――数日振りに早朝の散歩に繰り出した。
既に陽はのぼり、街並みは白い。
谷中方面へと足を延ばし、旧藍染川付近を漂っていると、妙にピリリとした空気に纒わり付かれた。
こ・れ・も秋――多分秋……私は愛の……。
☆☆
今日は朝から、大御所と御台様、それと若の親子三人が不在だ。
日曜を狙っての「お見合い」が組まれたのだ。
相手はどの道「良家の子女」に違いない。
恐らく上手くは運ばないだろう。ご苦労なことだ。
そんなワケで、邸内には生温い空気が充満していた。
使用人は皆、普段より表情筋が緩んで見える。
こういう時だよ……事件が起きるのは。
ラストシーンは多分「東尋坊」だ。
「犯人は××だ!」ってな。
☆
夕刻、窓からメリーアンが滑り込んで来た。
黄色い羽をバタつかせる。
「タイサタイヘン! タイサダイヘン!」
どうしたワト――死んでもワトソンなワケあるか!
「ワトスン!」
それっぽく言いやがる。なんだそのドヤ顔は。
てか、私に代返しろと? 学籍も無いのに。
「アウン! アウン!」
なに?! 「阿吽の呼吸」?(強引)
《互いの「絶妙な」気持ち、調子。また、それがピッタンコ合うこと》
だな。
ほけっとした顔をするな。
似てるけど間違った例も聞いとくか? 仕様がないなー。
「あー……うん」→これは違うな。上の空、或いは渋々。
「あ……うん?」→明らかに違うだろ? 某か思い出した、気付いた?
そういうコトだ。
日本語は面白いな、なあ?
どうだ、メリーアン。
「イエス・マム! イエス・マム!」
そこは「イエス・サー」でいいよ。
なんて? 二階で聞いた? 「あうん」を?
はて……。
使用人の××(男)と△△ちゃん(女)が? 大旦那の書斎で? 掃除中に?
荒い息遣いでコマンドサンボをな……ふうん。
――なるほど。そりゃ多分『アフン♥』だな。
似てるけど違うやつ。「アフン♥の呼吸」か。ウハハ!
「アフン! アフン!」
これ、大声で連呼しない。その三文字は忘れたまえ。君にはまだ早い(?)。
二階で目にした行為も忘れろ。長生きしたければな。
よいか? 返事!!
「……ションボリ・サー」
なぜショボくれる。
「……ザンネン・サー」
なんくるないさーみたいに言うな。
あれだ、子のいる家庭のパパとママは、夜中にプロレスをする習慣があってな……。
まあ、いずれ詳しく教えてやる。元気出せ。
……一緒にピーヒャラでも観るか?
日曜だし。ぱっぱぱらぱーって。
我々はエブリディ日曜だがな。ハハハ!
あの……「ハマグリさん」も観ていい?
ちょっと奥さん。
『仰いで唾を吐く』ですって!
《他人に害を与えようとして、逆に自分がひどい目に遭うこと》。
上を向いて唾を吐くと、自分の顔に落ちてくることから……って、地球なら当たり前だろ? ♪しゃかーりーきニュートン~。
そんな阿呆な人間がいるのか? 上を向いてぇ?
『オッタマゲ! オッタマゲ!』
うぐ。血圧赤マル急上昇。胡麻麦茶! 胡麻麦茶を……くっ。
検索したら、
『仰いで天に愧じず』というのもヒットした。
《天を仰ぎ見ても恥ずかしくないほど、心も行いも疚しい所がないこと》。
高尚な一句だ。
キタコレ! 私を指す言葉でないか? これにしよかな、私のキャッチコピー。
ラ●ウの名言に勝てるやも。
天というのはあれだろ……えと……何て言ったかな、ド忘れ。
あーあれだ。SO……D……A……?
『ソラだ!』
「チホー! チホー!」
黙れメリージェーン!
「メリーアン💢 メリーアン💢」
あ。ごめん。オンマイマーイン……。
これじゃツノ★ダヒロか。違う? えっ、ツ・ノダヒ……華僑?!
……お前のアイデンティティティーを揺るがせてしまった。面目ない。
ま、まあアレだな、「仰いで」×2ときて、「二階から目薬」を加えたら、どれが一番命中率が高いのだろうな? そういう話じゃない? そ、そうか。
まだ怒ってるのー?
確かに、最近少しボケてきたかもしれん。認めたくはないが。
いうても若と同世代だし。お前の若さがちと羨ましい……。
「クヤシイケ●ド、オマエニムチュウ!」
そこはヤ●グマンでいいだろうよ。なんでギャラ●ドゥか。
しかし古い歌を知ってるな。
メイドの○○ちゃんが? よく歌ってると。ふうん。
「ショーワカヨーダイスキッコ!」
ほう、若いのに。えらい歳上と付き合ってるのかもな。
ふいにガチャリとドアが開いた。
顔を覗かせたのは大旦那。
「ここにいたか、メリーアンとウン……」
大旦那が苦い顔をする。
旦那はいいよ、それで。素敵な名前をつける分別はあるものな。
「○○ちゃん見なかったかい?」
世紀末が来そうなモジモジ具合……おしょんしょん?
思わず、メリーアンと顔を見合わせた。
「ミツメアッテキ●クオフ!」
よく知ってたな、古い漫画。
その時――。
私の脳内でアレが繋がった。
ニヤケ顔の大旦那に向けて、聖なる心の叫び(?)が迸った。
『アオイデテンニハジズ! アオイデテンニハジズ!』
大旦那が口を開け、アホ顔になり申したのであるよ。
ふう~、ソッコーで伏線回収おつ。
それドコロじゃないかな。
『――アニソンのバラエティー番組を観てましてね。かの、変身時スッポンポンになる女性が主人公の――』
やや乾燥した秋晴れの午後。
メリーアンを供連れに邸を抜け出し、とある神社にやって来た。
銀杏が鬱蒼と茂り、日中でも薄暗い。
近所の猫が集う、その名に銀杏を冠した社。
ここに、「違いの分かる」老猫がいる。「ろうびょう」でも可。
オグラ名誉会長――皆から親しみを込めてそう呼ばれる、大柄な黒猫だ。
「ああ、蜂蜜の閃光、てやつかい」
会長が愉快そうに笑う。
「ハ●ーフラッシュ! ハ●ーフラッシュ!」
『あれ、「お尻の小さな女の子」て歌うでしょ? どういう事です?』
「さて。当時の流行りかどうか……オイラは安産型がいいねぃ」
『私もです』
会長は生粋の江戸っ子だ。
彼との談笑は、実に心地好い。
ゴールデンハンマー。意味不。
『もうすぐイチョウも真っ黄っきですな』
「カンガエルナ! カンジロ!」
「そりゃ「アチョー!」だねぃ。李●龍に謝んなメリーアン」
「キキイッパツ!」
「一年は早いねぃ」
『そういえば会長。例の女性は、その後どうなりました?』
「うむ……」
夏の間、この社でよく逢い引きをしている中年のカップォがいた。
だが夏も終わりに近付いた頃には、女の方が独りで訪れることが多くなった。
「とりま、不倫だったんだろねぃ」
『ですか』
「ツグナイ! ツグナイ!」
会長がメリーアンに微笑んだ。
徐にこちらへと向き直り、
「秋の扇だねぃ」
『秋の扇?』
《男の愛を失った女、の例え。扇は夏に重宝されるが、秋には必要とされなくなることから。→中国の故事》。
『なるほど、深い。さすがMr.宅●便。私はてっきり、事件かと』
「否定できねぃな」
仄かに、そんな匂いを嗅ぎとったと感じたのだが……。
私はこれでも、「禁じられたマ●コ」――じゃない、「科●研の女」で学習したつもりだった。
あの男の顔に浮かんでいた、黒い焦燥の陰……。
見間違いないではなかった、はず。
私は思わず鳴いた。
『我々は必ず! ホシを挙げりゅッ!』
「それ違うヤツだねぃ。噛んでるしー」
「ソウサイチカチョー! ソウサイチカチョー!」
『あ! そっち?! チョー恥ずかしー』
所詮、井戸端会議だ。
他愛のない妄想で勝手に盛り上がるだけ。
だが、こんな一時も我々畜生には必要なのだ。
断じて、好きな時に餌を啄み、喚いているだけの生き物ではない。
「……一年は早いねぃ」
会長はまた、しみじみ繰り返した。
そりゃ繰り返すさ。
多分、大事なコトだ。
この邸がある池之端は上野のお山下にあたるので、時折ゴリラか森の人か知らんが咆哮が聞こえる。
不忍池も近いので、ゆりカモメらしき鳴き声も。
正直、何を訴えているのか甚だ分からん(同し畜生だろ?とは横暴といふものである)ので、気にもしてなかったが……。
朝の散歩で山裾を飛んでいると、精養軒から漂う芳しい匂いに紛れて、またも某かの獣臭と咆哮が届いた。
猛獣かな? 誰向けのアピールなのか。
哀しげな色は無いのに、勝手に切ない心持ちになってしまう。
自由に外を飛ぶ我が身と囚われの獣たち……。
『空き家で声嗄らす』とは思いたくないが――。
《努力しても報われない事のたとえ。空き家で大声あげてもねえ……》。
なんの!
『秋やで(ミル)マスカラス!』でどうだ! ※1
『千の顔を持つ男!』
私は心中を振り切るように叫んだ。
おお、脳内で「スカイ・ハイ」が流れ出したぞ。♪ブローン……。※2
まさに今、私はスカイ・ハイ。
「ドスカラス! ドスカラス!」
そりゃ弟だな。
てかいたの? メリーアン。早起きじゃないか。
お前、動物園て行ったことある?
「アイウォクダサ……ヒッ!」※3
『wow wow!』
また古い歌を。つられるじゃないか。
「タイサホウコク!」
おお、そうか。
では一休みしよう。
不忍池畔のガードレールに降り立つ。
朝陽を反射して水面が眩しすぎる。
目がチカチカするなか、目の前をジョギング男性が黙々と走り抜けた。
……ああいうの、何の効果があるのだろうな。
ジョギングは脳に悪影響――確か、Dr.●松が仰っていたと思うが。
メリーアンが邸内をうろちょろして集めた情報――。
大旦那が○○ちゃんと接近したのは、ここ一年ほどらしい。
ふむ。
して、その、二人は何処まで……。
「シェイクハンド! PK!」
は? 謎なぞか? ちょ、松丸くん呼んで来いっ!
「エ、エト、ジャパニーズ、ズ……フルート……」
……わかった、皆まで言うな。生々しいから。遠回し乙。
お前、勉強(?)したんだな。
申し訳ない、妙な調査させて。
「ヘイキ・サー!」
黄色が過ぎてアレだが。
照れたようにメリーアン赤面(多分)。
大旦那、未だ枯れず、か。
だが、「立つんだ! ジョ~!」とはいかないらしい。
70(歳)近いしな。お盛んなことだが。
誰それの色恋に興味はない(若を除く)。
が、複雑な相関図を眺め・妄想するのは、ちよと面白そうだ。
「ワルイカオシテル!」
ままならぬ老人の性――重いな。
我々は、まだ自由なハズだ。
ーーーーーー
※1 メキシコ出身の元プロレスラー。人気絶大なマスクマンでした
※2 マスカラスの入場曲。イギリスのバンド『ジグソー』による、同名の映画主題歌……とのこと。
※3 『ZOO』(エコーズ)。
★赤いは酒の咎
(あかいはさけのとが)
《赤い顔は酒のせいで、飲んだ私が悪いのではありません、という酒飲みの言い訳》
(ことわざ辞典ONLINE.より)
ーーーーーー
おはよう、フェ●プスくん。
ちょ、タスケテー。
インコのウ●コをたすけてー。
「……『増税』言ってるのはメガネで、総理が悪いワケじゃねーのにな~」
夕食後の軽い夕食を啄んでおると、スウェット姿で寝転んでた若が――。
ブラウン管(正 : 液晶TV)に向かって、聞き捨てならんツッコミを入れたんだよーぅ。
どゆこと?
メガネと総理が別人格みたいに聞こえるだろ?
そうなの? チコちゃん教えてー。ぼーっと生きるのやめるからー。
「メガネが勝手に言ってるだけで、掛けてる岸●クンに責は無い」とな?
酔っぱらいの戯言じゃん……。
万事これで済ませる気かよ、ニッポン。
「ジャパーン! ジャパーン!」
ちよと違うぞメリーアン。てか、いたの?
正しくは「ジャぴゃ~ン」だ。Say!
「ジ……ジャピャー! ジャピャー!」
……うん。すまん。エキゾチックでゴメンな(?)。
なんか――他人事なんだよな、エロエロ。
メガネはどっちへ向かっているのやら……。
「ウシロカラマエカラドーゾ!」
「そんなんどこで仕入れたメリーアン?!」
口調とは裏腹に、ニヤける若。
……邸の人間だよ、そりゃ。
コイツはどんどん耳年増になってくなあ。
「タイサノオカゲDeath!」
「おいウ●コ!」
『ハットシテグーッ?!』
フザケンナ!
貴っ様ぁ~、一所懸命指導しとる師匠を貶めるかー。
そんな弟子はこっちからバイバイ哀●でいとだゾ♥
あ、コラ、勝手に食うなよ。
そりゃ私の夕食後の軽い夕食だ。
「美味いか? メリーアン」
「スポーツマンシップニモッコリ!」
「?? わざわざ茨城から取り寄せたんだぜ~」
ドヤ顔の若。
金杯(中山競馬)当たったんだと。
お年玉のつもりらしいぜ。
「……あ、あのさ」
『ナンダバカ』
「ナンダバカー」
「『若』だろっ?! ……『キシダ』と『キッシンジャー』って似てね?」※1
なんねイキナリ。
そも似てねーし。名前も功績も(知らんケド)。
あ、エジソンが偉い人なのは知ってるぞ。
『サンジュースギタドーテイガ!』
「マホーショウジョニナッチマエ!」
「お前ら……」
プルプル震えながら、若がシード(餌)を摘まんで食っちまった。
おいおい。
そりゃ「鳩の食べるもの~」ってセイン・カ●ュが歌ってたぞ。※2
「美味し!」
破顔一笑、勢い冷蔵庫からビールを取り出した。
ちょ……酒の肴にすんの? マジ?
何処に行こうとしてるんだ、若……。
「♪ウシロカラマエカラ――」
メリーアンのご陽気な歌声を聴きながら――。
私は、英語を習うと決・め・た(嘘)。※3
ーーーーーー
※1 故ヘンリー・キッシンジャー。米国の元国務長官。
※2・3 『ハトマメ~Say hello to the world.~』(Students)より
★空樽は音が高い
(あきだるはおとがたかい)
《中身のない人間ほど得意そうにしゃべりたてるというたとえ。空の樽は叩くと高い音が出ることから。》
(ことわざ辞典ONLINE.より)
ーーーーーー
↑貴様のことだ・よーん。
あいや、これ読んでる貴女のことではないよ?
………………。
『ダイスキダーキダ●ローッ!』
失礼。ちよと取り乱した。
「キダ」がくどかったね♥
……さて。
こないだ面接に行ったのだよ。きゃるーん。
――バイトですかって?
そう、バイトだ。だがツッ込むのはそこじゃないダロ。
「某センター間で食料を配送する」っていうやつ。軽自動車で。
――どうした少女B。あれ? 学校は……まあいいか。
免許持ってるのって? あるぞ。流行りのAT限定だがな(嘘)。
(AT限定ってナニ? 何かな?)
履歴書不要とあったから、直で行ったさ。
面接官の兄やんがなあ……。
「ウ●コは採用しませーん」だと。
違くね?
「インコは採用しませーん」だろ、正しくは。
それなら渋々納得するさ。
ウ●コは、って……私も鶏冠にキテな。鶏じゃナイけどな(笑)
思わず、傍にあった指サックに嘴突っ込んで、ヤツの頭をツツいてやったさ。
優しいだろ? 生でイったら血塗れだからな。
イイ音がした。紺紺紺って。与●は木ぃ~を切るぅ~だ。※1
『ぃ与●ぅ~与ぉ~さぁ~くぅぅう~』
「ヘイヘイホー! トントントンー!」
邪魔するなメリーアン。禁・エンドレス。
大谷か?! → すりゃドジャース!
ツッ込みがおかしい? そう……。
ああ、紹介しよう少女Bよ。
コイツは私の部下でメリーアン。「坂崎」と呼ばれている。
ちょ、突っつくな! 何が不満か!
この娘は少女B。故あって本名は伏せる。
大きな声では言えぬが……二軒隣の島津さん家のご令嬢だ。
詳細はアレだ、ちよとな……高校2年生……パンケーキ食べたい……ウィスキーがお好きでしょ?……の「闘女」ちゃんだ。
島津闘女ちゃん。ヤバい。
「キラキラネーム! キラキラネイム……」
そうそう。ほんに頭悪そうな名前で――
あ痛! ナニをする少女Bっ!
え? 台無し? 個人情報ダダ漏れ? ………………そ・こ?
すまぬ。配慮がアレだった。
あの……頭、ツツいてみてもいい?
ダメ? いい音しそうだから――
「アキダルハオガタケン!」
惜しい。い~い役者だった……。
ふ。少女Bは知らんだろうなー。
え?
『復讐するは●にあり』? なにそれ。映画? ※2
DVDで観たの? ふうん………………誰が出演てた?
あ痛! ナニをする少女Bっ!(二回目)
我の頭を突っつくな!
……絶対いい音がするから?
「ワレハイイオトスルー! スッゲ・イイオトスルー!」
少女Bよ。
世の中に「絶対」は無いのだ。
覚えておくがいい。
忘れてもいいけどー。
ーーーーーー
※1 『与作』(北島三郎)より
※2 『復讐するは我にあり』今村昌平監督(1979年松竹)。
原作は佐木隆三氏(第74回直木賞)。
★商いは牛の涎(あきないはうしのよだれ)
《商売のこつは、牛のよだれのように細く長く切れ目なく、気長に辛抱して続けることだということ。》
(ことわざ辞典ONLINE.より)
☆本日も、ウ●コ(『 』)、少女B&メリーアン(「 」)でお送りいたします。
ーーーーーー
ウ●コです……右クリックでダウンローロ出来ません。
ウ●コです……パプリカだと思って啄んだら、赤い輪ゴムだったとです。
ウ●コです……ウ●コです………………ウ●コです……。
どうだ皆の衆。目がチカチカする? うむぅ。
「あの歌」がふっつーに流れてくるだろう?
ケヴオレ クエスタ ム~ズィカ…… ※1
こないだ笑●出てた。息が長いなヒ●シ。たいしたもんだ。
ワン・パターンとしても、続けることは尊いんだな。
細く長く続けていること――はい、小遊三さん!
「ラジオタイソウ! ダイニノホウ!」
健康的じゃないかメリーアン。
第2……うん、第2な。
はい、少女B!
「えーナンだろ……お●に?」
却下――却下だ・よ。座布団全剥がしだよ。ふー……。
お子さまも見てるんだぞ(イヤないな)。
細く長く続けてます、て……日課?
息を吸うように勤しんでますぅ?
……なんか部活でもした方がよくね? インコとダベってないでさ。
♪ 発散しようよ~whm……。※2
なあ……中に入らんか?
日も傾いてきたし、寒くてかなわん。
「家の鍵、失くしちゃってさー」
「(鍵の)キューキューシャヨベ!」
「マミーが帰ってくるの待ってんだよーん」
ご母堂は……歌舞伎座? 初春大歌舞伎か。
好っきやのー。マミーは誰推しなんだい。
七●助? ははあ……そっちか(意味深?)。
「大佐は? なんかねーの? 長いのに巻かれてる系(?)」
「ショクシュ! エロイヤツ!」
「坂崎ウケるw」
『ダイアリー! ダイアリー!』
「まじか。やるじゃん、ウ●コのくせに」
私をそこいらのウ●コ(死に体)と一緒にするな。
なにせ、タブレットに打ち込んでいるからな。
日々の雑感というヤツだ。
ん? いや待てウェイウェイウェイ。時間差でアレだが。
闘女ちゃんの言だと――
「大佐」が名前で、「ウ●コ」が種別(生物?の)に聞こえないか?
「ウ●コ」が名前で、「インコ」が種別だからな。気を付けてくれよ。
「今度ダイアリー見せて♥」
見せたらダメだろ。日記だぞ?
「ノ●マにアップしようぜ!」
む。ウェブ作家デビュー…………か?
いやしかしR指定になちゃうしなー。
『ボクノ×××ガアリマセン!』
「あ、知ってる知ってる! あれでしょ? いろは四十八組!」
『ヒ●シデス……』
「そのまんま!」
『ヒ●シデス……』
「ウケるww ――あ! マミー帰ってきた!」
投げっ放しか。
マミーに駆け寄る闘女ちゃん。現代の鍵っ子。
「鍵を失くした鍵っ子」とはこれ如何に。
→「っ子」でオケ?
新語誕生だな。
日記に書いておこう。
ーーーーーー
※1 『ガラスの部屋』(ペピーノ・ガリアルディ)。
※2 吉●拓郎さん風にどうぞ(知らんけど)
★秋葉山から火事(あきばさんからかじ)
《人を戒める指導的立場の者が、自ら過ちを犯してしまうたとえ。「秋葉山」は火災除けの神を祭る静岡県の秋葉神社のこと》
(ことわざ辞典ONLINE.より)
ーーーーー
ウ●コがあればなんでも出来る――。
『迷わず行けヨッ!』
アントキのイ●キも言うてたやんかー、なー?
百聞は一見に如かずじゃ。のう、文科大臣。……辞めないの?
あの西郷どんみたいな盟友はどうした? 大~蔵大臣だっけ?
「ダイ●ジン! ダイマジン!」
どーしたメリーアン、そんな興奮して。
はっきりダイマジン言うとるでしかし。
●●チャンネルでやるって? 今日? 何時から?
……仕様がないな。じゃ、予約しといたろかー。
「タイサモイッショ!」
な、そ、そうか? 我、忙しいのじゃが……忙しいのじゃが仕方ないなメリーアン、won't you stay for meか? ※1
……時間まで漫画読んでてもいーい?
エロいやつ。
☆
若がDLしたコレ、全っっ然エロくないな。
なんじゃこら。いっこも脱がんがな。
「チロルチョコ!」
「チラリズム」か? 難しい言葉を知ってるじゃないか。言えてないけど。
……しっかし焦れったい話だのー。95%読んだのに(※電子書籍)、一向にくっつかんぞ、このアベック(死語)。待て次号か?
ん? なんだメリーアン。
「2ページ後、彼女事故で死ぬよ」
なんッ?!
『こら坂崎!』
「メリーアン💢」
ここでネタバレかよっ?!
貴っっ様ぁ~、妙にシリアルな声でぇ~。
「シリアス!」
わかっとるわ!
よいかメリーアン。ネタバレはご法度だ。
人によっては血のカーニバルになる。捜査本部起ち上げるかもしれんし、特捜が動き出すかもしれん。
なによりアレだ…………友だち失くすゾ(小声)。
ゾッ・ぞぉお。※2
うむ、分かってくれるか。
涙をお拭き……涙それで終わり? それマジ涙? ホンマかぁ?
よしよし、じゃダイ●ジン観ようか。楽しみにしてたんだもんな。
……なんか、懐かしい感じの映像だな。東野英治郎の水戸黄門観てるような。※3
お前、これ初見か。じゃ水戸黄門は? 里見(浩太朗)版を見た?
あーあの人な。助さんも格さんもやったから、ごっちゃになるんだよな。※4
……なかなか出てこんな、大●人。
「大魔人!」
分かってる。漢字で吠えるなよ。伏せ字の意味がないだろ。
あ…………えーと、7分後だな。
「?」
いや。7分後に登場して、こーやって腕をクロスしてさ、マジ激オコぷんぷん丸だよ! で大暴れ(笑)
「×××××!!」
痛て! 痛てて?! これ、落ち着けメリーアン!
「ネタバレゴハット! ネタバレゴハット!!」
す、すまん、我慢できんくて……笑って許して?
「トモダチナクセッッ!」
――堪忍してくだちぃ(涙)。
ーーーーー
※1 『メリーアン』(THE ALFEE)より。
※2 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)における、嘗てのパーソナリティ・笑福亭鶴光のお約束のひと言。
※3 テレビ版『水戸黄門』(TBS)の初代・御老公。
※4 テレビ版で御老公・助さん、映画版で格さん役を。
★敢えて主とならず客となる(あえてしゅとならずきゃくとなる)
《自分が中心にならずに受身でいるほうが無難だということ》
(ことわざ辞典ONLINE.より)
ーーーーー
花金(花の金曜日――文句ある?)、深夜のブラウン管が、バカ笑いのみ虚しく木霊するバラエティ番組に切り替わった途端、イラッとして音量めっちゃ下げた。
「……腹減ったな」
TV音声は殆ど聞こえなくなり。
床に寝そべる若が代わりに呟いた。
ひと昔前ならカップ麺、てとこだが。
中年に差し掛かった若の胃腸は、果たして耐え得るのか。
『ク●クパッドでケンサク!』
「えー……作んのめんどい。なんかサラッとしたヤツが……」
仕様がないな。
私はちょいと羽ばたき、マイ・コレクションから「アレ」を咥えて戻ると、若の眉間に突き刺した。
「死ぐっ! お? おー、噂の『マジやばたにえん』!」
『…………』
「あ、あれ?」
涙の止め方忘れたの?
これは「お茶漬けの素」だよ。永●園謹製……あ?!
「ウ●コ、なんで持ってんの? お前これ食えないだろ?」
その通り。塩分がなー。医者が五月蝿くてよー。
「毎朝血圧測れ」ってめんどいよー。
この茶漬け、中にカードが入ってるだろ。そっちがメインだ。
ほら、コレ。
「へー、今はこんなん付いてくるのか。浮世絵カード……『東海道48』だっけ?」
『ゴジュウサンツギ!』
ご当地アイドルみたく言うなよ。
「茶漬け、食っていいの?」
『ドンナルンマ!』※1
「『遠慮すんな』って? 忝し! よっしゃ、ちょっと食堂で冷や飯漁ってくるよ」
☆☆
丼に控え目な飯を盛って、若が戻って来た。
「さ。遠慮は無用だ。俺のために作ってくれ、ウ●コ!」
『ウ●コヲツクレト?!』
言うなり若が寝転んだ。
ナニしよん? 茶漬けを進呈したの我ぞ?
それぶっかけて湯を注ぐだけだろが。
インコに出来るかっちゅう話だよ。
『アカンタレ!』※2
「あかんたれ?」
『ヘンジモセズニ ワンタンメン!』※3
「意味分からん」
仕方ない。
私も真似して横になった。
右に左にゴロゴロして、時折受け身をとってみる。
柔道? ハハハ。
若は仰向けで、じっとカードを眺めている。
早よ湯を注げや。
ああ、敬愛する広重様。
何年費やすか知らんけど――このカードをコンプリート出来たなら、もういつ死んでも憂いはないでござるよ。
例えその所為で、家中がお茶漬けのパックで埋め尽くされたとしても……。
ふと。
カードをひっくり返して凝視していた若が、パッケージを指差して言った。
「ここの応募マーク三枚集めて送ると、『カードフルセット』プレゼント! だと」
『………………?』
「毎月千名様に! 抽選だけど、すぐ当たりそうじゃん?」
え――オレもう死ぬ?
ーーーーー
※1 ジャンルイジ・ドンナルンマ。イタリアの人。
仏のプロサッカー『リーグ・アン』の『パリ・サンジェルマン』ちゅうチームに所属する選手。ポジションは「キーパー」。
※2 『あかんたれ』(1976年)。東海テレビ制作の昼ドラ。
※3 同主題歌(鶴岡雅義と東京ロマンチカ)の歌詞より。
こういう切り取り方すると意味不明ですが。割りと辛気くさい歌詞とも言えます。