11月に文化祭ってマジかよ。
去年は9月じゃなかったか?
どういう予定の組み方だよ。

今年の2年1組の出し物はメイドカフェになりそうだ。
一軍女子が仕切っている。

そんなことより、恵のメイド服、見たい。
欲望には従順に従うべし。

10分後。

黒板には男子→執事 10、女子→メイド 10
と書いてある。

午前と午後合わせての人数だろうが、多くないか?
このクラス男子14人しかいないのに。

しかし役職はないだろう。

今はクラスで1人だ。

裕二は夏休み中に転校したそうだ。
俺の机に手紙があったがどうにも怪しい。
『誠司くんへ
佐々木さんとは上手くやれてますか?
華々しい春をお迎えください。
斎藤裕二』

斎藤裕二、中学に同姓同名のやつがいた。
クラスは一緒になったことはないが、入試直前に転校したんだったか。
どうりであんな遊びも思いつくわけだ。

その手紙の裏にも小さく書いてある。

『気づいてやれよ、お前が引っ張るんだよ。』

どういうことだろう。

いつの間にか話し合いは終わったようだ。

黒板には信じたくない名前があった。

執事 下田誠司
メイド 佐々木恵

メイドは嬉しいが、なんで俺が。


文化祭当日。
俺はほんとに執事の衣装を着せられた。
幸い、恵のメイドと時間が被っているからいいが。
(ちなみにめっちゃかわいい。)
午後は自由に回れるらしい。

こんなに忙しいのか。
午前の部、他のクラスはあまり盛り上がっていない。執事、メイド喫茶はさほど珍しいものでもないのに人が集中している。

執事のイメージは落ち着いた雰囲気で、とか考えてられない。
ずっと走りっぱなしだ。

恵の方は裏でへばっている。
やっぱりかわいい。

そりゃそうだ。こんなの重労働にもほどがある。

午後のことなんて考えてられない。


終わった、、、
午前の部終了のチャイムだ。
30分後再開になっているが、そんなのお構いなしに人がごった返している。

この中から探すのは一苦労だな。
たぶん裏にまだいるだろう。
やっぱり。
まだへばっている。

「行こうぜ」

「どこに?」

「いや、一緒に回らないかって」

「あーうん、行こ。」

恵の表情はときどきわからなくなる。
これがなにかなんだろうが。
まだわからない。
裕二の言ってたことはこれに繋がるのか?

劇を見たり、食べたり、お化け屋敷に行ったりしていたら午後の部終了のチャイムが鳴った。

「楽しかった?」

なんで疑問形で質問したのか。

「楽しかったよ。」

「よかった。」

なにがよかったんだ。伝えたいこと伝わってんのか?
これが答えなのか?
疑問形が多すぎる。

しかし、1つ気づいたことがある。

この学校は夜の部がある。
カップルが1番楽しみにしているイベントがある。

花火が上がっている間、2人っきりでいる。
するとずっと隣同士でいられる。
なんともオカルトチックな内容だが。
やる価値はある。

答えはこれだろ。