「ゆうべはお楽しみでしたね!」
翌朝、俺イチローとカトー氏はハカセとサクラ氏に呼び出され、2人にそう言い放たれた。
嫌な予感がするのだが……。
「そういえば、私はすぐ分析しちゃう女らしいのよね……。どういう意味なのか分からないけども……」
ハカセが不機嫌な表情でサクラ氏に向かって言った。
「私なんて、凶暴女らしいですよ……どういう事なんでしょうね……呪いでもかけちゃおうかしら!」
サクラ氏も鬼の形相でそんな事を言っている……。
これは相当やばいやつだ……。
思わず下を向きつつ、カトー氏の方を見る。
当然のようにカトー氏も下を向いて青ざめていた。
「おい、どうすんだ。完全にバレてるぞ……」
カトー氏が耳元で囁いた。
ですよね、やっぱりバレてますよね。
「だよね……やばいな……どうしよう……」
俺もカトー氏に囁き返す。
「おい!何をこそこそ話している!昨日はもっと大きな声だっただろ?もえもえきゅんきゅんだっけか?」
サクラ氏の口撃が止まらない……。
バレているのは間違いないのだろうけど、一体どこからバレているのだろうか……。
「あたしたちにバレたら恐怖なんだよな?なあ、今どんな気分?あ?」
なるほど、これが本当の恐怖というものか……。
こうなった場合にできることは限られている。
「すみませんでした!」
「すみませんでした!」
カトー氏と同時にそう叫ぶと、ゴツンという音と共に床に額を擦りつけた。
痛みで目の前がパチパチしたが、そんなことはどうでもいいのだ……。
「サクラ、どうする?なんか少し可哀想になってきたんだけど……」
よし、ハカセその調子だ。
そのままサクラ氏を説得してくれ!
「いや、ダメだろ……イチローの顔を見てみろよ……『ハカセ、そのままサクラ氏を説得してくれ!』とか考えているような顔をしているぞ」
ご明察です……。
でも……俺、そんなに顔で出るタイプでしたっけ?
「決してそのようなことは……深く反省しております……どうか御慈悲を……」
そう言って、再び床に額を擦りつけた。
「どうしようかな……じゃあ、カトーは私と本気組手3時間でゆるしてやる」
お、それならいつもの訓練とそれほど変わらないし、良いんじゃないだろうか。
そう思ってカトー氏を見ると恐怖で顔が引き攣っていた……。
「それだけは!それだけは……ご勘弁を!」
カトー氏も再び床に額を擦りつけた。
俺の想像以上にやばいやつらしい……。
「ダメだ、それ以外は許さねえ!」
サクラ氏にそう言われ、ガックリとうなだれるカトー氏。
「で、イチローだが……お前はハカセの食事当番を半年間代わってやれ。ハカセを研究に専念させてやるんだ」
なるほど、サクラ氏……上手いことを考えたな。
昨晩のような状況にならないよう、罰ゲームにかこつけてハカセを食事当番から外したということだろう。
しかもこれは……
1.カトー氏の後、予想より軽い処分となった俺
2.食事当番をしなくてよくなったハカセ
3.ハカセの暴走飯を食べなくてよくなったサクラ氏
と、3人が全員得をするという……なんという名裁き……。
カトー氏はその……ご愁傷さまだけども。
「分かりました……半年間頑張ります!」
「今回はハカセに免じて許してやるが、いない人をからかうのは良くないな……日本の諺にも【ジョージにメアリー】とかいう言葉があるらしいぜ。今後は気をつけるんだな」
勝ち誇ったようにサクラ氏が言う。
「【障子に目あり】だよ、サクラ……」
ハカセが優しく訂正する。
「こんな事を聞くのはどうかとも思うんだけど、どうやってバレたのでしょうか……」
やはり気になるところなので、恐る恐る聞いてみた。
「『調査の補助を目的として超小型の偵察機を大量に送り込む』って、この間ボスが言っていたのを忘れたのか?その偵察機がバッチリ映像と音声を残しているんだよ」
え?そんな事言ってたっけ?全く記憶にないんだけど……。
「ああ、アレか……そう言えばそんな事言ってたよな……」
カトー氏がそう呟いた。
どうやら本当に言っていたようだ。
「イチローのその様子じゃ、また考え事でもしていて聞き逃したんじゃないの?」
今日のサクラ氏は恐ろしくするどい。
やっぱり俺は顔に出るタイプみたいだな……。
「それはそれとして……分析女がイチローの惚れ込んだコーラを再現してみたんだけど、味見してくれないかしら?」
そう言ったハカセの目は笑っていない。まだ怒っているらしい。
「ハカセの作ったコーラなら喜んで頂戴します!」
自分でも驚くくらいの凄い低姿勢でコーラを飲み干した。
ん?あれ?なんだろう……すごい違和感が……。
「何かおかしい?私の科学力を結集した分析装置で素材から製法まで完全に再現したはずなんだけど……」
そんなはずはないという表情で聞くハカセ。
「正直に言うと、色々足りていない気がする。完成度70%くらいかな……」
「どれ、俺も一口……。うーん、確かに色々違う気がする」
カトー氏もやはり違うと言っている。
「そういえばイチローが昨日買ってきたコーラがあったわよね……」
と言って昨日買ってきたコーラを勝手に開けて飲み比べをするハカセとサクラ氏。
「お、確かに全然違うな……」
「ほんとだ……ショック……にわかには信じられないけど、私の科学力が地球のコーラに負けるなんて……」
ハカセは子供の風貌だがプライドが非常に高い。
特に科学関連で地球人に負けるなんて想像もつかなかっただろう。
「いや、私は宇宙一の科学者よ!必ずコーラを再現してみせる!」
そう強く言い、ハカセは研究室へ向かった。
その後姿を見て……またしても嫌な胸騒ぎを感じるのだった。
翌朝、俺イチローとカトー氏はハカセとサクラ氏に呼び出され、2人にそう言い放たれた。
嫌な予感がするのだが……。
「そういえば、私はすぐ分析しちゃう女らしいのよね……。どういう意味なのか分からないけども……」
ハカセが不機嫌な表情でサクラ氏に向かって言った。
「私なんて、凶暴女らしいですよ……どういう事なんでしょうね……呪いでもかけちゃおうかしら!」
サクラ氏も鬼の形相でそんな事を言っている……。
これは相当やばいやつだ……。
思わず下を向きつつ、カトー氏の方を見る。
当然のようにカトー氏も下を向いて青ざめていた。
「おい、どうすんだ。完全にバレてるぞ……」
カトー氏が耳元で囁いた。
ですよね、やっぱりバレてますよね。
「だよね……やばいな……どうしよう……」
俺もカトー氏に囁き返す。
「おい!何をこそこそ話している!昨日はもっと大きな声だっただろ?もえもえきゅんきゅんだっけか?」
サクラ氏の口撃が止まらない……。
バレているのは間違いないのだろうけど、一体どこからバレているのだろうか……。
「あたしたちにバレたら恐怖なんだよな?なあ、今どんな気分?あ?」
なるほど、これが本当の恐怖というものか……。
こうなった場合にできることは限られている。
「すみませんでした!」
「すみませんでした!」
カトー氏と同時にそう叫ぶと、ゴツンという音と共に床に額を擦りつけた。
痛みで目の前がパチパチしたが、そんなことはどうでもいいのだ……。
「サクラ、どうする?なんか少し可哀想になってきたんだけど……」
よし、ハカセその調子だ。
そのままサクラ氏を説得してくれ!
「いや、ダメだろ……イチローの顔を見てみろよ……『ハカセ、そのままサクラ氏を説得してくれ!』とか考えているような顔をしているぞ」
ご明察です……。
でも……俺、そんなに顔で出るタイプでしたっけ?
「決してそのようなことは……深く反省しております……どうか御慈悲を……」
そう言って、再び床に額を擦りつけた。
「どうしようかな……じゃあ、カトーは私と本気組手3時間でゆるしてやる」
お、それならいつもの訓練とそれほど変わらないし、良いんじゃないだろうか。
そう思ってカトー氏を見ると恐怖で顔が引き攣っていた……。
「それだけは!それだけは……ご勘弁を!」
カトー氏も再び床に額を擦りつけた。
俺の想像以上にやばいやつらしい……。
「ダメだ、それ以外は許さねえ!」
サクラ氏にそう言われ、ガックリとうなだれるカトー氏。
「で、イチローだが……お前はハカセの食事当番を半年間代わってやれ。ハカセを研究に専念させてやるんだ」
なるほど、サクラ氏……上手いことを考えたな。
昨晩のような状況にならないよう、罰ゲームにかこつけてハカセを食事当番から外したということだろう。
しかもこれは……
1.カトー氏の後、予想より軽い処分となった俺
2.食事当番をしなくてよくなったハカセ
3.ハカセの暴走飯を食べなくてよくなったサクラ氏
と、3人が全員得をするという……なんという名裁き……。
カトー氏はその……ご愁傷さまだけども。
「分かりました……半年間頑張ります!」
「今回はハカセに免じて許してやるが、いない人をからかうのは良くないな……日本の諺にも【ジョージにメアリー】とかいう言葉があるらしいぜ。今後は気をつけるんだな」
勝ち誇ったようにサクラ氏が言う。
「【障子に目あり】だよ、サクラ……」
ハカセが優しく訂正する。
「こんな事を聞くのはどうかとも思うんだけど、どうやってバレたのでしょうか……」
やはり気になるところなので、恐る恐る聞いてみた。
「『調査の補助を目的として超小型の偵察機を大量に送り込む』って、この間ボスが言っていたのを忘れたのか?その偵察機がバッチリ映像と音声を残しているんだよ」
え?そんな事言ってたっけ?全く記憶にないんだけど……。
「ああ、アレか……そう言えばそんな事言ってたよな……」
カトー氏がそう呟いた。
どうやら本当に言っていたようだ。
「イチローのその様子じゃ、また考え事でもしていて聞き逃したんじゃないの?」
今日のサクラ氏は恐ろしくするどい。
やっぱり俺は顔に出るタイプみたいだな……。
「それはそれとして……分析女がイチローの惚れ込んだコーラを再現してみたんだけど、味見してくれないかしら?」
そう言ったハカセの目は笑っていない。まだ怒っているらしい。
「ハカセの作ったコーラなら喜んで頂戴します!」
自分でも驚くくらいの凄い低姿勢でコーラを飲み干した。
ん?あれ?なんだろう……すごい違和感が……。
「何かおかしい?私の科学力を結集した分析装置で素材から製法まで完全に再現したはずなんだけど……」
そんなはずはないという表情で聞くハカセ。
「正直に言うと、色々足りていない気がする。完成度70%くらいかな……」
「どれ、俺も一口……。うーん、確かに色々違う気がする」
カトー氏もやはり違うと言っている。
「そういえばイチローが昨日買ってきたコーラがあったわよね……」
と言って昨日買ってきたコーラを勝手に開けて飲み比べをするハカセとサクラ氏。
「お、確かに全然違うな……」
「ほんとだ……ショック……にわかには信じられないけど、私の科学力が地球のコーラに負けるなんて……」
ハカセは子供の風貌だがプライドが非常に高い。
特に科学関連で地球人に負けるなんて想像もつかなかっただろう。
「いや、私は宇宙一の科学者よ!必ずコーラを再現してみせる!」
そう強く言い、ハカセは研究室へ向かった。
その後姿を見て……またしても嫌な胸騒ぎを感じるのだった。