「そーなんだ」


「あ、そーいえば土屋先輩って……」



時間が止まったような感覚に襲われた気分だった。


どうしてあの人に目を奪われたのか分からない。


後ろを振り返ってもさっきの彼女の姿は見当たらなかった。歩くのが速いのかもしれない。



「……っていう趣味があるらしいぜ! 何か凄いよなーって、おい、また聞いてないだろ」


「え、あ、ごめん」


さっきの出来事が衝撃すぎて頭から彼女のことが離れない。


「暑さでやられてるんじゃないか? さっさと帰って寝た方が良いぞ」


「そーだね、ありがとう穂希」


確かに今日は本当に暑いし、さっさと用事を済ませて帰ろうかな。


あの人と何の繋がりもないし、ましてや赤の他人なのに、また会えるんじゃないかと考える自分がいた。