・
・【海】
・
「海だぁぁあああ!」
つい私は大きな声を出してしまった。
広大な水平線を見てしまうと、つい荒らげてしまう。
「一応準備運動をしてから海の中に入りましょう」
「えっ? 海の中に入るのっ?」
「はい、水魔法には水中でも息ができるようになる魔法がありますので、それでまず浅瀬ですが、海底を探索しましょう。魔石は暗いところであれば光るので、海底なら昼でも暗くなっているので見つかると思います」
そう淀みなく説明するリュウに私は、
「水着はどうしたらいいかな!」
「服はそのチャイナドレスでもいいと思いますよ。その水魔法は体全体を覆うような感覚なので、何を着ても大丈夫なんです。俺はこの魔法スーツのまま入ります」
でも私は海の雰囲気を出したくて、水着になりたかったので、
「リュウ、女性用の水着は無いかな?」
「では今から作りましょうか? 確かに梨花なら水着のほうが、水中動作が早くなる可能性がありますね。服の能力を引き出すので」
「作れるのっ?」
「大体こうだろうなということは分かっていますし、素材は、この近くに生えているヤシでいいですよね」
そんなすぐに作れるんだ、リュウってすごい……の前に!
「絶対ビキニでお願い! 私は海といったらビキニだと思っているから!」
「えっ、競泳水着みたいな感じじゃなくていいんですか?」
「リュウはそっちのほうが好きぃ?」
「いや好みの話じゃなくて、多分競泳水着のほうが、水中動作が早くなりますよ」
「そういう機能美より自分アゲのほう!」
私が語気を強めると、リュウは頷いて、
「分かりました。まあビキニのほうが作ることは楽なので、すぐ作りますね」
と言うと、リュウは近くに生えていたヤシを切り落としたと思ったら、目にも止まらぬ速さで、ヤシの木の皮を剥いてるやら何やらで、すぐにビキニが完成した。
「魔力を込めているので、多少サイズにズレがあってもピッタリすると思います」
と言いながらリュウは木陰に消えていった。
着替えの時いなくなること徹底しているなぁ、と思いながら私は着替えた。
ヤシの木で作ったとは思えないほど、肌触りが滑らかで、何だかめっちゃ泳げる気がした。
いや競泳水着じゃなくても全然水中動作のヤツいけそうなんかい。
リュウが戻ってきて、私と自分に水中で息ができるようになる魔法をかけて、早速海へ入った。
海、冷たかったらどうしようと思っていたら、めちゃくちゃ生暖かくて気持ちが良かった。というかもしかすると魔法の効果?
まあそんなことはどうでもいいとして、私とリュウは泳いで海の中を探索し始めた。
当然のごとく海の中で呼吸ができるし、
「魚が泳いでいて美しいですね、上を見れば光が差し込んで光っている。ここも良い環境ですね」
「そうだね、リュウ!」
と会話もできて楽し過ぎる。
下を見れば色鮮やかなサンゴ礁と、サンゴ礁に隠れる変わった形をした魚が泳いでいる。何か星型っぽい、魚が。
サンゴ礁を辿って、どんどん海底へ向かって泳いでいくと、徐々に暗くなってきて、そのタイミングでまたリュウがライトの衛星という光を出した。
奥に進むと、体が妙に大きいけども、頭がめちゃくちゃ小さい魚や、イカなのかタコなのか、発光する軟体動物などがゆらゆら浮いている。
未知の生物過ぎて楽しいなぁと思っていると、リュウが、
「魔石ありましたね、光っています」
私がリュウの言った先を見ると、そこはまるで銀河が広がっているように煌めいていた。
銀河を見下ろすなんて、そんなことを思いながらふと、
「ロマンチックだね」
と言うとリュウが頷きながら、
「この銀河が失われないように、少しだけ魔石をもらいましょう」
と言って、リュウも銀河と思っていたんだ、と、一緒で嬉しいなと思った。
魔石を拾い集めて、浜辺に戻ってきた。
リュウが魔法を解除すると、体は何も濡れていないようでサラサラだった。改めて魔法ってすごいなと思った。
「それでは」
と言って、またテントを出したリュウ。
「夜まで寝るの?」
「それがいいと思います。夜は岩陰にある魔石が光るので」
二人でテントに入ると、またリュウは氷の太陽を出してから、ベッドと寝袋を出したので、
「また段差かよ」
と言ってしまうと、リュウは、
「ベッド二つだと、ベッドから降りる時に足音が鳴ってしまうこともありますので」
「そんな私の睡眠のことばかり考えないでよ。というか海こそ一緒に魚介類を捕まえたい」
「では一緒に起きて、行動しましょうか」
そう言うと、リュウは静かに寝袋に入った。
いや!
「でも寝袋のまま!」
「すみません、実はベッドは一つしかないんです。ずっと一人旅だったので」
「そのくせに寝袋は寝袋であるんだね」
「狭いところでは直接寝袋に入っていたので。あとは雇った兵士のためになどで寝袋は複数あります」
「じゃあ私も寝袋がいい! リュウと同じ目線で寝たい!」
「分かりました。ではそうしましょう」
そう言うとリュウはベッドを片付けて、寝袋をもう一つ出した。
「これで対等だね!」
と私が言うとリュウは笑いながら、
「そうですね、同じ目線で同じモノを見て、同じことを考えられたら最高ですね」
「私! 海底の魔石、銀河だと思ったよ! 一緒!」
「じゃあもう俺と梨花は一つになりますね」
「えっ、一つになるって、そういうことを今からするということ……?」
と私が心の奥底から熱くなりながら、そう言うと、
「そういうことじゃないです! そういう意味じゃないです!」
と慌てたリュウ。
まあそういうことじゃないとは思っていたけども、そんなに汗を流して最高に可愛いのかよ。
リュウは寝袋の奥に入って丸まった。
可愛い顔見せてくれよ、とも思ったけども、今日はこのくらいで許してやるかと思って私も寝ることにした。
――。
ほぼ同時に目覚めたと思う。
何故なら私が起きた時に、めちゃくちゃデカい伸び声を出してしまったので、それでリュウが起きたから。
「すみません、すごく寝ていました。冷凍し過ぎのアイスクリームでした」
リュウが上体を起こしてそう言ったんだけども、
「それは別にいいじゃん」
と言いながら私は寝袋から出て、テントの外に出ると、目の前は真っ暗で、もう夜になっていた夜空にはまた満開の星が広がっていた。
「夜だし、魔石を探しに行こうか!」
私がそう言うとリュウも頷き、またライトの衛星を出して、一緒に浜辺を歩き出した。
というか夜の海って何かエモい。
こうやって好きな男性と一緒に歩いているなんて漫画の中の人物かよ。
波打つ音だけが流れる空間で私とリュウは手を繋いで歩いている。
なんとなく手を繋ぎ始めた。どっちが先だっけ?
そんなことを聞くのは野暮といった感じだし、多分同時だったと思う。ほら、私とリュウの考えることは一緒だから。
じゃあリュウも心臓の鼓動、高鳴っているのかな。
何だか幸せだよ、私。
リュウもそう思ってくれているのかな、と思いながら岩場に行くと、魔石が光っていた。
リュウはふとこんなことを言った。
「まだ魔石が見つからなければ、静かな時間が永遠だったのに」
「何? 静かな私のほうがいいってこと?」
「そういうことではないんですが、落ち着いた時間も素敵だったなぁって」
「まあ確かにね、これから拾う時間になるからね」
「なんて、すみません。ちょっとだけ嘘つきました。落ち着いていませんでした。俺、心臓が高鳴っちゃって。何だか梨花と一緒にいるとすごく嬉しいんです。心が弾むというか」
めっちゃ同じこと考えていました。最高かよ。
それが分かれば、もう満足って感じで、そこから私とリュウは魔石を拾ってから、余った時間、二人で岩場に座ってずっと海と星を眺めていた。
まあ私は時折リュウのこと眺めていたけども。
・【海】
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「海だぁぁあああ!」
つい私は大きな声を出してしまった。
広大な水平線を見てしまうと、つい荒らげてしまう。
「一応準備運動をしてから海の中に入りましょう」
「えっ? 海の中に入るのっ?」
「はい、水魔法には水中でも息ができるようになる魔法がありますので、それでまず浅瀬ですが、海底を探索しましょう。魔石は暗いところであれば光るので、海底なら昼でも暗くなっているので見つかると思います」
そう淀みなく説明するリュウに私は、
「水着はどうしたらいいかな!」
「服はそのチャイナドレスでもいいと思いますよ。その水魔法は体全体を覆うような感覚なので、何を着ても大丈夫なんです。俺はこの魔法スーツのまま入ります」
でも私は海の雰囲気を出したくて、水着になりたかったので、
「リュウ、女性用の水着は無いかな?」
「では今から作りましょうか? 確かに梨花なら水着のほうが、水中動作が早くなる可能性がありますね。服の能力を引き出すので」
「作れるのっ?」
「大体こうだろうなということは分かっていますし、素材は、この近くに生えているヤシでいいですよね」
そんなすぐに作れるんだ、リュウってすごい……の前に!
「絶対ビキニでお願い! 私は海といったらビキニだと思っているから!」
「えっ、競泳水着みたいな感じじゃなくていいんですか?」
「リュウはそっちのほうが好きぃ?」
「いや好みの話じゃなくて、多分競泳水着のほうが、水中動作が早くなりますよ」
「そういう機能美より自分アゲのほう!」
私が語気を強めると、リュウは頷いて、
「分かりました。まあビキニのほうが作ることは楽なので、すぐ作りますね」
と言うと、リュウは近くに生えていたヤシを切り落としたと思ったら、目にも止まらぬ速さで、ヤシの木の皮を剥いてるやら何やらで、すぐにビキニが完成した。
「魔力を込めているので、多少サイズにズレがあってもピッタリすると思います」
と言いながらリュウは木陰に消えていった。
着替えの時いなくなること徹底しているなぁ、と思いながら私は着替えた。
ヤシの木で作ったとは思えないほど、肌触りが滑らかで、何だかめっちゃ泳げる気がした。
いや競泳水着じゃなくても全然水中動作のヤツいけそうなんかい。
リュウが戻ってきて、私と自分に水中で息ができるようになる魔法をかけて、早速海へ入った。
海、冷たかったらどうしようと思っていたら、めちゃくちゃ生暖かくて気持ちが良かった。というかもしかすると魔法の効果?
まあそんなことはどうでもいいとして、私とリュウは泳いで海の中を探索し始めた。
当然のごとく海の中で呼吸ができるし、
「魚が泳いでいて美しいですね、上を見れば光が差し込んで光っている。ここも良い環境ですね」
「そうだね、リュウ!」
と会話もできて楽し過ぎる。
下を見れば色鮮やかなサンゴ礁と、サンゴ礁に隠れる変わった形をした魚が泳いでいる。何か星型っぽい、魚が。
サンゴ礁を辿って、どんどん海底へ向かって泳いでいくと、徐々に暗くなってきて、そのタイミングでまたリュウがライトの衛星という光を出した。
奥に進むと、体が妙に大きいけども、頭がめちゃくちゃ小さい魚や、イカなのかタコなのか、発光する軟体動物などがゆらゆら浮いている。
未知の生物過ぎて楽しいなぁと思っていると、リュウが、
「魔石ありましたね、光っています」
私がリュウの言った先を見ると、そこはまるで銀河が広がっているように煌めいていた。
銀河を見下ろすなんて、そんなことを思いながらふと、
「ロマンチックだね」
と言うとリュウが頷きながら、
「この銀河が失われないように、少しだけ魔石をもらいましょう」
と言って、リュウも銀河と思っていたんだ、と、一緒で嬉しいなと思った。
魔石を拾い集めて、浜辺に戻ってきた。
リュウが魔法を解除すると、体は何も濡れていないようでサラサラだった。改めて魔法ってすごいなと思った。
「それでは」
と言って、またテントを出したリュウ。
「夜まで寝るの?」
「それがいいと思います。夜は岩陰にある魔石が光るので」
二人でテントに入ると、またリュウは氷の太陽を出してから、ベッドと寝袋を出したので、
「また段差かよ」
と言ってしまうと、リュウは、
「ベッド二つだと、ベッドから降りる時に足音が鳴ってしまうこともありますので」
「そんな私の睡眠のことばかり考えないでよ。というか海こそ一緒に魚介類を捕まえたい」
「では一緒に起きて、行動しましょうか」
そう言うと、リュウは静かに寝袋に入った。
いや!
「でも寝袋のまま!」
「すみません、実はベッドは一つしかないんです。ずっと一人旅だったので」
「そのくせに寝袋は寝袋であるんだね」
「狭いところでは直接寝袋に入っていたので。あとは雇った兵士のためになどで寝袋は複数あります」
「じゃあ私も寝袋がいい! リュウと同じ目線で寝たい!」
「分かりました。ではそうしましょう」
そう言うとリュウはベッドを片付けて、寝袋をもう一つ出した。
「これで対等だね!」
と私が言うとリュウは笑いながら、
「そうですね、同じ目線で同じモノを見て、同じことを考えられたら最高ですね」
「私! 海底の魔石、銀河だと思ったよ! 一緒!」
「じゃあもう俺と梨花は一つになりますね」
「えっ、一つになるって、そういうことを今からするということ……?」
と私が心の奥底から熱くなりながら、そう言うと、
「そういうことじゃないです! そういう意味じゃないです!」
と慌てたリュウ。
まあそういうことじゃないとは思っていたけども、そんなに汗を流して最高に可愛いのかよ。
リュウは寝袋の奥に入って丸まった。
可愛い顔見せてくれよ、とも思ったけども、今日はこのくらいで許してやるかと思って私も寝ることにした。
――。
ほぼ同時に目覚めたと思う。
何故なら私が起きた時に、めちゃくちゃデカい伸び声を出してしまったので、それでリュウが起きたから。
「すみません、すごく寝ていました。冷凍し過ぎのアイスクリームでした」
リュウが上体を起こしてそう言ったんだけども、
「それは別にいいじゃん」
と言いながら私は寝袋から出て、テントの外に出ると、目の前は真っ暗で、もう夜になっていた夜空にはまた満開の星が広がっていた。
「夜だし、魔石を探しに行こうか!」
私がそう言うとリュウも頷き、またライトの衛星を出して、一緒に浜辺を歩き出した。
というか夜の海って何かエモい。
こうやって好きな男性と一緒に歩いているなんて漫画の中の人物かよ。
波打つ音だけが流れる空間で私とリュウは手を繋いで歩いている。
なんとなく手を繋ぎ始めた。どっちが先だっけ?
そんなことを聞くのは野暮といった感じだし、多分同時だったと思う。ほら、私とリュウの考えることは一緒だから。
じゃあリュウも心臓の鼓動、高鳴っているのかな。
何だか幸せだよ、私。
リュウもそう思ってくれているのかな、と思いながら岩場に行くと、魔石が光っていた。
リュウはふとこんなことを言った。
「まだ魔石が見つからなければ、静かな時間が永遠だったのに」
「何? 静かな私のほうがいいってこと?」
「そういうことではないんですが、落ち着いた時間も素敵だったなぁって」
「まあ確かにね、これから拾う時間になるからね」
「なんて、すみません。ちょっとだけ嘘つきました。落ち着いていませんでした。俺、心臓が高鳴っちゃって。何だか梨花と一緒にいるとすごく嬉しいんです。心が弾むというか」
めっちゃ同じこと考えていました。最高かよ。
それが分かれば、もう満足って感じで、そこから私とリュウは魔石を拾ってから、余った時間、二人で岩場に座ってずっと海と星を眺めていた。
まあ私は時折リュウのこと眺めていたけども。