。
 オグラ名誉会長――皆から親しみを込めてそう呼ばれる、大柄な黒猫だ。

「ああ、蜂蜜の閃光、てやつかい」

 会長が愉快そうに笑う。

「ハ●ーフラッシュ! ハ●ーフラッシュ!」
『あれ、「お尻の小さな女の子」て歌うでしょ? どういう事です?』
「さて。当時の流行りかどうか……オイラは安産型がいいねぃ」
『私もです』
 
 会長は生粋の江戸っ子だ。
 彼との談笑は、実に心地好い。
 ゴールデンハンマー。意味不。


『もうすぐイチョウも真っ黄っきですな』
「カンガエルナ! カンジロ!」
「そりゃ「アチョー!」だねぃ。李●龍(ブルース●リー)に謝んなメリーアン」
「キキイッパツ!」
「一年は早いねぃ」
『そういえば会長。例の女性は、その後どうなりました?』
「うむ……」


 夏の間、この社でよく逢い引きをしている中年のカップォがいた。
 だが夏も終わりに近付いた頃には、女の方が独りで訪れることが多くなった。

「とりま、不倫だったんだろねぃ」
『ですか』
「ツグナイ! ツグナイ!」

 会長がメリーアンに微笑んだ。

 徐にこちらへと向き直り、

「秋の扇だねぃ」
『秋の扇?』
《男の愛を失った女、の例え。扇は夏に重宝されるが、秋には必要とされなくなることから。→中国の故事》。


『なるほど、深い。さすがMr.宅●便。私はてっきり、事件かと』
「否定できねぃな」

 仄かに、そんな匂いを嗅ぎとったと感じたのだが……。

 私はこれでも、「禁じられたマ●コ」――じゃない、「科●研の女」で学習したつもりだった。
 あの男の顔に浮かんでいた、黒い焦燥の陰……。
 見間違いないではなかった、はず。

 私は思わず鳴いた。

『我々は必ず! ホシを挙げりゅッ!』
「それ違うヤツだねぃ。噛んでるしー」
「ソウサイチカチョー! ソウサイチカチョー!」
『あ! そっち?! チョー恥ずかしー』


 所詮、井戸端会議だ。
 他愛のない妄想で勝手に盛り上がるだけ。

 だが、こんな一時(ひととき)も我々畜生には必要なのだ。
 断じて、好きな時に餌を(ついば)み、喚いているだけの生き物ではない。

「……一年は早いねぃ」

 会長はまた、しみじみ繰り返した。

 そりゃ繰り返すさ。
 多分、大事なコトだ。
 この(やしき)がある池之端は上野のお山下にあたるので、時折ゴリラか森の人か知らんが咆哮が聞こえる。
 不忍池も近いので、ゆりカモメらしき鳴き声も。
 正直、何を訴えているのか甚だ分からん(同し畜生だろ?とは横暴といふものである)ので、気にもしてなかったが……。


 朝の散歩で山裾を飛んでいると、精養軒から漂う芳しい匂いに紛れて、またも某かの獣臭と咆哮が届いた。
 猛獣かな? 誰向けのアピールなのか。
 哀しげな色は無いのに、勝手に切ない心持ちになってしまう。
 自由に外を飛ぶ我が身と囚われの獣たち……。

()き家で声嗄らす』とは思いたくないが――。
《努力しても報われない事のたとえ。空き家で大声あげてもねえ……》。


 なんの!
『秋やで(ミル)マスカラス!』でどうだ! ※1

『千の顔を持つ男!』

 私は心中を振り切るように叫んだ。
 おお、脳内で「スカイ・ハイ」が流れ出したぞ。♪ブローン……。※2

 まさに今、私はスカイ・ハイ。

「ドスカラス! ドスカラス!」

 そりゃ弟だな。
 てかいたの? メリーアン。早起きじゃないか。
 お前、動物園て行ったことある?

「アイウォクダサ……ヒッ!」※3
『wow wow!』

 また古い歌を。つられるじゃないか。

「タイサホウコク!」

 おお、そうか。
 では一休みしよう。


 不忍池畔のガードレールに降り立つ。
 朝陽を反射して水面(みなも)が眩しすぎる。
 目がチカチカするなか、目の前をジョギング男性が黙々と走り抜けた。
 ……ああいうの、何の効果があるのだろうな。
 ジョギングは脳に悪影響――確か、Dr.●松が仰っていたと思うが。


 メリーアンが邸内をうろちょろして集めた情報――。
 大旦那が○○ちゃんと接近したのは、ここ一年ほどらしい。

 ふむ。
 して、その、二人は何処まで……。

「シェイクハンド! PK(ピーケー)!」

 は? 謎なぞか? ちょ、松丸くん呼んで来いっ!

「エ、エト、ジャパニーズ、ズ……フルート……」

 ……わかった、皆まで言うな。生々しいから。遠回し乙。
 お前、勉強(?)したんだな。
 申し訳ない、妙な調査させて。

「ヘイキ・サー!」

 黄色が過ぎてアレだが。
 照れたようにメリーアン赤面(多分)。


 大旦那、未だ枯れず、か。
 だが、「立つんだ! ジョ~!」とはいかないらしい。
 70(歳)近いしな。お盛んなことだが。

 誰それの色恋に興味はない(若を除く)。
 が、複雑な相関図を眺め・妄想するのは、ちよと面白そうだ。

「ワルイカオシテル!」

 ままならぬ老人の性――重いな。

 我々は、まだ自由なハズだ。
 
 ーーーーーー

※1 メキシコ出身の元プロレスラー。人気絶大なマスクマンでした
※2 マスカラスの入場曲。イギリスのバンド『ジグソー』による、同名の映画主題歌……とのこと。
※3 『ZOO』(エコーズ)。
★赤いは酒の咎
(あかいはさけのとが)

《赤い顔は酒のせいで、飲んだ私が悪いのではありません、という酒飲みの言い訳》

(ことわざ辞典ONLINE.より)

ーーーーーー

 おはよう、フェ●プスくん。
 ちょ、タスケテー。
 インコのウ●コをたすけてー。

「……『増税』言ってるのはメガネで、総理が悪いワケじゃねーのにな~」

 夕食後の軽い夕食を(ついば)んでおると、スウェット姿で寝転んでた若が――。
 ブラウン管(正 : 液晶TV)に向かって、聞き捨てならんツッコミを入れたんだよーぅ。

 どゆこと?
 メガネと総理が別人格みたいに聞こえるだろ?
 そうなの? チコちゃん教えてー。ぼーっと生きるのやめるからー。

「メガネが勝手に言ってるだけで、掛けてる岸●クンに責は無い」とな?
 酔っぱらいの戯言(たわごと)じゃん……。
 万事これで済ませる気かよ、ニッポン。

「ジャパーン! ジャパーン!」

 ちよと違うぞメリーアン。てか、いたの?
 正しくは「ジャぴゃ~ン」だ。Say!

「ジ……ジャピャー! ジャピャー!」

 ……うん。すまん。エキゾチックでゴメンな(?)。

 なんか――他人事(ひとごと)なんだよな、エロエロ。
 メガネはどっちへ向かっているのやら……。

「ウシロカラマエカラドーゾ!」
「そんなんどこで仕入れたメリーアン?!」

 口調とは裏腹に、ニヤける若。
 ……(やしき)の人間だよ、そりゃ。
 コイツはどんどん耳年増になってくなあ。

「タイサノオカゲDeath!」
「おいウ●コ!」
『ハットシテグーッ?!』

 フザケンナ!
 貴っ様ぁ~、一所懸命指導しとる師匠を貶めるかー。
 そんな弟子はこっちからバイバイ哀●でいとだゾ♥

 あ、コラ、勝手に食うなよ。
 そりゃ私の夕食後の軽い夕食だ。

「美味いか? メリーアン」
「スポーツマンシップニモッコリ!」
「?? わざわざ茨城から取り寄せたんだぜ~」

 ドヤ顔の若。
 金杯(中山競馬)当たったんだと。
 お年玉のつもりらしいぜ。

「……あ、あのさ」
『ナンダバカ』
「ナンダバカー」
「『(ワカ)』だろっ?! ……『キシダ』と『キッシンジャー』って似てね?」※1

 なんねイキナリ。
 そも似てねーし。名前も功績も(知らんケド)。
 あ、エジソンが偉い人なのは知ってるぞ。
 
『サンジュースギタドーテイガ!』
「マホーショウジョニナッチマエ!」
「お前ら……」

 プルプル震えながら、若がシード(餌)を摘まんで食っちまった。
 おいおい。
 そりゃ「鳩の食べるもの~」ってセイン・カ●ュが歌ってたぞ。※2

「美味し!」

 破顔一笑、勢い冷蔵庫からビールを取り出した。
 ちょ……酒の肴にすんの? マジ?
 何処に行こうとしてるんだ、若……。

「♪ウシロカラマエカラ――」

 メリーアンのご陽気な歌声を聴きながら――。
 私は、英語を習うと決・め・た(嘘)。※3

ーーーーーー

※1   故ヘンリー・キッシンジャー。米国の元国務長官。
※2・3 『ハトマメ~Say hello to the world.~』(Students)より
★空樽は音が高い
(あきだるはおとがたかい)

《中身のない人間ほど得意そうにしゃべりたてるというたとえ。空の樽は叩くと高い音が出ることから。》

(ことわざ辞典ONLINE.より)

ーーーーーー

 ↑貴様のことだ・よーん。
 あいや、これ読んでる貴女のことではないよ?
 ………………。

『ダイスキダーキダ●ローッ!』

 失礼。ちよと取り乱した。
「キダ」がくどかったね♥



 ……さて。
 こないだ面接に行ったのだよ。きゃるーん。

 ――バイトですかって?
 そう、バイトだ。だがツッ込むのはそこじゃないダロ。

「某センター間で食料を配送する」っていうやつ。軽自動車で。
 ――どうした少女B。あれ? 学校は……まあいいか。

 免許持ってるのって? あるぞ。流行りのAT限定だがな(嘘)。
(AT限定ってナニ? 何かな?)

 履歴書不要とあったから、直で行ったさ。
 面接官の兄やんがなあ……。
「ウ●コは採用しませーん」だと。

 違くね?
「インコは採用しませーん」だろ、正しくは。
 それなら渋々納得するさ。
 ウ●コは、って……私も鶏冠(トサカ)にキテな。(にわとり)じゃナイけどな(笑)
 思わず、傍にあった指サックに(くちばし)突っ込んで、ヤツの頭をツツいてやったさ。
 優しいだろ? 生でイったら血(まみ)れだからな。

 イイ音がした。紺紺紺って。与●(よさく)は木ぃ~を切るぅ~だ。※1

『ぃ与●ぅ~与ぉ~さぁ~くぅぅう~』
「ヘイヘイホー! トントントンー!」

 邪魔するなメリーアン。禁・エンドレス。
 大谷か?! → すりゃドジャース!
 ツッ込みがおかしい? そう……。

 ああ、紹介しよう少女Bよ。
 コイツは私の部下でメリーアン。「坂崎(さかざき)」と呼ばれている。
 ちょ、突っつくな! 何が不満か!
 
 この()は少女B。(ゆえ)あって本名は伏せる。
 大きな声では言えぬが……二軒隣の島津さん()のご令嬢だ。
 詳細はアレだ、ちよとな……高校2年生……パンケーキ食べたい……ウィスキーがお好きでしょ?……の「闘女(きゅあ)」ちゃんだ。
 島津闘女ちゃん。ヤバい。

「キラキラネーム! キラキラネイム……」

 そうそう。ほんに頭悪そうな名前で――
 あ(いた)! ナニをする少女Bっ!
 え? 台無し? 個人情報ダダ漏れ? ………………そ・こ?

 すまぬ。配慮がアレだった。
 あの……頭、ツツいてみてもいい?
 ダメ? いい音しそうだから――

「アキダルハオガタケン!」

 惜しい。い~い役者だった……。
 ふ。少女Bは知らんだろうなー。

 え?
『復讐するは(チョメ)にあり』? なにそれ。映画? ※2
 DVDで観たの? ふうん………………誰が出演()てた?
 あ(イテ)! ナニをする少女Bっ!(二回目)
 我の頭を突っつくな!

 ……絶対いい音がするから?

「ワレハイイオトスルー! スッゲ・イイオトスルー!」

 少女Bよ。
 世の中に「絶対」は無いのだ。
 覚えておくがいい。
 忘れてもいいけどー。
 
ーーーーーー

※1 『与作』(北島三郎)より
※2 『復讐するは我にあり』今村昌平監督(1979年松竹)。
  原作は佐木隆三氏(第74回直木賞)。
★商いは牛の涎(あきないはうしのよだれ)

《商売のこつは、牛のよだれのように細く長く切れ目なく、気長に辛抱して続けることだということ。》

(ことわざ辞典ONLINE.より)


☆本日も、ウ●コ(『 』)、少女B&メリーアン(「 」)でお送りいたします。

ーーーーーー

 ウ●コです……右クリックでダウンローロ(ダウンロード)出来ません。
 ウ●コです……パプリカだと思って(ついば)んだら、赤い輪ゴムだったとです。
 ウ●コです……ウ●コです………………ウ●コです……。

 どうだ皆の衆。目がチカチカする? うむぅ。
「あの歌」がふっつーに流れてくるだろう?
 ケヴオレ クエスタ ム~ズィカ……  ※1

 こないだ笑()出てた。息が長いなヒ●シ。たいしたもんだ。
 ワン・パターンとしても、続けることは尊いんだな。

 細く長く続けていること――はい、小遊三さん! 

「ラジオタイソウ! ダイニノホウ!」

 健康的じゃないかメリー(坂崎)アン。
 第2……うん、第2な。

 はい、少女B!

「えーナンだろ……お●に?」

 却下――却下だ・よ。座布団全剥がしだよ。ふー……。
 お子さまも見てるんだぞ(イヤないな)。
 細く長く続けてます、て……日課?
 息を吸うように(いそ)しんでますぅ?
 ……なんか部活でもした方がよくね? インコとダベってないでさ。
 ♪ 発散しようよ~whm……。※2
 

 なあ……中に入らんか?
 日も傾いてきたし、寒くてかなわん。

「家の鍵、失くしちゃってさー」
「(鍵の)キューキューシャヨベ!」
「マミーが帰ってくるの待ってんだよーん」

 ご母堂は……歌舞伎座? 初春大歌舞伎か。
 好っきやのー。マミーは誰推しなんだい。
 七●助? ははあ……そっちか(意味深?)。

「大佐は? なんかねーの? 長いのに巻かれてる系(?)」
「ショクシュ! エロイヤツ!」
「坂崎ウケるw」
『ダイアリー! ダイアリー!』
「まじか。やるじゃん、ウ●コのくせに」

 私をそこいらのウ●コ(死に体)と一緒にするな。
 なにせ、タブレットに打ち込んでいるからな。
 日々の雑感というヤツだ。

 ん? いや待てウェイウェイウェイ。時間差でアレだが。
 闘女(きゅあ)ちゃんの言だと――
「大佐」が名前で、「ウ●コ」が種別(生物?の)に聞こえないか?
「ウ●コ」が名前で、「インコ」が種別だからな。気を付けてくれよ。


「今度ダイアリー見せて♥」

 見せたらダメだろ。日記だぞ?

「ノ●マにアップしようぜ!」

 む。ウェブ作家デビュー…………か?
 いやしかしR指定になちゃうしなー。

『ボクノ×××(チョメ)ガアリマセン!』
「あ、知ってる知ってる! あれでしょ? いろは四十八組!」
ヒ●シ(火消し)デス……』
「そのまんま!」
ヒ●シ()デス……』
「ウケるww ――あ! マミー帰ってきた!」

 投げっ放しか。
 マミーに駆け寄る闘女ちゃん。現代の鍵っ子。
「鍵を失くした鍵っ子」とはこれ如何に。

 →「っ子」でオケ?

 新語誕生だな。
 日記に書いておこう。
 
ーーーーーー

※1 『ガラスの部屋』(ペピーノ・ガリアルディ)。
※2 吉●拓郎さん風にどうぞ(知らんけど)
★秋葉山から火事(あきばさんからかじ)

《人を戒める指導的立場の者が、自ら過ちを犯してしまうたとえ。「秋葉山」は火災除けの神を祭る静岡県の秋葉神社のこと》


(ことわざ辞典ONLINE.より)

ーーーーー

 ウ●コがあればなんでも出来る――。

『迷わず行けヨッ!』

 アントキのイ●キも言うてたやんかー、なー?
 百聞は一見に如かずじゃ。のう、文科大臣。……辞めないの?
 あの西郷どんみたいな盟友はどうした? 大~蔵大臣だっけ?

「ダイ●ジン! ダイマジン!」

 どーしたメリーアン、そんな興奮して。
 はっきりダイマジン言うとるでしかし。

 ●●チャンネルでやるって? 今日? 何時から?
 ……仕様がないな。じゃ、予約しといたろかー。

「タイサモイッショ!」

 な、そ、そうか? 我、忙しいのじゃが……忙しいのじゃが仕方ないなメリーアン、won't you stay for meか? ※1
 ……時間まで漫画読んでてもいーい?
 エロいやつ。



 若がDL(ダウンロード)したコレ(漫画)、全っっ然エロくないな。
 なんじゃこら。いっこも脱がんがな。

「チロルチョコ!」

「チラリズム」か? 難しい言葉を知ってるじゃないか。言えてないけど。

 ……しっかし焦れったい話だのー。95%読んだのに(※電子書籍)、一向にくっつかんぞ、このアベック(死語)。待て次号か? 
 ん? なんだメリーアン。

「2ページ後、彼女事故で死ぬよ」

 なんッ?! 

『こら坂崎!』
「メリーアン💢」

 ここでネタバレかよっ?!
 貴っっ様ぁ~、妙にシリアルな声でぇ~。

「シリアス!」

 わかっとるわ! 
 よいかメリーアン。ネタバレはご法度だ。
 人によっては血のカーニバルになる。捜査本部起ち上げるかもしれんし、特捜が動き出すかもしれん。
 なによりアレだ…………友だち失くすゾ(小声)。
 ゾッ・ぞぉお。※2

 うむ、分かってくれるか。
 涙をお拭き……涙それで終わり? それマジ涙? ホンマかぁ?

 よしよし、じゃダイ●ジン観ようか。楽しみにしてたんだもんな。


 ……なんか、懐かしい感じの映像だな。東野英治郎の水戸黄門観てるような。※3
 お前、これ初見か。じゃ水戸黄門は? 里見(浩太朗)版を見た?
 あーあの人な。助さんも格さんもやったから、ごっちゃになるんだよな。※4
 
 ……なかなか出てこんな、大●人。

「大魔人!」

 分かってる。漢字で吠えるなよ。伏せ字の意味がないだろ。
 あ…………えーと、7分後だな。

「?」

 いや。7分後に登場して、こーやって腕をクロスしてさ、マジ激オコぷんぷん丸だよ! で大暴れ(笑)

「×××××!!」

 痛て! 痛てて?! これ、落ち着けメリーアン!

「ネタバレゴハット(ご法度)! ネタバレゴハット!!」

 す、すまん、我慢できんくて……笑って許して?

「トモダチナクセッッ!」

 ――堪忍してくだちぃ(涙)。


 ーーーーー

※1 『メリーアン』(THE ALFEE)より。
※2 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)における、嘗てのパーソナリティ・笑福亭鶴光のお約束のひと言。
※3 テレビ版『水戸黄門』(TBS)の初代・御老公。
※4 テレビ版で御老公・助さん、映画版で格さん役を。
★敢えて主とならず客となる(あえてしゅとならずきゃくとなる)

《自分が中心にならずに受身でいるほうが無難だということ》


(ことわざ辞典ONLINE.より)

ーーーーー

 花金(ハナキン)(花の金曜日――文句ある?)、深夜のブラウン管(令和は液晶画面)が、バカ笑いのみ虚しく木霊(こだま)するバラエティ番組に切り替わった途端、イラッとして音量めっちゃ下げた。

「……腹減ったな」

 TV音声は殆ど聞こえなくなり。
 床に寝そべる若が代わりに呟いた。

 ひと昔前ならカップ麺、てとこだが。
 中年に差し掛かった若の胃腸は、果たして耐え()るのか。

『ク●クパッドでケンサク!』
「えー……作んのめんどい。なんかサラッとしたヤツが……」

 仕様がないな。

 私はちょいと羽ばたき、マイ・コレクションから「アレ」を咥えて戻ると、若の眉間に突き刺した。

「死ぐっ! お? おー、噂の『マジやばたにえん』!」
『…………』
「あ、あれ?」

 涙の止め方忘れたの?
 これは「お茶漬けの素」だよ。永●園謹製……あ?!

「ウ●コ、なんで持ってんの? お前これ食えないだろ?」

 その通り。塩分がなー。医者が五月蝿くてよー。
「毎朝血圧測れ」ってめんどいよー。

 この茶漬け、中にカードが入ってるだろ。そっちがメインだ。
 ほら、コレ。

「へー、今はこんなん付いてくるのか。浮世絵カード……『東海道48(フォーティーエイト)』だっけ?」
ゴジュウサンツギ(五拾三次)!』

 ご当地アイドルみたく言うなよ。

「茶漬け、食っていいの?」
『ドンナルンマ!』※1
「『遠慮すんな』って? (かたじけな)し! よっしゃ、ちょっと食堂(した)で冷や飯漁ってくるよ」

☆☆

 丼に控え目な飯を盛って、若が戻って来た。

「さ。遠慮は無用だ。俺のために作ってくれ、ウ●コ!」
『ウ●コヲツクレト?!』

 言うなり若が寝転んだ。


 ナニしよん? 茶漬けを進呈したの(ワレ)ぞ?
 それぶっかけて湯を注ぐだけだろが。
 インコに出来るかっちゅう話だよ。


『アカンタレ!』※2
「あかんたれ?」
『ヘンジモセズニ ワンタンメン!』※3
「意味分からん」


 仕方ない。
 私も真似して横になった。
 右に左にゴロゴロして、時折受け身をとってみる。
 柔道? ハハハ。


 若は仰向けで、じっとカードを眺めている。
 早よ湯を注げや。


 ああ、敬愛する広重様。
 何年費やすか知らんけど――このカードをコンプリート出来たなら、もういつ死んでも憂いはないでござるよ。
 例えその所為で、家中()がお茶漬けのパックで埋め尽くされたとしても……。


 ふと。
 カードをひっくり返して凝視していた若が、パッケージを指差して言った。

「ここの応募マーク三枚集めて送ると、『カードフルセット』プレゼント! だと」
『………………?』
「毎月千名様に! 抽選だけど、すぐ当たりそうじゃん?」

 え――オレもう死ぬ?

ーーーーー

※1 ジャンルイジ・ドンナルンマ。イタリアの人。
  仏のプロサッカー『リーグ・アン』の『パリ・サンジェルマン』ちゅうチームに所属する選手。ポジションは「キーパー」。

※2 『あかんたれ』(1976年)。東海テレビ制作の昼ドラ。

※3 同主題歌(鶴岡雅義と東京ロマンチカ)の歌詞より。
  こういう切り取り方すると意味不明ですが。割りと辛気くさい歌詞とも言えます。

枯れて候ふ

を読み込んでいます